セクハラは万国共通で抱えている問題。日本でも、痴漢や執拗なナンパなど、異性から何かしらの嫌がらせを受けた経験のある女性は多いはず。

コスモポリタン イギリス版によれば、最近イギリスで行われた調査から、なんと85%もの女性が、見知らぬ男性からセクハラを受けた経験があることが判明したそう。

ロンドン在住のフォトジャーナリスト兼セットデザイナーであるエライザ・ハッチさんは、「Cheer Up Luv(笑ってごらんよ!)」と題したプロジェクトを通じて、Instagramでセクハラ反対運動を展開している女性。22歳のエライザさんは、身近な女性たちにセクハラ被害の経験談を共有して欲しいとお願いし、その経験談と一緒に掲載する写真も撮影しているそう。コスモポリタン イギリス版が、これらのプロジェクトに込めた思いについて伺うべく、エライザさん本人を取材しました。

多かったのは、「12歳だったときに…」とか、「若い頃に…」とか、「制服を着ていたら…」で始まる話。女性は若い年頃から、特に制服を着ているときに、公共交通機関の中で標的になりやすいことが分かったわ。

――プロジェクトの目的は?

女性は日常的に小さな嫌がらせを受けるのが当たり前だという固定観念があるからこそ、このプロジェクトは必要だと思うの。私は男女平等を固く信じているけど、女性の方がかなり頻繁にセクハラを受けているのが現状。もしも男性が公共の場で同じだけの被害を受けていれば、同じように屈辱的に感じるはずよ。

問題の一部は、セクハラそのものだけではなく、認識が不十分なこと。男性は自分がセクハラの加害者であることすら気付かないことが多いし、セクハラがこれだけ蔓延していることも認識していないの。

instagramView full post on Instagram

勤務先のパブで、マネージャーの友人で30代半ばくらいの男が、いつも私に嫌がらせをしてきたわ。デートに誘われたり、「めちゃくちゃにしてやる」と言われた。ある夜、閉店後に彼や他の従業員と飲んでいたら、彼が私の脚をずっと触ってきたの。スカートの中にまで手を入れようとして「オレと寝ないなんて意気地なしだな」ですって。(ノガさん)

――「Cheer Up Luv」というプロジェクト名の由来は?

(街中で)見知らぬ男性から何度「笑ってごらんよ」って言われたことか…。一見悪意のなさそうなシンプルなフレーズだけど、許せない言葉ね。言われたこっちは無防備な感じがしてイラっとするし、返事に窮する。一番不快なのは、その配慮の足りなさ。そう言ってくる男性は明らかに私のことを何ひとつ知らないのに、彼らは自分の満足のためだけに、私に笑顔をふりまくことを要求しているわけ。もし悲しい知らせを受けた直後や、人生最悪の日に、愛想をふりまかないことを責められたら嫌でしょう? 何気ない一言だけど、凄く嫌な気分になるの。

――プロジェクトに参加してくれる人を見つけるのは大変だった?

参加して欲しいってお願いした女性の大半は、セクハラの経験談を3つくらい私と共有して、どれがいいと思うか聞いてきたわ。それにプロジェクトを立ち上げてからは、メールやInstagramを通じて世界中の女性がプロジェクトに参加したいと申し出てくれているの。

ランチをとるために友人と大学のキャンパス外を歩いていたら、40歳くらいの男性5人に道を塞がれて、「君たちは真面目なタイプの女子大生? それともイケないタイプ?」と聞かれたわ。(ローズさん)

――皆の経験談には何か特定の傾向がある?

残念ながら、公共の場で、かつ被害者女性の目の前でマスターベーションをする男性の話が多かった。もう1つ多かったのは、「12歳だったときに…」とか、「若い頃に…」とか、「制服を着ていたら…」で始まる話。女性は若い年頃から、特に制服を着ているときに、公共交通機関の中で標的になりやすいことが分かったわ。

まだ高校生でチェック・スカートの制服を着ていたときに、ある男性にスカートの中を盗撮されそうになった。(ランディさん)

――写真撮影のコンセプトは?

女性1人1人の堂々とした姿を捉えたいと考えているの。これは、自信を喪失したであろうセクハラ体験を話すときにはなかなか難しいこと。だから、写真を撮る前、特に初対面の女性の場合には、一緒にお茶をして世間話をする時間をとるようにしているわ。

16歳のとき、静かな住宅街を歩いて朝通学していたら、中年の、わりと普通に見える男性が前方の道の真ん中に立っていたの。近づくと、彼は白昼堂々とペニスを丸出しにしてマスターベーションをしていることに気付いた。遠回りをするところまで気が回らないくらいショックで、ビクビクしながら横を通り過ぎたら「これ、欲しいんだろ?」って言われた。(チェスカさん)

――あえて女性だけを撮影しているの?

その質問は今まで何度も受けてきたわ。セクハラは女性だけの問題じゃなくて、誰にでも起こり得るものだってことは分かってる。でも、このプロジェクトは私個人の経験から始まったものだし、プロジェクトの効果を最大化するために、1つのテーマとメッセージに絞りたかったの。1つのテーマについて認識を高めて、強いメッセージを押し出すのだけでも難しいことだから、女性に焦点を当てることにしたわ。

ある夜、勤務先のバーで酔っ払った客からチップを受け取った後、氷を入れた容器を持ってバーの中を歩いていたら、その客が私のシャツを引き裂いて、シャツの中に氷を流し込んできたの。文句を言ったら、「チップを返せ」って言われた。(ベルさん)

――皆の経験談を共有することで何が変わると思う?

セクハラ問題に対する認識が広がることを願っているわ。あと、被害者の女性の支援ネットワークが広がって、女性間の連帯も強くなると考えてる。共感する経験談は人それぞれだろうけど、同じ経験をした人が他にもいると知るのは心強いと思うの。

地下鉄の中で座ってイヤフォンをつけていたの。でも電池がなくなったから周りの人の話し声は聞こえてた。すると白人男性が2人乗車してきて、私の目の前に立ったの。彼らはこれまでどんな女の子と付き合ってきて、ベッドの中でどうだったとかって話し始めた。1人が「アジア人の女の子とヤッたことあるか?」って聞くと、もう1人は「いや、残念ながらないな」って答えてた。そしたら質問をした方が「彼女ら最高だぜ。絶対アジア人の女の子とヤルべきだよ」って言ったの。(サリーさん)

――社会を変えることは可能だと思う?

この問題について発信し続ければ、変えることは可能だと思う。注目されればされるほど良くて、男性にも若い頃からあらゆるセクハラは許されないと教え込めば、世の中を変えられると信じているわ。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: Takako Fukasawa(Office Miyazaki Inc.)

COSMOPOLITAN UK