雑誌83カ国、オンラインサイト49カ国で展開する、女性メディアのグローバルブランド、コスモポリタン。他の国のコスモは、どんな女性たちが作っているの? 彼女たちの仕事にかける思いとは?

コスモポリタン アメリカ版が、各国の編集長を直撃しました!

【コスモポリタン フィンランド版 編集長:スティーナ・マンティニエミ】

スティーナ・マンティニエミ(27歳)は、学生時代からすでにコスモポリタン フィンランドの副編集長として働いていたそう。その後、フィンランドの新聞社に勤め、編集長として再びコスモに戻ってから、まだ1年数カ月。現在の彼女の最大の関心は、どうやって就職難にあえぐ20代の若者を支援するかということ(彼女はそれについて本も執筆中!)と、どうやってコスモの表紙を飾るモデルたちの体を隠すかということ。後者については、おそらく私たちが思いもよらない理由から!

――あなたが新聞と雑誌の編集に携わる中で得た、一番ためになるキャリアアドバイスは?

どんな仕事であれ、常にベストを尽くし、100%の力を注ぐことが大事だと思います。特にあなたが若くて、キャリアのスタート地点に立っているときは。出せる力を出し切ることでしか、あなたの限界や強みを実際に知ることはできないからです。たくさん質問をすることも、とても大切です。

――コスモ フィンランド版で働きたいと思っている若い女性たちに対して、アドバイスはありますか?

まず、あなたが何をやりたいか決めること。もし本当にコスモで働きたいのなら、自分を信じ、働く準備ができている限り、きっと道は開けるからです。若くて経験が浅いときは大変ですが、誰よりもうまくできることが見つけられれば、どんな会社や出版社にとっても、必要とされる人になるでしょう。

――オフィスでの1日について教えて下さい。

毎日違いますが、毎朝ジムには行きます。そうしないと落ち着かないので。それから、10分、15分でも、毎日スタッフと一緒に時間を過ごすようにし、もし何かあったら連絡がとれるよう私のスケジュールを伝えておきます。また、通常は副編集長と一緒に編集の仕事をします。次に来るテーマやメインとなるアイディアについて話し合ったり…コスモには大勢の人が関わっているんですよ! 私たちは小さなチームですが、フィンランドで最も大きなメディアグループ、サノマ社に属しているので、マーケティングやセールス、広告となるとたくさんの人と協力しなくてはなりません。

――読者層について教えてください。

年齢には幅がありますが、18歳から34歳の間と見ています。平均的な年齢は20歳前後か2324歳でしょうか。ウェブ版に関してはもっと若い読者がいますが、若い読者向けに作っているので当然だと思います。

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――読者に最も人気のあるセレブは?

たくさんいます。読者に人気のある国内のセレブも多いんです。前号で弊誌の表紙を飾ったのも、有名な歌手のサンニ・ヴィラリネンでした。読者が尊敬するセレブたちは、例えばジェニファー・ローレンスのように、みんな勢いがあって、自立していて、野心的です。ケンダル・ジェンナーも人気がありますね。

――触れられないようなタブーなテーマはありますか?

いえいえ、フィンランドに限ってそれはありません。私たちはかなりオープンで、社会にタブーがあまりないんです。何についても話します。

――最近、同性婚がフィンランドで合法化されましたが、完全に施行されるのは2017年です。そんなにオープンな国で、なぜアメリカと同じくらい合法化に時間がかかったのだと思いますか?

実はよく知らないんです。いい質問だし、私たち…少なくとも若者たちの間で長年考えてはいるのですが。おそらく、あまり同性婚についての議論がなされなかったので、検討課題にさえなってなかったのだと思います。同性婚の合法化のためのキャンペーンが始まったとき、大きな話題になり、その後世論はかなり明確になりました。同性婚を認めるのはもちろん当然のことだと思いますが、なぜそれに時間がかかったのかは、本当によくわからないんです。

――フィンランド版はLGBTについて知りたい女性の情報源になっていますか?

ある程度そうだと思います。コスモはパワフルで何でも言える雑誌という評価を得ています。私たちはどんなテーマについてもはっきりと意見を言います。政治的な雑誌ではないし、フィンランドのメディアシーンはアメリカよりずっと小さいので、主に専門の雑誌や新聞がその手の議論をしていますが…でも若い女性にとっては、コスモは明らかにその1つになっていると思います。

――あなたがコスモに復帰してから、どの分野のテーマに人気が集まりつつありますか?

間違いなくキャリアです。キャリアとお金。

――毎月どういったキャリアアドバイスをしていますか?

