【悶々45】キレイになりたいのは、男の気を引きたいからじゃない。

そういう気持ちを完全否定はしませんが、基本的には自分のため。

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自分からは何もせずに、夢見ていたことが次々と実現したシンデレラは…

ガラスの靴とかカボチャの馬車とか、着てたボロ服が魔法によって一瞬にしてゴージャスドレスに!みたいなキラキラ満載の『シンデレラ』は、ディズニーのスイートな映像化も手伝って、「女子の幸せな上がり方」の象徴として長らく多くの女子たちの憧れの存在だったと思います。もちろん今もそうであることに変わりはありません。

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だって、お手入れにもメイクにもドレスにも金をかけることなく魔法で美しくなり、王国を支配する大金持ちでイケメンの王子様のところまで送り届けてもらい、相手が自分に一目ぼれしてくれた上に、行方不明の自分を国中を血眼になって探し出してくれて、小汚い彼女に「舞踏会の夜はキレイに見えたけど…」なんて言わずにすんなりプロポーズしてくれるとか、これほど楽ちんなことはありません。全女子がウェルカムなシチュエーションだと思います。いや、ちょっとストーカーっぽいか。怖いか。

こうした『シンデレラ』を含む多くの童話の、本当の本当の元祖と言われているのが17世紀のイタリアで生まれた「五日物語」。枠組みとなる大きなお話と、その登場人物が語る50の物語を合わせた51話からなるのですが、このなかの3つのお話を映像化した作品が映画『五日物語―3つの王国と3人の女―』です。主人公3人はそれぞれ「子供が欲しい王妃」と「結婚に憧れる王女」と「若さを欲する老婆」なのですが、驚かされるのはそれを手に入れんとする彼女たちの執念の、恐ろしいまでの一直線ぶりです。

今よりもずっと「不思議」に支配されていた時代、欲望をかなえるためのスタンダードな手段といえば――前回も書きましたが、今の時代も女子が愛してやまない「おまじない」です。これがまさに「効果絶大なので軽い気持ちでやらないように!」な感じである上に、お願いする側が背負わなければならない代価もハンパなく、例えば「子供が欲しかったら、モンスターの心臓を…」みたいな、ちょっとそれマジですか的な展開になるわけで、物語はなかなかに壮絶です。

実はワイドショーネタみたいな、"継母を××した女"だった

童話にはそもそも残酷な話が多いというのはここ1020年くらいの定説で、この『五日物語』はまさにその典型だと思うのですが、その中に冒頭で書いた「女子の幸せな上がり方」の象徴ともいえる『シンデレラ』の原型があるというのはすごく興味深い事実です。

それがもともとはどんな話だったか知りたくなった私が調べたところ、いわゆるシンデレラをいじめる継母は2番目の継母で、物語は彼女がその後々妻となった女と共謀して自分と不仲だった最初の継母を殺害するところから始まるとか。さらに言えば、そんなことをした彼女が、結末は世の中に知られる通り、幸せになってしまいます。

"継母殺しの女"って・・・ワイドショーネタか。あまりの事態に、私は思わず突っ込みを入れました。それはなんというか、幼いころから大切にしまっておいたキラキラな宝石箱を20年ぶりに開けてみたら呪いの言葉と一緒にトカゲの黒焼きが入っていたとか、うわーきれいな海!と思って飛び込んだら水底は真っ黒いナマコだらけだったとか、そんな衝撃です。

これを後世の作家たちが「殺人者が王妃になり幸せに暮らしましたとさ、ってのは道徳的によろしくないんでないの?」と考え、微妙に変えていったのは当然と言えば当然かもしれませんが、引き換えにシンデレラはメチャメチャ受動的なキャラクターになってしまったワケで、もちろん人殺しはいけませんが、何やらちょっと残念な気持ちがしなくもありません。

いずれにしろ「何かを欲せば(もしそれが失敗に終わるとしても)、その代価を支払ってもかまわない」というエネルギーが、この作品の女子たちにはあふれています。彼女たちの望みが「子供」「結婚」「若さ」という点を「400年変わってない」と考える男性もいるかもしれませんが、その先にあってもおかしくない真の目的「男の気を引くため」がないことも特筆しておきます。彼女たちの欲望は純粋に自分が満足したいから。まあそれも男がそう思い込んでいるだけで、400年変わってないかもしれませんが。

♥【女子の悶々】記事一覧はこちらでチェック

(C)2015 ARCHIMEDE S.R.L. – LE PACTE SAS

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