旬の野菜とパスタの組み合わせは最強だと常日頃から思っている。今回は、今の時期、ちょうど旬を迎えているズッキーニと、全粒粉パスタを使ったレシピを紹介したい。
ズッキーニを初めて食べたのは学生の時だった。当時とても仲が良く、ほぼ連日一緒に遊んでいたオーストラリア人留学生ミシェルが、彼女のオンボロアパートの狭いキッチンで、ズッキーニとパルメザンチーズのパスタを私に作ってくれたのだ。
彼女のパスタの茹で方には特徴があった。とにかく茹でまくるのだ。袋に書かれたゆで時間を超えてもぐつぐつと茹で続け、パスタが水分を吸ってかなり太くなるまで茹でるのが彼女のスタイルだった。フォークで押さえると簡単に切れるほどだ。とにかくやわらかいパスタで、最初は「うどんかよ」と思ったものの、慣れてくるとそのやわらかいパスタと濃厚ミートソースのコンビがたまらなくおいしくて、私自身も茹ですぎパスタのファンになった。
そんな彼女がある日、当時なかなか手に入らなかった全粒粉パスタを使って作ってくれたのが「ズッキーニとパルメザンチーズのパスタ」だった。え、ズッキーニ? あのきゅうりの偽物みたいな野菜か……と密かに落胆したものの、食べてみたらなんというおいしさ! ズッキーニの爽やかさと全粒粉パスタの深みのある味がとてもよく合う。そのうえにパルメザンチーズとブラックペッパーがたっぷりかかっていて、シンプルなのにガツンとくる味だ。ちなみに全粒粉パスタも長めに茹でてあった。
パスタはそこまで長く茹でないけれど、あの頃彼女が作ってくれたパスタレシピはいまでも私のお気に入りで、そんなお気に入りのなかの一つが、今日紹介するレシピだ。
それでは作り方を書こうと思う。全粒粉パスタはたっぷりのお湯で茹でる。茹でている間に、フランパンに油を引いて薄くスライスしたズッキーニとにんにくのみじん切りを炒める。ズッキーニを薄くスライスするのは、その方がパスタに絡みやすいからだ(とミシェルは私に教えてくれた)。ズッキーニが透き通り、十分火が通ったら、茹で上がったパスタをフライパンに入れ、全体を軽く炒めて馴染ませ、塩胡椒する。パスタを皿に盛りつけたら、パルメザンチーズをたっぷりとかける。ブロックのパルメザンチーズが手に入れば、それをすり下ろして使ったほうがおいしい。
さて、私にズッキーニのパスタを教えてくれたミシェルが今どうしているのかというと、故郷オーストラリアに戻り、地元でパブを経営している。きっと今でもパスタを茹でまくっていると思う。いつか再会することができたら、また、あの懐かしい、やわらかいパスタを食べさせてもらおうと思っている。
材料 (1人分)
全粒粉パスタ 100グラム
ズッキーニ 1本
にんにく 1片
塩胡椒 適宜
パルメザンチーズ 適宜
作り方のポイント
ベーコンを加えたり、生ハムをトッピングしても美味。
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