コスモポリタン アメリカ版によると、現在、コンドームなしでもHIV感染が予防できるという、女性のための「膣内装着用リング」が開発されているらしい。

総合医学雑誌『New England Journal of Medicine』に掲載された研究発表によれば、このHIV予防薬が入った「膣用リング」の試験的使用により、サハラ砂漠以南のアフリカ地域における2,600人の女性のHIV感染率が、4分の1に減ったのだという。研究者によると、リングが女性の体内に侵入するHIVを(コンドームのようにその場限りでなく)ある一定期間において予防することが可能となることを示した研究結果は、これが初めてとのこと。

研究への期待は高まるものの、リングの開発はまだ100%成功とは言えない状況なのだという。なぜなら、現段階では使用者の「年齢層」がリングの成果に大きく影響するから。研究者いわく、25歳以上の女性の間で、その有効率は61%だったのに対し、25歳以下の女性の間ではわずか10%だったという。つまり、若い世代にはあまり効果が出ない恐れがあるということ。この原因については、成人女性と比べ若い女性の生殖器のほうが感染症などの影響を受けやすい可能性がある、あるいは、若い女性のほうがきちんと使用手順を踏まない傾向にあり、指示通り4週間おきにリングを交換しなかったのではないか、と予想されている

とはいえ、女性のHIV予防において、これまで類を見ない"前途有望"な研究結果であることは間違いないようだ。HIV予防薬であるダピビリンが入ったリングを使用した1,300人の女性の間で、HIV感染報告が71件だったのに対し、予防薬の入っていないリングを使用した女性の間では97件だったことを踏まえると、(大幅な違いではないものの)効果は出ているといえるだろう。

また、この器具の良い点は、たとえ相手の男性がコンドームの使用を拒否したとしても、HIV感染を予防する手段が女性本人に与えられるということ。<New York Times>によると、リングにかかる費用はたったの$5(約560円)といわれていて、大きさも直径6センチほどだという。約4週間使用可能で、これを使用することによって女性はPrEPHIV予防経口薬)を毎日飲み続ける必要がなくなるのだ(ちなみに別の調査では、PrEPにはあまり効果がないと発表されている)。

「このリングは、女性が個人の管理下におくことで、感染をきちんと予防するための手段となり得ます。これまでと違い、彼女たちにも心強い選択肢が増えたのです」と、本研究の共同執筆者ジャレッド・ベーテン氏は、オンライン・ニュース<The Verge>に語っている。

全世界のHIV感染者3,500万人のうち、半数以上が女性という現在。彼女たちが予防策を手に入れることは、まさに明るい未来への第一歩と言えるだろう。

この翻訳は、抄訳です。

Translation: 名和 友梨香

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