アメリカでは7月21日から劇場公開が始まるやいなや、2週連続で興行収入1位をたたき出した映画『バービー』。

同作品は、そのポップな世界観はもちろん、『レディ・バード』などを手がけたグレタ・ガーウィグがメガホンを取ったこと、マーゴット・ロビーとライアン・ゴズリングの共演、様々なステレオタイプを払拭することを一つのテーマとして描いていたことなどから日本国内でも期待が高まっていた。

ところが先日、SNSに投稿された原爆とバービーを合成した画像に対し、映画『バービー』の英語版公式アカウントが不適切コメントを投稿し、批判が噴出。その後、ワーナー ブラザース ジャパン合同会社による抗議文を受け、米ワーナー本社が謝罪を表明している。

ミーム化された「バーベンハイマー」

きっかけは、「Barbenheimer(バーベンハイマー)」と題されたいくつかの画像がSNSに投稿されたこと。

そもそも「Barbenheimer(バーベンハイマー)」という言葉は、同時期に公開された二つの作品がアメリカ国内で大ヒットを遂げていることから作品名を合わせた造語として生まれ、少なくとも7月中旬から様々なメディアやSNSで使われていたもの。これをテーマに“ファンメイド(二次創作)”した画像が、次々とSNSに投稿されるように。

共通点は、“原爆の父”と呼ばれる男性の生涯を描いた新作映画『オッペンハイマー』と、映画『バービー』を掛け合わせた合成画像であること。主役同士を合成させたものもあれば、バービーの髪型に原爆を象徴する“キノコ雲”を合成したものや、映画『バービー』の象徴的なシーンの背景に原爆らしき爆風を合成したものが投稿され、映画関連の情報を取り扱うSNSアカウントが紹介するなどしてネットミーム化していた。

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114万人のフォロワーを抱える@DiscussingFilmでは、フランシス・フォード・コッポラ監督による「バーベンハイマーは映画館を救う栄光の作品だ」という発言を取り上げる際に、J・ロバート・オッペンハイマーがバービーを肩に担いでいる合成画像を投稿している。

映画『バービー』アカウントによる不適切発言

これらの画像に、映画『バービー』の英語版公式アカウントが「It’s going to be a summer to remember.(忘れられない夏になる)」や「This Ken is a stylist.(ケンがスタイリストなんだね)」など冗談めかして返信したことに端を発し、原爆による影響や被害を矮小化していると日本国内や日本語ユーザーの間で批判が噴出。一時は「#NoBarbenheimer(バーベンハイマーにNOを)」がトレンド入りし、謝罪を求める声やボイコットを示唆する声が高まっていた。

この事態を受け、7月31日(日本時間)にワーナー ブラザース ジャパン合同会社が謝罪とアメリカ本社への抗議文を発表。

バーベンハイマーのムーブメントや活動は公式なものではないことを説明したうえで、「一方で、このムーブメントに起因したファンのSNS投稿に対し行われた、映画『バービー』のアメリカ本社の公式アカウントの配慮に欠けた反応は、極めて遺憾なものと考えており、この事態を重く受け止め、アメリカ本社にしかるべき対応を求めています。この配慮に欠けた一連の反応について、不快な思いをされた方々には、お詫び申し上げます」と綴っている。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

その後、 米ワーナー ブラザース本社が<Deadline>をはじめとするメディアを通じて「ワーナー・ブラザースは、先のソーシャルメディア上での配慮に欠けたやり取りを遺憾に思っています。深くお詫び申し上げます」という謝罪文を発表。

問題となった米国公式によるツイートの多くは削除されたものの、現状では当該アカウントでの謝罪文の投稿やプレスリリースでの配信はされていないようだ。