英国王室を描いたドラマ『ザ・クラウン』シリーズでダイアナ妃役を好演したエマ・コリンに、強力なライバルが登場。映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』で知られるパブロ・ラライン監督の最新作『スペンサー』で、女優のクリステン・スチュワートがダイアナ妃役に抜擢されました。

31歳のクリステンが主演を務める『スペンサー』では、ダイアナ妃の短い人生において重大な決断をした日々を描いています。つまり、彼女がチャールズ皇太子との結婚生活に終止符を打とうと決意した瞬間のこと。

全米では2021年末までに公開される予定なので、『ザ・クラウン』のファンは、2022年に予定されているシーズン5の配信まで、『スペンサー』の余韻に浸ることになりそう。 そこでここからは、これまでにわかっている映画『スペンサー』に関する最新情報を「Hearst Contents Hub」が振り返り!

映画『スペンサー』はいつ公開される?

『スペンサー』は、2021年9月1日(現地時間)に開幕するヴェネツィア国際映画祭で、一部の招待客に向けたワールドプレミアを行います。その後、2021年11月5日に劇場で一般公開される予定。つまり、ダイアナ妃の没後25周年となる2022年の直前に公開されるということ。

クリステン・スチュワートが演じるダイアナ妃とは?

『デッドライン』誌は2020年6月17日、クリステン・スチュワートが同作にキャスティングされたことを報じました。 ラライン監督は当時、同誌のインタビューで次のようにコメント。

「クリステンは、ミステリアスから繊細、そして強気な役まで、私たちのニーズに合わせてどんな役柄でも自在に演じることができます」
「彼女の脚本への反応や、役作りへの姿勢は、見ていてとても美しいものでした。彼女は人々に驚きを与え、同時に興味をそそられるようなことをしてくれるでしょう。映画監督の立場から言うと、クリステンは、ドラマティックで物語的な重厚感を目で表現することができるため、私たちが伝えたいことを観客に届けてくれる強力なリーダーとなるでしょう」

本作の制作会社であるネオン(Neon)は、2021年1月27日に撮影が開始したことを発表。その後クリステンは次の声明を出しました。

「『スペンサー』は、人生の重要なターニングポイントにあったダイアナ妃の感情を描き、その世界に飛び込んでいくような作品です」
「同作の根底を支えているのは、彼女の“スペンサー”という名字です。この名前は彼女にとって、自身を構成する要素全体を物理的に表現したもの。ダイアナ妃は、スペンサーという名前が意味するものを必死に守り、自らを取り戻すために苦しい努力を重ねています」

クリステンがダイアナ妃に扮した姿は?

クリステンの起用に疑問を感じた人々を納得させたのが、以下の映画制作会社が公開した2枚の写真と、撮影現場のパパラッチ写真。クリステンが驚くほどダイアナ妃そっくりに変身した姿を見ることができます。

1月27日(現地時間)にネオンが本作のファーストルックを公開したことで、パパラッチに火をつけました。

kristen stewart as princess diana in spencer
Neon

1月末、パパラッチは、映画のなかでサンドリンガム・ハウス(エリザベス女王の別邸)のロケ地となった、ドイツのフリードリヒスホーフ城で、撮影現場にいたクリステンをキャッチ。

クリステンは、1983年にケンジントン宮殿で行われた写真撮影の際にダイアナ妃が着ていたものと同じ、ネックラインにドレープの入ったクリーム色のセーターを着用していた。2月と3月にも撮影現場での写真が公開されています。

3月25日、ネオンはクリステンがダイアナ妃に扮した別の写真を公開し、撮影場所が英国に移ったことを発表。

kristen stewart as princess diana in spencer
Neon
Stewart as Princess Diana in Spencer.

3月29日、パパラッチはクリステンが赤いバーシティジャケットとジーンズを着用して撮影現場にいる写真を公開。これは、1992年にダイアナ妃がヘンリー王子と一緒に学校でキャッチされたときのファッションと似ています。

ネオンが8月25日に公開した『スペンサー』の公式ポスターには、ダイアナ妃の特徴的なボブを再現したクリステンが、白いストラップレスのガウンを着てうずくまっている姿が描かれている。このイメージからは、映画のなかで繰り広げられる激しい展開が予想される。

kristen stewart as princess diana in spencer movie
NEON

予告編は?

まだ一般公開はしていないが、ネオンは8月25日に開催された映画祭「シネマコン(CinemaCon)」で、予告編を公開した。『デッドライン』誌によると、この予告編では、宮殿周辺におけるダイアナ妃のロイヤルライフを垣間見ることができ、「スーツ、ロブスター、アスパラガスのスープ」などが映し出されているほか、妃の動揺を描いた感情的なシーンも描かれているそう。

また、クリステン扮するダイアナ妃が涙を流し、パパラッチに囲まれているシーンもあるという。 この映像がオンラインで公開されるのを待つしかなさそう。

映画で描かれている時代は?