基本的にはすべてです。世界の経済的状況から考えて、キャリアはとてつもなく重要ですし、私たちはそのテーマに真に取り組んでいる唯一の女性誌です。フィンランドは今経済状況が良くなくて、誰もが自分の教育レベルに合った仕事が見つけられるか不安なので、キャリアについて話すのは大切なことなんです。その方法として、まずは読者にインスピレーションを与えます。コスモのテーマであり、毎月のコーナーにしている"Fun Fearless Female(楽しくて大胆な女性)"を選ぶときには、キャリアについて話せる人を探します。最初の職をどう得るか、どうやって面接で成功するか、どうやって昇給を願い出るかなどには特に重点的に取り組んでいます。まだ希望の職に就いていなかったり、インターンだったりしても、いつかはやりたいことができると、みんなに知って欲しいのです。

――キャリアについてのアドバイスに加えて、若い女性は恋愛やセックスについてどういった質問をしてきますか?

ちょっと意外なんですが、長期恋愛に関する質問が多いです。私たちの読者の多くは現在恋愛関係にあり、ある程度の恋愛経験を積んできた人たちです。だから、パートナーとの関係をより良くするにはどうすればいいか、どうすれば長続きするか、ということが知りたいのだと思います。

――あなたは雑誌とウェブ版、両方の責任者ですか?

はい。1つのチームなんです。私たちのチームでは、全員がどちらもやります。オンラインもやって、雑誌もやって。1人だけ、ウェブ専門のスタッフもいます。全部で7人。少人数で作っています。

――エディターは、雑誌とウェブ版の両方をどのように回しているんですか?

全員が、1日のうちにウェブ版に割く時間をとるようにしています。ウェブ版にどれだけ時間を割かなければいけないというガイドラインは特にありません。月曜日にはスタッフ全員とミーティングをし、その週の検討課題をチェックして、週の真ん中に少人数でミーティングをして今後するべきことを考えますが、基本的にみんながすべてに関わっています。雑誌はもちろん大事ですが、ウェブにも全力を注ぐようにしています。

――読者に特に人気のあるSNSは?

インスタグラムとFacebookです。スナップチャットはじわじわと人気が出始めています。

――フィンランドのミレニアル世代について、海外の読者がびっくりするようなことはありますか?

フィンランドではみんなリベラルで、フェミニスト的価値観を持っていますが、私たちの社会ではそれが当たり前なんです。ちなみにアメリカ版の表紙について多くの反響が寄せられることがあります。それは、胸の谷間が見えすぎていたり、スカートが短すぎたりするときです。そういった点が、読者は気になるようです。

――それはどういうことですか?

私たちも読者に理由を尋ねたのですが、はっきりとはわかりませんでした。私たちの文化では肌を露出しすぎるのを好まないので、そのことが影響しているんじゃないかと。それは、ここの天候とも関わっていると思います。夏以外ほとんど1年中暗くて寒いので、服をあまり着ていない女性たちを見ると、どこか奇妙な感じがするのかもしれません。

――予想外の回答でした。

そうなんですよ! イギリス版のエリー・ゴールディングの表紙は好評でした。セーターを着ていたから。

――なぜフェミニズムが当たり前だとおっしゃるのでしょうか。

それは何世紀もの間、私たちの文化と社会に存在して来たものだからです。例えば、フィンランドは女性に選挙権を与えた最初の国です。それはこの国では大きな出来事だったので、よく話題になります。女性が大統領だったこともあります。フェミニズムについては常にさかんに議論されています。コスモにおいては、私たちはこの国の読者と国民全員に、「そうです、私たちはフェミニストです。少しリップグロスを塗ったからとか、ハイヒールを履いたからといって、(フェミニストかどうかには)そんなに関係ないんですよ」と伝えようとしています。フェミニズムについての別の側面を見せようとしているのです。

――多くのコスモ編集長たちが、読者は自分たちをフェミニストと呼ぼうとはしない、その言葉にはネガティブなイメージがあるからだ、とおっしゃっていました。

いいえ、フィンランドではそれは問題にならないと思います。実際、私たちは数年前に、エマ・ワトソンが国連でスピーチをし、たしかテイラー・スウィフトが、それまで自分がフェミニストだと知らなかったと発言したことに、とても驚きました。「自分がフェミニストだと知らないなんてことあるの? 知った方がいいんじゃない?」って。もちろん、エマ・ワトソンのスピーチはとてもよかったし、ものすごく感動的だったけれど、特に何か新しいとは思わなかったのです。私たちはこういったことを、小学校に上がるまでにたくさん話し合ってきたのだと思います。

※この翻訳は抄訳です。

Translation:mayuko akimoto

COSMOPOLITAN US