アメリカ・テキサス州が中絶手術をサポートする団体への助成金を削減し、「計画出産」への助成がなくなる、という事態が発生してから3年以上が経過しました。コスモポリタン アメリカ版によると、2016年2月、オースティン市に拠点を置く調査チームが「女性用保険プログラムへの助成金削減がもたらす、女性への影響」についてのレポートを発表。想像通りの結果が数字とともに明らかになったようです。

2016年2月3日、『The New England Journal of Medicine』誌上にテキサス大学オースティン校「テキサス州政策評価プロジェクト」による調査結果が発表され、レポートによると、もっとも避妊に効果的と言われているIUD(子宮内避妊用具)やインプラントなどの「長期作用型可逆的避妊法(Long acting reversible contraceptive method、通称 LARC)」の処置を申請した女性数は激減したとのこと。 計画出産助成金が削減された2013年1月1日以前の2年間に、テキサス州の「メディケイド(低所得者用の公的医療制度)の女性保険プログラム」へLARC処置を申請した女性は1,042人。しかし削減後~2014年末までの2年間の申請者数は35.5%減少し、672人でした。この減少傾向は避妊注射の申請者数にもみられ、6,832人(削減前2年間)から4,709人(削減後2年間)へと、31.1%減少しています。

また同時期(2011年~2014年)に州が助成する計画出産治療を行っているクリニックにおける出生率が1.9%上昇していることも調査は指摘していますが、これはある意味当然の結果といえるでしょう。

以前から「計画出産助成金の削減」がもたらす女性への影響を疑問視する意見もありましたが、この数値を見れば明らかです。テキサス州が「メディケイドの家族計画プログラム(Medicaid family-planning program)」から計画出産を適用外としたことで、低所得の女性は高額な避妊処置を受けることができなくなりました。出産率の上昇はその結果によるものなのです。

こうした状況は「テキサス州内での中絶がほぼ不可能な状態」にするために、政治家たちがどれほど努力してきたのかを物語っています。が、その結果、低所得女性にとって避妊処置費用は高額すぎ、望まない妊娠を安全に回避する方法を失ってしまったのです。

テキサス州は連邦議員が国政レベルで施行しようとしている政策の大規模なテストを行い、これによって多くの人たちが理想としていた暮らしを変えざるを得ない状況になりました。このテキサス州の事例から「女性から保険制度を奪うとどうなるか?」が分かります。人々が従来持っていた保険制度を国レベルで取り上げたとき、もたらされる結果はより厳しいものになるはずです。

※この翻訳は、抄訳です。

COSMOPOLITAN US