今月のテーマは「出会い」。私が仲良くしてる友達のみーちゃんに、今付き合っている彼女との出会いについてインタビューしてきました。みーちゃんは、都内で働く29歳。付き合って2年になる彼女とは、半同棲状態です。

―彼女との出会いについて教えて。

同じ会社の先輩で、2年前に同じプロジェクトチームに入ることになり、毎週会議で顔合わせることになったのね。そこでとにかく私の仕事をすごい褒めてくれて、仲良くなった感じ。入社して5年ぐらいは接点がなくて、ほとんどしゃべったこともなかった。綺麗な人だし仕事ができる人なんだっていう印象はあったけど、いつもすごく忙しそうで、遠い存在だと思ってたから。

― 一緒のチームになって、いつ頃から意識し始めたの?

単純なんだけど、本当にいつも私の仕事を褒めてくれて(笑)。彼女の部署に遊びに行くことも増えて、そっちの仕事が増えたりとか。そういう仕事上のやり取りから仲良くなっていって、他の仕事についても相談したりするようになって。

好きかも、と思い始めた頃に、帰り道にビール飲もうってことになって、虎ノ門ヒルズで飲んでおしゃべりして帰ったの。そのあと1週間とかで告白したからね。

―そっか、結構急展開だったもんね。

そう、あっちはびっくりしたと思うよ。もう好きって言いたくて耐えられなかった(笑)。

―どこに惹かれたの?

会う頻度も高かったし、仕事で一緒にやってたことも刺激的だったし、自分の中で盛り上がる要素が多くて。飲み会でも自然に隣に座ってくれたりとか…例えば覚えてるのは、大勢で話してて、音楽の話になった時に、私がふと「私もオーケストラやってたから」と言ったのね。みんな「ふーん」って流すんだけど、なぜか彼女だけぐるってこっち向いて「え?なんの楽器?」とめっちゃ聞いてきたりして。みんな興味ないのに、彼女が聞いてくるから私も答えなきゃいけなくて、スベらされるみたいな(笑)。でも私に興味を持ってくれてたのが嬉しかった。

―それは恋愛的な興味だったのかな?

いやー、下心とかでは全然なくて、可愛い後輩、という枠の中の存在だったと思う。私もおちゃらけキャラだから、彼女をずっと笑わせてたし、それで楽しい、仲良し、ってだけだったと思う。その時点で私がゲイだってことは知ってたとは思うんだけどね…あのね、自分の中で必勝法っていうか、みんなに試して欲しい技があって(笑)。

―おー!(笑) なになに?

職場みたいな、いわゆる出会いの場じゃない場所で、思わず好きになっちゃった場合の話ね。まず仲良くなって、人間として好かれる状況にする。これが第一条件。そののちに、相手を警戒させない、さらっとしたタイミングで、私は女の子が好きなんだ、ということをお知らせする。これで告白の7割が済んだと言っても過言ではないと思う(笑)。

最初に相手にゲイだってはっきり言っちゃうと、やっぱり先入観で仲良くなりにくいかもしれない。全部を下心と捉えられちゃうというか。かと言って、カミングアウトと告白を同時にやるのもしんどい。向こうもしんどいだろうし。だからうまく段階を踏まないといけないよね。

―今回はどのタイミングで言ったの?

彼女がいない会議で、恋愛の話になったことがあって。そこに出席してた人は私がゲイってみんな知ってる状況だったのね。その議事録を彼女に渡す時に、「私は女の人が恋愛対象だから、その前提でしゃべってます」とさらっと言った。ちょっとずるいけど、仕事にからめて伝えちゃった。

もともと好きっていう態度は死ぬほど出しちゃってるから、その時点であっちも「もしかして…」と意識したと思う。もちろん、相手が怖がってるな、とか引いてるな、ってなったら、好きな態度は出さないんだけど、今回の場合は全然ウェルカムというか引いてなかったから。「女の子が好き」って言っても大丈夫だな、と判断したの。

―告白する直前にメールくれたよね。「やばいもう言わないと死ぬ」みたいな(笑)。

そうそう。で、その日、実際言ったんだよね。会社の帰り道に。歩きながら、「好きです」って言ったら、あっちは「ええ!?」ってなって「とりあえずお茶しよ」って言ってくれた。

そこで、「今すぐ付き合いたい云々とかじゃなくて、どうしても好きって思ってることを言いたかった」と言ったの。唐突に告白して驚かせたにもかかわらず、彼女は「私には長年付き合ってる彼氏がいる。彼のことは好きなんだけど、あなたにも惹かれてる」って言ってくれて、すぐにNO!って感じにはしないでくれたのね。それでゆっくりお互いのことを知っていった感じかな。

―彼女は今まで女性を好きになったり付き合ったりしたことはなかったんだよね?

