J・K・ローリング原作の大人気ファンタジー映画『ハリー・ポッター』シリーズの主要キャラクター、ドラコ・マルフォイを演じたことで知られる俳優のトム・フェルトン。
現在35歳の彼は、自身の体験を綴った著書『Beyond the Wand: The Magic and Mayhem of Growing Up a Wizard』を出版し、メンタルヘルスの問題を公表。共演者だったエマ・ワトソンが、人生で困難だった時期に手を差し伸べてくれたことに対し、感謝の気持ちを明かしています。
トムがメンタルヘルスの問題を抱えるようになったのは、『ハリー・ポッター』の撮影が終了して1年ほど経った頃だったという。治療介入や短期間のリハビリを行い、長年のパートナーであったスタント・アシスタントのジェイド・オリビア・ゴードンとも破局しました。
英<インディペンデント紙>に対し、彼はこう話している。
「複数の人たち、特にエマ・ワトソンが、(心の問題について)すべて話すよう背中を押してくれました。一部分をかいつまんであいまいに話すのではなくてね」
「それが自分にとってカタルシス(精神の浄化)になるからという理由だけではありません。自分の人生の一部を語ることで、人生のどん底にいる他の人たちの助けになるかもしれない、という思いもありました」
トムは、メンタルヘルスの問題を引き起こした原因について詳しくは語っていませんが、飲酒の“症状”があったと表現しています。
「“治療介入”という言葉に潜む問題のひとつは、うつ病や薬物乱用、もしくは何か他の問題があることを、多くの場合自然にほのめかしてしまうことだと思います」
「私の場合、私が幸せでないことを十分に理解してくれている人たちが周りにいました。これは自分たちが昔から知っていた“トム”ではないと。当時、私ははっきりと物事を考えることができませんでした。しかし彼らは、私が助けを必要としている状況であることを見抜いてくれたのです」
「多くの人は、自分がどん底にいるときに、それがどれほどひどい状況かを認めないのです」
『ハリー・ポッター』でハーマイオニー・グレンジャー役を演じたエマ・ワトソン。彼女によれば、2人の友情は3歳年下のエマが「彼の注意を引こうと必死になっている子犬のように」トムの後をついて回っていた頃に遡るそう。
トムは、「“シッピング(shipping)”という言葉を知ったのは、コミコンのときでした」と語る。“シッピング(shipping)”とは、現実であってもスクリーンの中であっても、憧れのキャラクターたちが結ばれるのをファンが望むことだそう。
「エマのことはよく知っているし、(2人が結ばれることを願うファンがいたのに対し)僕も何の問題もない」と加えたトム。
2022年に配信された特別番組『ハリー・ポッター20周年記念:リターン・トゥ・ホグワーツ』で、エマは当時、トムに「恋をしていた」と振り返っています。撮影当初、エマは11歳で、トムは14歳。当時はトムに“妹”のように見られることに絶望していたそう。
エマは番組の中で「(現場にある)勉強用の部屋に入っていった」と話し、次のように続けました。
「そのときに与えられた課題は、『自分の考える神』の絵を描くというものだったのですが、そこでトムは後ろ向きに帽子を被った、スケートボードに乗っている女の子を描いたのです。それで、どう言っていいのかわかりませんが、恋に落ちたのです」
「私は現場に毎日行って、予定表にトムの番号があるかを確認していました。彼の番号は7番で、予定表にその番号があった日は最高に嬉しかったですね。彼は私よりも3歳年上なので、彼からすると『君は妹のような存在』という感じでしたけど」
エマは、この恋愛感情は報われなかったと話していますが、トムは彼女の気持ちに気づいていたという。
「ヘアメイクの椅子に座っていたときに、誰かが『ああ、彼女は君に惚れているね』というようなことを言っていたと思う」と、同番組のインタビューで語っています。
「そして、彼女をとても大切にするようになりました。私はずっと彼女に特別な気持ちを抱いていましたし、それは今も変わりません。なんと言えばいいかわかりませんが、ずっと家族のような気持ちがありましたね」
エマは2011年、米『セブンティーン』誌にこう語っている。
「(『ハリー・ポッター』シリーズ)最初の2作は、トム・フェルトンに夢中になっていました。私にとって初恋の人で、彼もそのことを知っています。今でもその話をして笑い合っていますし、私たちは本当に良い友人になりました」
Translation: Masayo Fukaya
From ELLE US