美容成分へのこだわりや画期的で最先端の技術、目を引くパッケージ、良心的な価格帯などから、世界中で注目されている韓国のビューティ業界。しかしその人気の一方、肌の色によっては合う製品を見つけられないという課題も。
それに気づいたナイジェリア出身で、韓国在住のグレース・オカフォーさんは、韓国コスメブランド「Dr. GIO Cosmetics」を創設。 6色展開のクッションファンデーションで、K-Beautyへ多様性をもたらすきっかけを作っています。
今回は、グレースさんへインタビュー。ブランドをローンチするまでの経緯や韓国コスメに対する想いなどを伺いました。
ーーブランドを立ち上げようと思ったきっかけを教えてください。
2013年にナイジェリアのアブジャにある韓国文化院(韓国の文化を体験できる施設)で、韓国語の先生からシートマスクをもらったのが、K-Beautyに興味を持ったきっかけでした。韓国のスキンケア製品には、革新的でナチュラルな成分を使っていることを知り、興味を持ったんです。
シートマスクをもらった後、もっといろんな韓国コスメを使ってみたくなったのですが、ナイジェリアで見つけるのが難しくて。それから韓国で国際ビジネスと貿易の学位を取って、韓国とアフリカのつながりを深めようと考えました。
2015年、実際に現地へ行ってみると、韓国コスメブランドでは私と同じような肌の色の人に合う製品を見つけられなかったんです。そのときに、「韓国とアフリカのつながりを深めるなら、幅広い肌の色に合った製品を作り、K-Beautyをもっと包括的で多様性のある業界にしよう」と決意。こうして「Dr. GIO Cosmetics」は、韓国政府のサポートもあり、2021年1月1日にローンチしました。
ーー「Dr. GIO Cosmetics」はどんなブランドですか?
「Dr. GIO Cosmetics」は、様々な文化を取り入れながら、韓国コスメの歴史やイノベーションをいろんな肌を持つ人にシェアする、多様性のあるK-Beautyブランド。 韓国コスメを好きな人が、肌の色に関わらず自分に合った製品を見つけられることを目指しています。
ーー韓国とナイジェリアの文化をどう融合させましたか?
クッションファンデーションには、西アフリカ(ナイジェリア、ガーナ)でよく使われるシアバターを採用しています。また、製品のカラー名にはナイジェリアの部族の名前をつけました。
大変だったのは、「肌の色が濃い人向けの製品を作っていても、K-Beautyには変わりない」と理解してもらうこと。世界トップレベルの韓国のビューティ製品を、多くの人たちに使ってほしいという想いがあっただけで、K-Beauty自体を変えようと思っていたわけではないと伝えるのが難しかったですね。
ーーブランドを立ち上げてから、どんな反応がありましたか?
“黒人女性初の韓国コスメブランド”として、韓国はもちろん、日本に住む黒人女性にたくさんのサポートをしていただき、「Asian Boss」、「Arirang」、「KBS」などのメディアにも取り上げてもらいました。
韓国や日本のコミュニティに早い段階から注目してもらえなかったら、今はなかったと思います。
ーーブランドを立ち上げてから、学んだことはありましたか?
韓国のビューティ業界で、様々な肌の色に対応した製品の開発が進んでいない理由を理解し、投資家からのサポートがなかなか得られなくても、ブランドのゴールやミッションを遂げられるように努力してきました。
着実に成長してきましたが、口コミを大切にしているので、ここまでやってきたことを変えようとは思いません。今も人々が必要なものを確実に作ることが、何より大切だと考えています。
ーーグレースさんが考える、K-Beautyの魅力を教えてください。
韓国コスメはとても革新的で、多くの自然由来の成分を使用しています。安全性が高く、常に進化し、新しい製品やパッケージを創り出しているのが魅力ですよね。
だからこそ美しく革新的な製品を、肌の色に関わらずどんな人でも使えるように、もっと多様性が必要だと思っています。
ーーグレースさんが考える、“美しさ”とは?
美しさは外見的なものだけでなく、健康、性格、人間性などからくる内面的なものが重要だと考えています。
“真の美しさ”には、多様性が不可欠。全ての人がユニークで、違いはあるけれど、みんな同じ人類だと気付けば、誰もが美しく、尊重されるべきだと理解できるはずです。
ーー今後の夢や目標を教えてください。
私の夢は、多様性のあるK-Beauty製品を、世界中、特にアフリカで手に取れるようにすること。韓国コスメに対して世界中の人たちが興味を持っているからこそ、限定的にするのではなく、もっと多様なものにしていきたいですね。