ないみたい。けど、「次に好きになる人は男なのか女なのか、どっちなのかなー」と思ったことはあるらしい。明確に「この子が好き」ってなったことはないみたいだけど。おもしろいよね。

私は絶対「でもあなたは女の子だし」と言われたりするハードルがあると思ってたんだけど、それはたまたまなかった。これは本当にラッキーで、そういう考え方をする人だから惹かれたのかなとも思うし、あとは時代のおかげもあると思う。同性ってだけで「おえー」みたいな時代ではなくなってるから。オープンな人も増えてるし、それはすごくありがたくて。こういう風潮のおかげで、「きもい」「一生話しかけないで」みたいに手ひどく振られることもない。

―確かにハードルは下がってるよね。都内ではそれを感じるけど、地方ではどうなんだろう。

うーん、違うだろうね…。地元ではこんなに大胆には行動できない。都内には新宿とかもあるからね。

―会社の人は知ってる?

知ってる人も多いよ。同じ部署の人とか。言ったところで「へえー」って感じで、みんな普通。

―同性愛に関して、メディアが取り上げる機会はやっぱり増えてるよね。

あとね、NHKがめっちゃやってるってのがある。「あさイチ」見てると数カ月に1回は必ずやるよ。「おはよう日本」でも。

「女性同士で暮らしてる人が増えてます」みたいな特集で、その中に「明らかにカップルじゃん」みたいなケースがあったり。すごくフラットに扱ってる。「自分の子どもがLGBTだったらどうする?」みたいな特集もあった。杉山文野さんっていう有名なトランスジェンダーの方がいるんだけど、その人のご両親に取材しに行ってたのとか、素敵な内容だった。うちの母もそれは見てたらしいんだけど、残念ながら特に感想は抱いてなかったみたい(笑)。

―親には言ってないんだもんね。

言ってない。田舎でも、「同性愛の人たち、おえー」みたいな感じではなくなってきてるとは思うけど。「そういう人もいるんだねー」みたいな。

でも親はやっぱり違うね…。結婚して家族を増やす、みたいなことにすごく希望を抱いている人たちだから、それを撃ち砕いちゃうことになる。テレビで見てると、自分の娘とその彼女について、「娘が増えたみたい」と言ってくれる親もいるみたいなんだけど、自分の親ではあんまり想像できない。

―親が今までLGBT関連の話をしてるのは見たことある?

結構ある。それを聞いてると、考え方はかなり遅れてるし、まさか自分の娘が、とは思ってない。「生理的に考えられない」って感じかな。同性で仲良く暮らしてるのが想像できないっていうか。あとうちの親は特に、「みんなができることをなんでできないんだろう」っていう考え。「ちゃんと男の子と関係を築き上げて、結婚して、子どもを産む」っていうのが「正常」だと思ってるわけでしょ。だから「なんではみ出ちゃったの?」みたいな。

自分では、初めて女の子に恋をした中学生の頃は「自分、はみ出してるなー」と思ってたけど、今はもう開き直りまくって、全くそういう意識はなくなっちゃったんだけど(笑)。

―「生理的に」って、そこまで深く考えたことがない、ということの現れだよね。論理的に考えたり、相手の気持ちになって考えてるわけじゃなくて、「よくわからない何か」として漠然と遠ざけたい、みたいな。

そう、まさに、よくわからないから蓋をしたいって感じ。「存在するのは構わないけど、自分には関係ない」「自分の家族には関係ない」って感じかな。

20歳で片想いしてる時に、姉には言ったんだけどね。最初はびっくりしてたし、「今後大変じゃん」と心配はしてたけど、すごく応援してくれる。心配だった分、私の彼女への感謝度が高い(笑)。潜在的に女性同士もOKな人って、実は結構いると思うんだけど、やっぱり出会うのは簡単ではないよね。だから本当に好きな人に出会って、付き合えるってすごく貴重だと思う。男女でもお互い妥協しながら付き合ってる人もいるわけで。

―女性同士って、仲良いだけで手を繋いだりすることもあるし、ベタベタすることもあるし、相手が女性も恋愛対象になるのかってわからない場合が多いよね?

うん、ほとんどわかんない。昔はそれによる悲しい事件がいっぱい起きてたと思うよ。「もしかして両思いかも」と思って勇気を出したら「めっちゃきもい、そういうんじゃないし。」と拒絶されるとかね。

今はそんな風に傷つくことってあまりないと思う。私が今まで玉砕した恋愛は、まずそもそも仲良くなる機会がなかったとか、すでに相手が結婚してたり。手を出せないみたいな。まあ男女の恋愛と同じ条件だよね。

―みんなどうやって出会ってる?

