学生の頃、気に入って通っていた定食屋があった。何の変哲もない店だったけれど、小鉢がひとつ100円ほどで何十種類もあって、とても美味しかった。学生でざわついた校内のカフェよりも、落ち着いた定食屋で週刊誌を読み、ゆっくりとごはんを食べるのがなにより好きだった。
通い詰めていたある日、顔見知りになった店主のおばちゃんが小鉢をひとつ、私が座っていたテーブルまで持ってきてくれ、「これ、おまけ」と言って勧めてくれた。おばちゃんに礼を言いつつ食べると、今まで経験したことのない味!
きゅうりとヨーグルトのサラダ……? このヨーグルト、一体なに!?
濃厚なヨーグルトときゅうりがとてもよく合っていた。黒胡椒がたっぷりかかっていて、スパイシーなのにまろやかで、なんともくせになる味だった。フライパンで煎ったクルミが、とにかく香ばしいのだ!
今であれば遠慮するところだが、当時まだ若くて世間知らずだった私は、すぐに厨房にいるおばちゃんのところまで行き、作り方を教えて下さいと頼んだ。快く教えてくれたおばちゃんに感謝し、それからもうすでに20年あまり、いまでも好きで食べているのがこのサラダだ。
さて、昔話はこのあたりで切り上げて、作り方です。ざるにキッチンペーパーを敷き、その上に無糖のヨーグルトをあける。水を切ることができるように、ざるとボウルを重ね、ラップをして冷蔵庫に入れる。理想としては、半日ぐらいの時間をかけて水切りしたいところだけれど、時間がなかったら1時間程でもよい(私は夜にヨーグルトをセットして、朝に使うことが多い)。次にきゅうりを輪切りにして、軽く塩をして、水を切っておく。水切りしておいたヨーグルトと、そのきゅうりを和える。塩と黒胡椒は強めに振ろう。仕上げにフライパンで煎って刻んだクルミを散らして出来上がりだ。
とてもさっぱりとした味わいなので、物足りないと感じる人もいるかもしれない。その時は少量のマヨネーズを足してもいい。水をしっかりと切ることで濃厚になったヨーグルトがとてもおいしい、きゅうりのサラダです。
おばちゃん、ありがとう!
材料 (1人分)
ヨーグルト 1/2パック
きゅうり 1本
塩胡椒 適宜
クルミ 適宜
作り方のポイント
成功のコツは、ヨーグルトの水をしっかりと切ってクリーム状にすること。塩胡椒はすこし強めにすること。冷蔵庫でしっかり冷やすとおいしいですよ!
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