あらゆる情報を気軽に知れたり、シェアできたりするソーシャルメディア。同じ悩みや不安を抱えている人やコミュニティを見つけることができるという便利さの一方で、誰もが発信者になれることから、誤った情報が拡散されることも少なくありません。

昨今、TikTokで増えてきたのが「ADHD(注意欠陥・多動症)」に関する投稿。特に欧米では、TikTokで見た情報に影響を受けて医療機関に相談に行く人が増えていると言います。

本記事では、医師が「ADHDについての正しい知識」を解説。TikTokで拡散されている情報の信ぴょう性と合わせて、<コスモポリタン イギリス版>より、専門家の見解をお届けします。


INDEX

  • 医師の見解
  • TikTokの対応
  • 大人のADHDのサイン

医師の見解

ADHD(注意欠陥・多動症)とは、不注意、衝動性、多動性を主な特徴とする症状の一つ。子どもだけでなく、特に女性は大人になってから診断される人も少なくありません。

とある研究によると、TikTokでハッシュタグ「#ADHD」が付いている動画のなかで52%に間違った情報が含まれているそう。さらに、その動画は平均300万回以上視聴されているという結果もあります。

この影響は実社会にもある、と 精神科医のアンソニー・ヤング先生は説明。

「直近の2年、パンデミックが始まった当初から、ADHDを自認し、診断を受けに来る患者が増加しています」
「TikTokによってADHDの認知度が高まったことが理由の一つだと思います。ADHDは、健康関連のハッシュタグで7番目に人気で、SNS上にコミュニティもたくさんあるんです」

しかし、これにはメリットとデメリットがあるよう。

「ADHDの認知度が高まったことは諸刃の剣です。精神障害へのステレオタイプや偏見は減りますが、それと同時に善意でつくられている動画でも、間違った情報が急激に広がっているのです」

前述の研究では投稿されてる「#ADHD」に関する動画のうち21%しか、科学的に正しい情報を含んでいなかったという結果も。

「ほとんどの動画がADHDを単純化しすぎていて、間違った治療法や診断方法を伝えてしまっています」
「他にも日常でよくあるようなことでも、ADHDの症状だと誤って伝えている動画もあります。たとえば、ADHDのサインとしてよく言われる集中力の低下。これは、睡眠不足やあらゆるストレスなどが原因で起こる場合もあるんです。大切なことを伝えておらず、誤解を招いてしまっているケースも多く見られます」
young female character looking out the window, self isolation and boredom, quarantine
nadia_bormotova//Getty Images

TikTokの対応

Hootsuite」によると、TikTokは毎月10億人以上のユーザーが利用。こうした現状を含めて、TikTokの代表は、<コスモポリタン イギリス版>へこう話しました。

「私たちにとって、TikTokコミュニティが安全で健全な場であることは最優先事項です。個人、コミュニティ、社会に対してひどく悪影響をもたらすような間違った情報は、その意図に関わらず削除しています」

現時点では、人間と自動モデレーション機能の両方で、ガイドラインに則り、コンテンツをモニタリングしているそう。

「私たちは、TikTokがメンタルヘルスをシェアでき、仲間を見つけられる場であることを誇りに思います。そしてメンタルヘルスのアドバイス、サポート、診断を必要としている人は、専門家に相談することを推奨します」
young female character taking off a mask, mental health problems, detachment and depression
nadia_bormotova//Getty Images

大人のADHDのサイン

NHS」によると、以下のような点で実生活に影響が出るなどの問題を抱えている場合、ADHDである可能性があると言います。

  • 整理整頓、時間管理をすることが苦手
  • 手順に従って行動することが苦手
  • 集中してタスクをこなすことが苦手
  • ストレスと向き合うことが苦手
  • 休息をとる、ゆっくりすることが苦手
  • 衝動的で、リスクを冒しがち
  • 人間関係や社会との関わりが苦手

「NHS」は、ADHDの可能性があると感じ、特に子どもの頃に診断されたことがない人は医師に相談することを勧めています。

※この翻訳は抄訳です。
Translation: Haruka Thiel
COSMOPOLITAN UK