かつてオーディション番組『オーストラリアズ・ネクスト・トップモデル』の出場者の1人だった南スーダン出身のモデル、ダッキー・ソット。彼女は最近インスタグラムに、黒人モデルがナチュラルヘアを保つ困難について、率直な意見を投稿。すると、ファッション業界の多様性の欠如を指摘する正直な発言に、2万件を超える「いいね!」と1,300 件を超えるコメントが集まったのだとか。彼女がこのメッセージを投稿するまでの葛藤と、その後についてまとめた内容を、コスモポリタン アメリカ版から。

話題になった投稿で、ダッキーはオーストラリアのブランド<Dinosaur Designs>の依頼により、ナチュラルヘアのまま撮影することになった経緯を説明。彼女はすぐに相手側の含意を理解したのだとか。

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ここアメリカに来る直前に、オーストラリアの<Dinosaur Designs>のキャンペーンの撮影をしました。相手側は私の所属事務所に連絡して、私が"ナチュラルヘア"のまま撮影してもかまわないかと聞きました。事務所のスタッフは私が何を考えているか、もうわかっていたようだけど、ときには妥協も必要だと言いました。正直言って、すごくイヤだった。ナチュラルヘアに関しても、オーストラリアでモデルをすることに関しても、これまであまりいい思い出がありません。『ネクスト・トップモデル』の収録で、自分で髪をコーンロウにしなくちゃいけないことがありました。本来はヘアスタイリストの仕事なのに、誰もコーンロウの"やり方を知らない"ことに、とても腹が立ったし、惨めだった。自分で髪の毛を結いながら、鏡の前に座って静かに泣きました。カメラが回っていて、他の女の子たちはヘアスタイリストに髪をセットしてもらっているそばで、コーンロウの"やり方を知らない" 何人かのヘアスタイリストのせいで落とされるかもしれない恐怖に脅えながら。自分がどうすることもできないことでいじめられるのは楽しくないし、受容と自己愛を広めるはずの有色女性モデルが、私のナチュラルヘアをバカにするのは、全然クールじゃない。侮辱したいならすればいいけど、それは結局自分をおとしめることになるのよ。

ことの発端は先日、カナダ人モデルで前の『アメリカズ・ネクスト・トップモデル』の出場者、ウィニー・ハーロウが自身のショートナチュラルカールを見せびらかすような写真をインスタグラムに投稿したこと。一部報道によると、ウィニーはたびたびスナップチャットで自分の髪に苦戦する様子をアップしていたのだそう。にもかかわらず、彼女はダッキーの<Dinosaur Designs>のキャンペーン写真(以下に挙げたもの)の1つを投稿し、「爆笑! このカリフラワーみたいな頭、なに!??????というキャプションをつけて、彼女をこき下ろしたのだとか。それに対して、ダッキーが実に上品に応酬したのが、先述の投稿だったというわけ。

ウィニーはその後、誤解があったとしてダッキーに何度も謝罪。どうやら、ウィニーの"カリフラワー"発言は、ダッキーに対してではなく、妹に向けられていたのだとか。

「自分自身が気に入っていない髪の毛でいろいろなことをさせられるときの気持ちはよく知ってる。この業界にいる黒人の女性として、この 髪の毛とつきあっていくのは大変だもの」とウィニー。「この髪との上手なつきあい方を知ってる人は少ないと思う。だから、お願いだからわかって、心の底からあなたの心を傷つけたことをお詫びします。私は人間だから、友達や家族には軽口を叩くんです」。

もっとも、ダッキーの投稿には、彼女がファッション業界で直面した問題の半分も書かれていなかったよう。最近<Teen Vogue>のインタビューで、彼女は『ネクスト・トップモデル』時代に色の濃い肌や髪質によって味わったさらなる劣等感について告白。

ダッキーによると、問題はこの業界におけるヨーロッパ中心的な美の基準にあるそう。「黒人女性として、私たちはどうやって自分たちの髪を手入れするべきか、本当に教えてもらったことはないんです。教わったのは、どうやって隠すかだけ」。

「ヘアケア産業、メディア、ヘアスタイリスト、そしてファッション業界のすべてにその責任があると思います。彼らは、(白人女性に対するのと同じように)黒人女性がナチュラルな状態で髪をうまく扱えるよう、十分な努力をしていません。…ファッション業界が指揮を執って、黒人女性に対する投資を始めるべきだと思います」。

残念ながら、問題は髪の毛にとどまらないよう。ニコール・ポールや、ヴィクトリアズ・シークレットモデルのレオミー・アンダーソンのようなトップモデルたちも、メイクアップアーティストたちが肌の色の濃い女性達の需要に応えるような、幅広いトーンのファンデーションを用意していなかったことを指摘。

こうした点について、ダッキーもこう発言。「メイクアップアーティストが、白人女性用に20種類のファンデーションを持って来たとすると、"より濃い色"のものは4種類くらいしかないんです。で、私はそれを見て"どうしたって、この中のどれも私の肌には合わないわ"と考えながら、居心地の悪い思いで座っているんです。黒人モデルがさらされているのは、そういう状況なんです。…こうした矛盾と闘い続けていくうちに、いつか状況が変わることを願っています」。

でも、こうした辛い経験があったからこそ、最も大切なのは"自分を愛すること"だと学んだのだとか。「モデルの仕事を始めてから、本当に、ありとあらゆる人々の影響を受けてきました。人々はいつも私にどうするべきか、どう見せるべきか、どんな髪型にするべきかなどについて、介入してきました。私はそうしたアドバイスをじっと聞いてきたんです。でも、自分の心の声に耳を傾けるようになってから、事態が改善し始めました。自分のキャリアの中で、これが1番大きな変化でした。自分はどう感じているか、どう考えるかという、内なる声に耳を澄ますようになったのです」。

今では、自分が自分と似た外見の少女達の代表なのだという確信を持てるようになったというダッキー。「自分に合った物事への向き合い方を見つけるまでは、混乱することもあると思います。何かを始める前に、自分自身を知ることを心からおすすめします。自分が何を代表する存在なのかを知り、そのことに自信を持つことです。あなたは、たくさんの人々の代弁者なのです」。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation:mayuko akimoto

COSMOPOLITAN US