止まらない物価上昇は多くの人々の生活費に影響を及ぼしていますが、日用品の購入が難しくなっている家庭も増えてきています。

チャリティー団体「Hygiene Bank」の統計によると、イギリスでは320万人に及ぶ人々が貧困により、歯磨き粉、ボディソープ、デオドラント(体臭防止剤)、生理用品などの基礎的な日用品さえも購入できなくなっているというデータもあります。

今回は<コスモポリタン イギリス版>より、イギリスでの“衛生面での貧困”の現状についてお届けします。

4人に1人が日用品が買えない状態

「Hygiene Bank」の統計に参加したイギリス在住者のうち、4分の1がトイレットペーパー、石鹸、ボディソープなしで生活し、女性10人のうち3人が生理用品を買えなかったと回答。そして12%は、衛生面での羞恥心から同僚にも会わないようにしていると話しました。

Office for National Statistics」のデータによると、イギリスでは去年よりシャンプーの値段は8%上がり、ボディソープは11%にまで及んだそう。さらに、衛生面の貧困に苦しむ人の多くは、洗濯洗剤や家の掃除用具もなく、62%は日用品も自分用か子ども用どちらか一つしか購入できないと回答しました。

このデータは2021年10月から2022年2月にかけて行われた統計の結果で、ここ最近の物価上昇は反映していないため、今では悪化している可能性が高いと考えられています。

cropped hands of woman touching mirror at home
Maria Maglionico / EyeEm//Getty Images

貧困による衛生問題の影響

「Hygiene Bank」のCEOであるルース・ブロックさんは、この問題を「隠れた危機」だと説明。

「貧困による衛生問題は、私たちが恐れていたよりもずっと広まっていて、増えています。最も弱い立場の人たちに偏って影響を及ぼしているのです」
「衛生面での影響は、燃料や食べ物の貧困とは違った現れ方です。でも実際には、暖房をつけなかったり、フードバンクで食べ物をもらったりする数週間前には、日用品の購入はやめているでしょう」
blurred hair care, skin care and cosmetic at pharmacy store
TrongNguyen//Getty Images

人と会わないように…

二人の子どもを持つシングルマザーのエレーヌさんは、あらゆる日用品は長く使えるよう薄めて使っていると話しました。そして髪は何週間も洗っていないことを隠すために結んでおり、自分の体臭を気にして人とは距離を置かないといけないと感じているとも告白。

ブロックさんは、衛生面での貧困は、人と人との交流を妨げてしまうと指摘しています。

「私たちの元には、家から出ることが恥ずかしいと話す母親たちもいます。その結果、何週間も誰にも会わないのです。他の親たちに会わないためにも、最後に保育園に子どもを預けたいと言います」
「衛生だけでも大切です。だけどそれに加えて、衛生面が改善することで、人生を変化させるチャンスにもつながるのです」

※この翻訳は抄訳です。
Translation: Haruka Thiel
COSMOPOLITAN UK