『スペンサー』は、ダイアナ妃が王室メンバーと過ごした最後のクリスマス休暇にフォーカスしている。1991年、ノーフォーク州のサンドリンガム・ハウスで、妃はチャールズ皇太子との離婚を決意する。

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Princess Diana Archive//Getty Images
1991年12月25日、サンドリンガムの敷地内を歩くダイアナ妃&ヘンリー王子。

ネオンは同作のあらすじを、次のように説明している。

1991年12月、皇太子夫妻の結婚生活はすっかり冷え切っていた。浮気や離婚の噂が飛び交うなか、サンドリンガム・ハウスで行われるクリスマスの集会には平和が訪れている。ダイアナは食べて、飲んで、撃って、狩りをするという一連の習わしを知っているが、今年はいつもとはまるで違う気分で過ごしている。

チリで育ったラライン監督は2020年6月、『デッドライン』誌の取材に次のように語っている。

「私はこれまで、自分の母国にはない王室とその文化に関心を持ち、魅了されてきました」
「ダイアナ妃は非常にアイコニックな存在で、女性のみならず、世界中の人々が、彼女の人生に共感しています。私たちはこの映画を、アイデンティティに関するものにしようと決めました」
「彼女がいかにして王妃にならないという決断を下したのかということです。彼女は映画のなかで、チャールズ皇太子に出会う前の自分になりたいと決意し、それに気づいた女性として描かれています」

また、ダイアナ妃の母性を描くことも同作の重要な要素であることを説明。

「最も重要なのは、映画のプロセスのなかで、ダイアナ妃がなりたい自分になる必要があるということに気づくという点です」
「それは、自分自身と子どもたち以外の部分で、彼女が誰かの隣にいたり、何かの一部になったりする必要はないということです」
「ダイアナ妃にはさまざまな役割がありましたが、なかでも偉大な母親であったことには間違いありません。そのため、(同作は)女性にとって人生で最も大切なものは自分の子どもであるということを理解している、1人の女性の物語なのです」

チャールズ皇太子を演じるのは?

prince charles and jack farthing
Getty Images

チャールズ皇太子役を演じるのは、ジャック・ファージング。ネオンは3月26日に、このキャスティングについて公表した。

他のキャストは?

『ハリー・ポッター』シリーズのティモシー・スポールや、サリー・ホーキンス、ショーン・ハリスが未発表の役柄で出演している。

2019 edinburgh international film festival
Roberto Ricciuti//Getty Images
Timothy Spall
sally hawkins
Karwai Tang//Getty Images
Sally Hawkins
76 venice international film festival 2019
Mondadori Portfolio//Getty Images
Sean Harris

『デッドライン』は3月26日、ドイツ人モデルで女優のオルガ・ヘルシングが元ヨーク公爵夫人のサラ・ファーガソンを演じ、トーマス・ダグラスがダイアナ妃の父親であるジョン・スペンサー伯爵を演じると報じた。

制作チームは?

パブロ・ララインが監督を務めるほか、ドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』のクリエイターであるスティーブン・ナイトが脚本を執筆し、『燃ゆる女の肖像』の撮影監督であるクレア・マトンが撮影監督を務めた。

また、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』でアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞したジャクリーン・デュランが衣装デザインを、吉原若菜がメイクアップとヘアデザインをそれぞれ担当。

ガイ・ヘンドリックス・ダイアがプロダクション・デザイナーを務め、レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドがオリジナル・サウンドトラックを作曲している。

2020年6月、ラライン監督は『デッドライン』誌に次のように語っている。

「私たちは皆、少なくとも私の世代は、おとぎ話を読んで育ちました。普通は、王子様がやってきてお姫様を見つけ、妻になるように誘い、最後にはお姫様が王妃になる。それがおとぎ話です」

「もしそのお姫様が王妃にならないと決めて、なりたい自分になると言うのであれば、それはとてつもなく大きな決断であり、おとぎ話の結末をひっくり返すようなものです。私はいつもそのことにとても驚き、どれほど大変なことだっただろうと思いを巡らせています。そうした考えが、映画の核となっています」

ダイアナの死というデリケートな話題には触れる?

映画の舞台が1991年であることから、1997年にパリで起きた交通事故によるダイアナ妃の悲劇的な死は描かれていない。ラライン監督は、『デッドライン』誌に次のように説明している。

「彼女が亡くなったのは、『スペンサー』が舞台とした時代の何年も後のことなので、それを扱うことはありません。映画では、ダイアナ妃の人生のたった3日間しか描いていないため、そのわずかな時間のなかで、彼女の人柄をより広く、より大きな視点から見つめることができます」
「彼女の運命や境遇は誰もが知るところなので、そこまで描く必要はありません。その代わりに、ダイアナ妃の人物像をより深く掘り下げることで、彼女がどこに行って、誰になりたかったのかを描いています」

クリステンはダイアナ妃のアクセントをどう習得した?

2020年10月、クリステンは『インスタイル』誌で『ハピエスト・ホリデー 私たちのカミングアウト』の監督であるクレア・デュヴァルと対談し、ダイアナ妃役へのアプローチについて次のように語っている。

「アクセントに関しては、とても怯えていました。ダイアナ妃の声はみんなが知っているし、とても個性的で特徴がありますから」
「今まさに、アクセントのコーチをつけて取り組んでいるところです。リサーチに関しては、2冊半の伝記を読み終え、制作に入る前にすべての資料に目を通すつもりです」
「これまでに存在したなかで最も悲しい物語のひとつです。だから私は、ただ単にダイアナ妃を演じるだけではなく、彼女を深く理解したいと思っています。長い間、役を演じるのにこれほどワクワクしたことはありません」

※この翻訳は抄訳です。

Translation: Masayo Fukaya


From: ELLE JP