超人気ドラマ『フレンズ』のロス役で知られる、米俳優のデヴィッド・シュワイマー(50)。彼が4月3日(現地時間)にリリースしたある動画プロジェクトが、ネットで話題を呼んでいるよう。
そのプロジェクトの名前は、「#ThatsHarassment(それ、ハラスメントです)」。
これは世の女性たちを悩ませるリアルなセクハラ問題にクローズアップしたショートフィルム・プロジェクトで、コスモポリタン アメリカ版によると、元々は2016年12月にイスラエル系アメリカ人の女性ディレクター、シーガル・アヴィン氏がイスラエルで公開したもの。
彼女が脚本・製作もつとめた5つの動画はすべて、彼女自身を含む女性たちのリアルなセクハラ体験談をベースにしており、今年の1月、アヴィン氏は友人であるデヴィッドに「これをアメリカでも広められないかしら?」と相談を持ちかけることに。その理由は"イスラエル国内と同様に、アメリカでもセクハラ撲滅を呼びかける映像作品があまりにも少ないから"。
「セクハラに関する話を聞いたり、記事を読んだりするだけでなく、実際に目で見て感じ取れるものが必要だと気づいたのよ。露骨に暴力的だったり、リアリティの無い映像作品はこれまでにもあったけど、線引きが難しい"グレーゾーン"を描くような作品は存在しなかったの」と、アヴィン氏。
彼女からこの相談を受けたデヴィッドは、NYを拠点とする<Milk Studio>のクリエイティブ・ディレクター、マスダック・ロッシ氏に協力を仰ぎ、作品をリメイクすることを決意。シンシア・ニクソン、エミー・ロッサム、クリステラ・アロンゾなど実力派女優たちに出演してもらい、また自身も出演。アヴィン氏のオリジナル脚本から4本、そしてアメリカバージョンの新作2本を合わせた、計6本の動画を製作するに至ったそう。
3人のクリエイターたちが力を合わせて作り上げた、「グレーゾーンのセクハラ」を描くシリーズを、ここでは1本ずつご紹介していきます。
【The Co-worker】(同僚編)
バーの従業員として入ってきた女性に対し、「男たちからセクシーって言われるだろ?」とジョーク交じりに話しかける同僚男性。しかし彼の言動はボディタッチへとエスカレートして、もはや「ジョーク」では済まされない域に…。
【The Actor】(俳優編)
衣装ルームでフィッティングをする人気俳優とスタイリスト。「姪っ子があなたのファンなの」と楽しく談笑していたのに、突然男性がズボンを下げて下半身を露出。「触ってみてよ」「見るだけでもいい」「君を素敵だと思ってるんだ」と言ってくる彼が仕事相手であるがゆえに、強く「やめて」と言えず追い詰められていく女性…。
【The Boss】(上司編)
新人の部下の女性と残業中。「送っていくよ」という誘いを部下が断ったにも関わらず、雑談を続ける上司。そしていきなりのキス。立場上強く拒否できない部下に対し、上司はさらに「君を心配しているだけだ、友情の証にハグしよう」と(半ば)強要。
【The Doctor】(医者編)
ひどい頭痛に悩まされて病院に来たにも関わらず、「診察」と称して必要以上に身体や胸を触診される女性。これがセクハラなのか診察なのか判断できず、困惑することに。
【The Photographer】(カメラマン編)
撮影現場で大勢が見ている中、「ズボンの中に手を入れて、君の悦ぶときの顔を見せてよ」とカメラマンからリクエストされ、断ることができずにポージングを続けるモデル。
【The Politician】(政治家編)
女性インタビュアーに対しレコーダーを止めるように指示した後、「何かデリバリーでも頼むかい?」と言いながらボディタッチを始める政治家。女性は「愛する夫が待ってるから、早くインタビューを終えて帰らなきゃ」と精一杯の形で抵抗。
製作に関わったロッシ氏は最初、これらのストーリーを見て「僕も若いときに、"一線"を超えてしまったことがあったんじゃないか? それくらい微妙なラインだ」と思ったのだそう。
また、デヴィッドは作品を作った目的について、「被害女性たちや、セクハラを目撃した人たちに、声を上げる勇気を持ってもらえたらと思った」とコメント。
この動画によって、男性陣には「自分もやっているかもしれない(やってはいけない)」という気づきが、そして女性たちには「私が受けたのはセクハラで、声を上げてもいいんだ」という認識が、1人でも多くの人に広まることを願うばかり。
※この翻訳は、抄訳です。
Translation:伊藤 由佳里