出産は誰にとっても一大事。特に初産のときは、知らないことばかりで不安な人も多いはず。

コスモポリタン アメリカ版が30年以上もの産婦人科ナースの経験を持ち、現在「婦人科、産科、新生児科看護師協会」の会長を務めるスーズ・キッチェム氏にインタビュー。彼女がアドバイスする「妊婦が出産前に知っておくべきこと」とは? 知識として頭にいれておくことで、出産時に慌てずに済むかも。ぜひ参考にしてみて。

1.出産プランを医師や看護師にきちんと伝える

「一言に『出産』と言っても、妊婦が求めるものはさまざま。あらかじめプランを立てて、医師や看護師に伝えておくことが大切です。無痛分娩を希望する、分娩室に同行するのが誰なのか、胎盤をとっておいてほしい、へその緒は夫に切ってほしいなどなど。細かいことも含め、希望があるなら紙に書きだした上で医師や看護師に相談してください」

2.…とはいえ、出産は予定通りにはいかないもの

「いくら綿密にプランを立てても、その通りにならないのが出産の現実。私は過去に10ページもの出産プランを提出した妊婦を担当したこともあります。自然分娩希望で、鎮痛剤は一切使わないでほしい、枕はこれじゃなきゃイヤ、へその緒は夫に切らせて…とたくさんリクエストがあったけれど、破水したときご主人は床に流れた羊水で滑ってしまい、頭を打ってケガをしてしまったんです! 救急に運ばれて手当てしている間に、赤ちゃんは誕生。ご主人は出産に立ちあうことができませんでした。こんな風に、出産時には予期せぬことが起こるものだと理解しておいてください」

3.破水にもいろいろある

「破水すると羊水がどっと出てくる場合もあるし、ほんの少しの場合も。人によっては『これが破水なのか分からない! おしっこがもれてるだけでは?』と思う人もいますが、どちらの場合も、いったん破水すると"止まらない"のが見分けるポイント。赤ちゃんが徐々に下に押し出されていくので、胎児を取り巻いていた羊水も誕生のときまでずっと漏れつづけていくものだと覚えておいてくださいね」

4.出産は予想以上に時間がかかるもの

「初産の場合、分娩は平均12~18時間かかるものですが、もっと長い場合も。もちろんその間ずっと分娩台に乗っているわけではないものの、出産がたやすいことではないのは事実です。私が最初の子を出産したときは、分娩台に乗せられて『ああやっとこれで終われる!』と思ったのに、その後3時間もいきみつづけて大変でした。あくまで個人差があるものの、第2子以降は産道が開きやすくなっているので、分娩時間が短縮される人もいます。ただどんなケースでも、出産時間は予想できないものであることは世界共通です」

5.出血やおもらしもよくあること

「子宮が伸びることによって出血したり、いきみながらウンチをもらすのはよくあること。でも気にしないで! 看護師さんがササッときれいにしてくれますから」

6.分娩中、胎児の心拍が乱れることも

「出産時は、分娩監視装置で胎児の心拍をモニターするのが一般的です。胎児が産道を下りてくる段階で、一時的に心拍数が乱れるのはよくあること。驚かず、医師や看護師を信頼して赤ちゃんを産むことに集中してください」

7.恥ずかしがる余裕なんてない

「いよいよ赤ちゃん誕生!という段階になると、分娩室は人であふれます。妊婦担当の看護師もいれば、新生児担当の看護師もいるし、アシスタントが控えていることも。大勢の人に見られるってなんだか嫌だな…と出産前は思うかもしれませんが、そのときが来たらそんなこと考えている余裕なんてないもの。それに医師や看護師は、母体と胎児の安全以外考えていません」

8.新生児は宇宙人!?

「胎児の頭蓋骨は狭い産道を通るため、とんがったような形で生まれてくる場合もありますが、通常は24時間以内に丸い形に収まるものです。びっくりするかもしれないけど、よくあることだと知っておいてください」

9.授乳がスムーズでない赤ちゃんもいる

「『赤ちゃんは本能でおっぱいの飲み方を知っている』とよく聞きますが、そうでない赤ちゃんもたくさんいます。ママが授乳の仕方を学ぶのと同じように、赤ちゃんだってどうやって飲むのか分からない場合だってあるもの。そんなときは悩まずに、産婦人科の看護師や病院に相談してください。経験豊かなプロが適切な授乳法を教えてくれますから」

10. 出産後すぐに授乳出来ないことも

「出産後最初の母乳を"初乳"と呼び、量は少ないものの、赤ちゃんに必要な免疫物質が含まれています。おっぱいの出が悪くて心配するママもいるけど、赤ちゃんは羊水の中でたっぷり栄養をもらってから生まれてくるので心配はいりません。23日後におっぱいが張りだしたら、母乳が準備できた印です」

11.出産後、すぐにお腹が引っ込まないことも

「出産したのにお腹がまだふくらんでいるのはよくあること。子宮がお腹の上部にあがっている状態で血液量も多いため、妊娠前の状態に戻るには約6週間程度かかるものです。子宮が小さくなって骨盤に収まり、体重が減少して筋肉がついてくるのをゆっくりと待ちましょう」

12.出産後の出血を「悪露(おろ)」という

「出産後、子宮に残っている血液や胎盤などがでてくるためしばらくは、産褥(さんじょく)パッド(生理ナプキンより厚くて大きなサイズのパッド)が必要です。量が少なくなれば生理ナプキンでもOKですが、出産後は膣内がまだ安定していないのでタンポンは厳禁! 悪露の期間は人それぞれなので、1カ月検診時に医師に相談してください」

13.自分で抱え込まず、助けを求めることも大切

「出産は誰にとっても心身ともにとても負担がかかるもの。9カ月かけて変化した身体を、妊娠前に戻すには時間が必要です。新生児の世話もあるのでゆっくり休めないママが多いですが、赤ちゃんが寝ているときはママも眠り、激しい運動は避け、母体の回復にも気をかけるべき。遠慮せずにパートナーや家族の助けを借り、身体に負担をかけないことが大切です」

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: 宮田華子

COSMOPOLITAN US