今月はじめ明るみになった、2015年アメリカのスタンフォード大学でのレイプ事件。被害者女性は事件の記憶がほとんどなく、加害者の男は酒を飲みすぎたことを言い訳にした。

名門スタンフォード大学の水泳チームに所属し、有望と言われる選手だった加害者。幼馴染の女性は「彼はモンスターではない。お酒を飲みすぎて何も覚えていない女性のとった行動と言い分によって、彼のこれから10年間の生き方が左右されるのは良くない」とコメント。

父親は、オリンピック水泳選手を目指していて食べることが大好きだった息子が今は食欲もなくなり、まったく別人になったと話し、このようにかばった。「彼は夢見ていた人生を歩むことができなくなった。これまで努力をしてきたのに。20数年生きてきた人生の内、20分の行いなのに代償が大きすぎる。一生、性犯罪者として登録されるということは、住むところ、遊びに行くところ、仕事、すべてを変えてしまいます」。

起こしたのは性犯罪。加害者の友人や家族が男の肩を持ったことは、言うまでもなく世間から批判を浴びた。

それに加え、加害者が言い渡された刑は禁固6カ月と軽いもの。最高で14年の可能性があり、検察側は4年を求刑していたのに比べると明らかに短い。さらに、アメリカでは言い渡された期間よりも早く出所できることが多く、この加害者の場合も3カ月で出てくると言われている。

このような事件に対し、スタンフォード大学の学生たちが卒業式に抗議を行った。

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スタンフォード大学レイプ事件
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世界保健機関が発表した調査結果によると、世界中の女性の3分の1は肉体的暴力や性的暴力を経験しているそう。この多さに驚きだが、加害者がパートナーの場合が多いという、さらにショッキングな結果だった。

NOと言わないイコール同意ではない
スタンフォード大学レイプ事件
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スタンフォードは強姦犯を守っている
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スタンフォード大学の保安局が加害者のマグショット(逮捕後の写真)を1年も公開しなかったことから、保護していると言われた。しかし実際にはどこの局に公開する責任があるのかはっきりしなかったため、すぐに公開できなかったらしい。

被害者を守って。強姦犯ではなく。パーズキーを首に
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パーズキーはこの事件を担当した裁判官。あまりにも短すぎる刑に批判が殺到。

他にも、"氷山の一角""息子にレイプはダメだと教えなさい"と書かれたサインを掲げて卒業式に参加した学生がいた。

さらに、学校の外でも。

女性はビッチ(やらせる女)、売春婦、培養器、サンドバッグ、性の道具、ブリーダーじゃない。女性は立派な人間です
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ノースダコタ大学が行った調査によると、「発覚する恐れがなければ、無理やり女性と性行為を行うか」という質問に3分の1に近い男子大学生が「する」と答えた結果が出ている。しかし同じ人物に「発覚する恐れがなければレイプをするか」と質問したところ、「する」と答えたのは約10分の1に下がった。まだまだサンプル数が少ないなどの問題点があるとはいえ、この結果は衝撃的。「無理やり性行為を行う」ということは「レイプ」と同じなのに、その言葉を使うか使わないかでこのように差が表れるとは。

残念ながら大学での"レイプ文化"は本当に実在するのかも知れない。スタンフォード大学の卒業式で抗議した学生たちのように、性犯罪の卑劣さ、女性の尊厳を訴えていくしかないようだ。