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Cédric Diradourian

アスリートモデルとして活躍する一方、日々の練習で着実に実力をつけている柔術家の東あずささん。柔術入門から1年となる節目の今月の連載は、あずささんの指導者でありブラジリアン柔術家の石川祐樹さんとの対談を紹介。次こそは試合で一勝を! と奮闘する彼女の柔術家としての成長を、指導者の視点から語っていただきました。

――本格的に柔術を始めてからちょうど1年。柔術に対する今の思いを正直に教えてもらえますか?

東:始めたばかりの頃、自分に柔道のバックボーンがあったので柔術でも簡単に勝てる、絶対いい方向に進んでいくに決まってる! なんて考えていたんですけど、そう甘くはなかったというのが現実。でも、辛いことがたくさんある中でなんとか続けられて、それは良かったかなと思いますね。これでやっとスタート地点に立たんじゃないかなって。まだ試合に勝てていないから、何としてでも一勝をあげたい! 先生達もすごく厳しくて。「次負けたらもう誰も応援してくれないよ」とか言われたりして。

石川:それは冗談でしょ!(笑)でも、モデル業も忙しい中で定期的に練習を続けて、1年を通じてちゃんと柔術に向き合えたのはすごいことだと思いますよ。実際、飽きて辞めてしまう人の方が多いんです。あずさも始めた当初はモデル業の一環として捉えていたかもしれないし、周りも「どうせ遊びだろう」ってあまり相手にしていない部分もあった。でも、1年、2年ってまじめにやり続けていたら他人からの見る目も変わる。だから、やり続けて証明しろ! と。

東:もちろん! 自分で蒔いた種である以上、ここで辞めるわけにはいきません。先生達にも熱心に指導していただきながら自由に柔術ができているのに、一勝もせずに、辞めることなんて絶対にできない。でも、最近、女性の柔術家がすごく増えていて、若くてかわいい女の子達に負けてしまうんじゃないかとちょっと心配(笑)。私自身、柔術関連のお仕事がどんどん増えているので、そういう意味では柔道や道場の広告塔として、少しでも役に立てているのかなと思えると嬉しいですね。

石川:そうなんだよ、最近は女性の問い合わせがすごく増えていて、それはきっとあずさのおかげなんだろうなと感じてた。柔術は怪我も避けられないし、実際やるとすごく大変だろ。顔面の上でめちゃくちゃしてもいい競技なわけだから、普通のモデルさんはできないと思うんだよね。前はあずさも腐ったりんごみたいなアザを作っていたけど、今はもう大丈夫でしょ?

東:(笑)はい、もう今は平気です。不思議なことに慣れるとアザができにくくなるんですよね。足の太さも1年前と比べてだいぶ筋肉がつきました。

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CÉDRIC DIRADOURIAN

――石川先生から見て、この1年であずささんはどう変わりましたか?

石川:彼女も言っていたように、黒帯で自分が得意としていた柔道と柔術がまったく違う競技であることを理解して、その厳しさを身を以て知ったということは大きんじゃないかと思いますね。あずさは体重の割に体が強くて、あと勘が鋭いんですけど。

東:え! 本当?

石川:うん。柔術は決まった動きであっても、相手の反応に合わせて臨機応変に姿勢を取らなければならない競技なので、最後は即興なんですよ。その部分が上手いなと思います。逆に悪い点を言うと、あずさは頑固なんですよね。技を仕掛けて止められたとしても、もう一回同じ技でやろうとする。それじゃあ相手の思う壺だからね。柔術は諦めのいい性格が有利なんですよ。だからもっと柔軟になればいいのになって思っているんだけどね。

東:うーん…。先生達に教えてもらっても、試合に勝てないのが悔しくて。自分ではすごく練習しているつもりなんですけど、それを試合で出すことがどうしてもできないんですよ。それはなぜ?

石川:試合は練習の2割しか出せないものなんだよ。みんなその2割で戦っている。練習の通りに力を出せたら、誰だって世界チャンピオンになれるわけだからさ、そういうもんだと思ってやるしかない。あんまりプレッシャーに思わず、のびのびとやるのが一番いいと思うよ。あずさは目立つし、色眼鏡で見られてしまうことがあると思う。普通だったら白帯の試合なんて誰も見ていないけど、あずさだから注目される。だからプレッシャーも100倍あると思うけど、いいことも100倍あるはずだから、これからもポジティブに頑張って欲しいな。

東:なかなか結果につながらなくて本当にしんどいなって思う時もあるんですけど、それでも練習しなきゃ! って続けられているのは、道場で指導してくださる先生達のおかげなんです。まずは一勝できるように頑張るので、石川先生、これからもよろしくお願いします! 強くてかわいい女の子が現れても、あずさのことを見捨てないでください(笑)