現地時間3月27日(日)に開催されたアカデミー賞授賞式で、ウィル・スミスがクリス・ロックを平手打ちした事件をめぐる新たな局面として、授賞式のプロデューサーを務めたウィル・パッカーが沈黙を破った。

パッカーは現地時間4月1日(金)、米トーク番組『グッド・モーニング・アメリカ』に出演。ロス市警がすぐにこの事態を深刻に受け止め、「私たちはあなた方が望むようにするし、今すぐ彼(スミス)を逮捕するという選択肢もあります」と明言したことを明かした。

ロックが放ったジョークは台本に書かれていたのではないかという噂について、パッカーは「(ロックは)用意されていたジョークをひとつも話さず、すぐにフリートークに入りました。けれど、生の観客を前に危なげなく即興でトークを繰り広げることができる人物がいるとしたら、それがクリス・ロックなのです」と語っている。

ロックがジョークを放った後も、パッカーはこのやりとりはちょっとしたもので、気楽さとユーモアが彼らの“自然な姿”であることから、2人の間で「何か面白いこと」が起こるだろうと思っていたそう。

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しかし、残念ながら彼が思った通りにはならなかった。

パッカーはさらに、「ウィルがステージに向かって辛辣な言葉を激しく叫んでいるのを見たとたん、心臓が止まりそうになりました」とし、「『いやいや、そんな展開はダメだ』と思いました。が、他の人たちが混乱していたときにも、ロックは冷静さを保っていたんです」

「私は、あの事件が何を意味し、どんなもので、誰が関わっていたのかを考えると、そのすべてに胸が締め付けられる思いでした。あのときほど即座に、打ちのめされたと感じたことはありませんでした」と語っている。

平手打ち事件が冗談ではなかったことをパッカーが確認したのは、ロックが長編ドキュメンタリー映画賞(『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』のクエストラブ監督が受賞)を発表し終え、ステージから降りたときだった。

パッカーによると、ロックは「とてもショックを受けている」状態ではあったものの、「モハメド・アリのパンチを食らったよ」とジョークを言う余裕はあったそう。

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パッカーはさらに、私たちが知りたいと思っていること――つまり、この事件の背後で実際に何が起こっていたのかについても明らかにした。

「私はすぐにアカデミー賞の上層部の元へ行き、『クリス・ロックはそれを望んでいないし、この状況をさらに悪化させたくないと明言している』と伝えました。それがクリスの気持ちだったんです。彼の口調は報復的ではなかったし、攻撃的で怒りに満ちたものでもありませんでしたから」

「だから、ロックがそのとき望んでいたこと、つまりウィル・スミスを無理やり退席させないようにと提案しました。なぜなら、今になって私に説明されているように、その時点では唯一の選択肢でしたからね。私が知らないところで、ウィルには自発的に退席してもらうよう促す会話があったと聞きましたよ」

94th academy awards show
Myung Chun//Getty Images

しかし、パッカーはスミスが『ドリームプラン』で主演男優賞を受け取ったとき、その場を借りて「あのステージに上がり、事態をよりよい方向に改善してほしい」と願ったのだという。

パッカーは、「彼があのステージに立って、『数分前にやったことは、完全に自分が間違っていた。クリス・ロック、本当に申し訳ない。許してくれ』と言ってくれることを皆が期待していましたし、私もそれを望んでいました」

「彼が(主演男優賞を)受賞するような気がしていましたし、もし彼が会場に留まって受賞したら、そう言ってくれるんじゃないかとも期待していました」

will smith at the 94th annual academy awards
Neilson Barnard//Getty Images

だが、スミスはアカデミー賞サイドとノミニーたちに涙ながらに謝罪したものの、クリスとのやりとりを直接認めることはなかった。パッカーは、これはスミスのミスだったと指摘している。

「彼には、自分があの行為(平手打ち)を実際に行ったという視点がありませんでしたし、受賞スピーチにも懐柔的な点がありませんでした。そして、その後も会場に居座り続けました」

こうした詳細が、スミスのアカデミー会員辞任の手続きにどこまで影響するかも気になるところだが、ひとつ確かなことはというと、この平手打ち事件に関する情報は、これで最後ではないだろうということ…。

Translation: Masayo Fukaya From COSMOPOLITAN US