肉体的な欲望を伴わず、精神的な繋がりを意味する「プラトニック・ラブ」。よく「異性間の友情は成立する?」といった形で議論されることも多い一方で、実際にはあらゆるジェンダーやセクシャリティでも存在する愛情の形の一つ。

「現代社会はプラトニックな関係に対して価値を見出せていない傾向にある」と話すのは、ニューヨーク市を拠点とする心理学者のジョーダナ・ジェイコブス博士。完全に性的な関心を持たない関係には「深く、強烈で、人生を変えるような可能性がある」と言います。

そこで本記事では、<オプラ・デイリー>から、健全に「プラトニックな関係」を築く方法を専門家の解説を交えてお届けします。自分や相手にパートナーや恋人がいるときの向き合い方なども紹介!


【INDEX】


「プラトニック・ラブ」とは

あらゆるジェンダーやセクシャリティの人々の間に生まれる可能性のある、「プラトニック・ラブ」。もっとも、すべての友情がプラトニック・ラブと呼ばれるわけではありません。ジェイコブス博士は「プラトニック・ラブ」の意味を以下のように述べました。

「誰かに出会ったとき、どれくらい親しくなれるかということを含め、相手が自分の人生でどんな役割を果たすか人かを見極めるプロセスがあります。その過程で、相手と深い精神的な繋がりを感じられるようであれば、それはプラトニック・ラブと言えるでしょう」

性的な感情を含まないことがカギ

作家であり教育者でもあるダイアナ・ラーブ博士は、プラトニック・ラブを次のように定義します。

「感情的で、場合によってはスピリチュアルな関係だと感じるかもしれません。お互いに性的な関心は含まれませんが、その代わりに深い配慮や尊敬心、誠実さを持ち合わせています」

いわゆる性的な関心と肉体関係を含む恋愛(ロマンチック・ラブ)と比べると、関係性が安定しているのも特徴の一つ。

「プラトニック・ラブは、人間的な繋がりや生きる喜びといった感情と関わるものです。誰かと共にいるときに、自分のことをよく理解してくれている、私はこの世界で孤独じゃない…と感じさせてくれるのであれば、それはプラトニック・ラブを経験しているのかもしれません」(ジェイコブスさん)

「境界線を維持すること」が鉄則

プラトニック・ラブは、信頼関係のうえで成り立っているもの。だからこそ、お互いの境界線が危ういと感じたら予防策をとることが不可欠です。

たとえば、いつか何かの“キッカケ”で性的な関係を結びそうな気がする場合には(そしてそれをお互いが望んでいないのであれば)、旅行のときはホテルの部屋は別々にするべきだし、相手の気を引くような会話と行動は避けるべきでしょう。

パートナーがいてもプラトニックな関係は持てる?

もしあなたが結婚をしていたり、恋人やパートナーがいる場合でも、健全にプラトニックな関係を続けることは可能です。ただし、そのためにはパートナーや恋人とのコミュニケーションが不可欠。

「特定の人とプラトニック・ラブを築いていることに対し、パートナーや恋人が嫉妬をしたり不安になってしまうのは自然なことです。あなたがするべきなのは、相手を不安にさせないための努力でしょう」
「たとえば『外でごはんを食べてくる』とだけ伝えるのではなく、『今日は○○と一緒にごはんを食べてくる』と、オープンに伝えることが、パートナーや恋人の不安解消に役立つでしょう」

隠しごとをすることで、信頼関係と気持ちが揺らぐことが多いうえ、疑いや嫉妬が生まれます。後ろめたいことがないのだから、オープンなコミュニケーションが重要だということ。

それでも配偶者が苦しんでいるようなら、こう自問してみましょう。「配偶者の心配は実際に根拠がある? 自分は、この友達のために恋人やパートナーを失う覚悟があるだろうか」と。恋人やパートナーを失いたくないのであれば、プラトニックな関係にある友人と過ごす時間を減らすなど、バランスを調整する必要があるかもしれません。

プラトニックな関係は成立する?

簡潔に言えば、イエス。もし、それに時間を費やす覚悟があるのなら、です。ただし、それ以上の関係(性的な結びつき)を望んでいないことは、自分にも相手にも確認する必要があります。

「単なる友人ではなく、プラトニック・ラブの関係にあると感じている相手がいるなら、性的な結びつきを望んでいないことについては話し合いましょう。気恥ずかしかったり不安だとしても、意図をはっきりさせた方がお互いにメリットがあります。食い違ったままにすると、揉め事に発展し、友情が終わることもありえます」

覚えておきたいのは、「プラトニック・ラブ(性的な結びつきを持たない一方で深い精神的な繋がりを持つ関係)」と、「ロマンティック・ラブ(深い精神的な繋がりだけでなく、性的な結びつきも持つ関係)」という二つの愛情の形を同時に経験することは可能だということ。親密さには種類があり、それが必ずしも性的な繋がりを持つとは限らないのです。

※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
Translation:mayuko akimoto
OPRAH DAILY