アプリとか掲示板とか…新宿みたいな盛り場とか? 遠くから来てる子もいっぱいいるよ。都内だとイベントとかもよくあるし。

―そういう場に行くとさ、「あっ実はこんなにいっぱいいたんだ、自分だけじゃないのか」という気づきになるよね。

そうそう。楽しいよ。女の子専用のバーだけでも10~20はあるんじゃないかな。昔は男性用のお店ばっかりだったけど、最近はすごく増えてる。みんな優しいから行きやすいし。初めてでも全然入りやすい感じだよ。女性同士だとデートレイプとかもないし。

―いつも話を聞いてるとさ、女子同士のカップルならではの要素ってあるよね。

そうそう。いつも修学旅行みたい。ずーっとおしゃべりしてる。しゃべってるうちに朝になっちゃったりとか(笑)。男の人で、たまにぶっきらぼうな人いるじゃん。彼女が一生懸命話してるのに「別にどっちでもいいんじゃない」と突き放すみたいな。それは絶対ないよね。女子のほうが社交的というか、「チアアップ能力」が備わってるから。

―「チアアップ能力」!!笑

お互い盛り上げ合う機能がついてるよね(笑)。「私の話ちゃんと聞いてんの!?」とかにはあんまりならない。あとは生理が合致したりとか(笑)… 生理痛とかもお互い経験してるから分かり合える。

これは男女関係ないかもしれないけど、食べたいものとか、飲みたいもの、行きたい店とか、全部趣味が合ってる。買い物とかダイエットとかも一緒にできる。

あと「かわいいー」とお互い毎秒ぐらい言い合ってる(笑)。想いの表現を惜しまないというか。きゃっきゃきゃっきゃしてる。恋人でもあるし親友でもある感じ。

―嫉妬問題ってどうしてる? 男女だと、同性の友達は嫉妬対象にはならないことが多いから、同性の友達と一緒に遊んだり旅行に行ったりしても別に問題にはならないじゃない?

やっぱりねー、若干あるよね。私は彼女が女の子と仲良くしてても平気。でも男にモテるのは超いや。彼女が男性と付き合ってきたから男性がいやなのはわかるとして、女の子をライバル視しない余裕が意味わかんないよね(笑)。逆に私が女の子と仲良くしてると、彼女は「はあ?」と思うみたい(笑)。向こうからすると、私にとって誰が友達で誰が恋愛対象なのか見てもわからないから、とりあえずおもしろくはないんじゃないかな。だから発言に気をつけてる。他の子を「かわいい」と言わないとか(笑)。

―同性パートナーシップ制度はゆっくりだけど広がってるよね。

そうだね。ただ新宿区がなんでやらないのかわからない。同性婚が日本で合法化されるのはすごく時間がかかりそう。私は今は別に困ってないけど、彼女が重病にかかるとか、私がかかるとか、相続とか、そういう話になるほど長い間一緒にいたとしたら、パートナーシップ制度についても考えるかな。それこそ、しょうがないから渋谷区に引っ越して、とか。

おとといちょうど、新宿三丁目で餃子食べてたのね。そしたら話の内容からしてゲイバーで働いてるっぽい男性たちがいて。めっちゃ声でかくて元気で、言葉も女の子っぽかったんだけど、誰もそっちをチラチラ見たりしないんだよね。みんな普通にタンメン食べてる。10年前だったら絶対見てたと思う。

―都内の外国人もそうじゃない? 5年、10年前だと、「わー金髪の外国人!」ってみんな見てたけど、今慣れちゃって別に見もしない、みたいな。

まさにそれかも。慣れに関しては都内は進んでる。今年はパレードもすごく参加人数が多かったんだよね? 当事者以外の参加者も増えたみたい。一緒に騒ぐ!みたいな。すごくいいことだと思う。主張というよりも、お祭りみたいな気運が高かった、普通にはしゃげる場になっている、というのはポジティブに捉えてる。


出会いや恋愛の形って本当に人それぞれ。社会やメディアは「こういう出会いが理想です」「こういう恋愛が幸せです」とマニュアルのように決めたがるけど、人間ってそんなに単純なものじゃない。みーちゃんも言うように、まだまだ課題はあるけれど、少しずつでも多様性を認められる社会になってきているのは素晴らしいですよね。

◆【Mamiの気になりニュース】まとめはこちらでチェック