欧州や中東など、世界各地でテロ事件が発生している昨今。「自分だけは大丈夫」「きっと危ないことなんかに巻き込まれない」…そんな甘い考えは禁物。知らない土地では緊急事態が起こっても、対処法が分からず最悪の事態を招くことも。

<コスモポリタン アメリカ版>では、アメリカ合衆国国務省・欧州&ユーラシア局長のパトリシア・アギレラ氏に聞いた「旅行者が海外旅行中に危険な状況に遭遇したときのアドバイス」を紹介。彼女の意見を参考に、きちんと備えてから旅立ちましょう!


【INDEX】


旅の前にしておくべきこと

事前にしっかりリサーチを

旅行は「出掛ける前の準備」から始まるもの。

「テロがいつどこで起こるかは誰にも予想できません。ですから旅行前にその土地についての情報をきちんと調べて行くことは大切です。地域情報が掲載されているサイトで調べるなど、治安もしっかり把握しておきましょう」

「もし行先の政情や治安に不安があることが分かったら、旅行に行くべきかもう1度考えるべき」とアギレラ氏はアドバイス。

「どうしても行かなくてはならない理由がないのなら、旅行をとりやめたほうが賢明です」

日本では、外務省の公式サイトより、国 ・地域別の海外安全情報を確認できます。また、3カ月未満の渡航の際には、緊急時の連絡、安否確認、支援などが受けられる「たびレジ」の登録・活用を推奨しています。

外務省 海外安全情報

たびレジ

安全を第1に考えて旅行の計画を立てる

旅行の計画を立てるとき、安全を1番に考えること。危険なエリアを訪れるのは避け、観光地でもなるべく人ごみから離れた場所を選んで歩くように心掛けて。

「テロリストは綿密に計画を練った上で、被害を最大限にしたいと考えて攻撃しますから、人が密集する場所を避けることでテロを回避できる可能性があります。政治的なイベントや集会に近づくのは避け、セキュリティが万全なホテルに滞在しましょう。またハイシーズンを避けるのも得策です」

旅行保険に加入する

旅行先がどこであれ、旅行保険への加入は必須。何かが起こってしまったとき、医療や避難手段、帰国のフライトがカバーされるなど、保険があるかないかは運命の分かれ道になることも。

「保険会社によってカバーされる項目は異なるので、契約内容はきちんと紙にプリントアウトして熟読することをすすめています。たった数百円の違いで、カバー内容が大きく違うこともあります。テロだけでなく旅行中は何が起こるか分かりませんから、後で後悔するより保険にはきちんと入ってから旅立つ方が賢明です」

旅行先での対処法

テロに遭遇してしまったら

もしテロ攻撃に遭遇し身の危険を感じたら、英国政府国家テロ対策警備室(NaCTSO)の手順に従って行動することをアギレラ氏は提案。

手順を要約すると、出来るだけ冷静さを保ち、しかしその場から逃げること。もし逃げられる状況ではない場合は隠れること。身の安全を確保できたら、しかるべき公共機関にすぐに連絡することなど。全文(英語)はこちらから。

テロ遭遇後にすべきこと

負傷したり、緊急援助が必要な場合は、滞在国の大使館に連絡すること。出発前に、旅行先の国の大使館の電話番号や、緊急時の連絡先やメールアドレスを控えておくことも大切。

「テロやISによる攻撃があって負傷した場合、すぐに滞在国のしかるべき機関に連絡することが大切です。しかしパリで起ったISによるテロで学んだことがあります。メディアに『負傷したアメリカ市民は、米国大使館に連絡するように』と報道するように依頼しました。しかしメディアはただ『アメリカ市民は米国大使館に連絡して』と報道したため、負傷していない、特に救助や援助を必要としていないアメリカ人からの連絡も多く、本当に困っている人を見つけるのに手間取ったのです。もし無事であれば、特に連絡する必要はありません」

家族に無事を伝える

家族に無事を伝えることはもっとも重要なことの1つ。

「テロが起こると、国務省には旅行者の家族や知人からたくさんの問い合わせがきます。旅行者がどこにいるのか確実に分からない場合、安否確認のために連絡してくるのです。無事だった場合、すぐに家族や知人に安全を知らせてください。Facebookの安否確認機能は、電話やメールができないときに便利です」

また家族や知人に旅行日程や詳細を知らせてから出発することも大切。

「ブリュッセルでのテロ、トルコでのクーデターの際も、たくさんの安否確認の問い合わせがありました。旅行者のスケジュールや滞在場所を確実に把握していない場合、まだ旅行者がその国にいるのか出国しているのかを確認できないため連絡してくるのです。家族に正しい旅行日程を知らせておくだけで、何かあったときに大変役立ちます。携帯番号やホテルの電話番号、現地にいる知人の連絡先も書き残しておくとさらによいでしょう。繰り返しになりますが、現地の大使館は負傷者などの緊急救助が必要な人へ人員を割く必要があるので、必要がない場合に連絡するのは控えるべきです」

現地での情報を随時チェックする

「現地メディアからの情報も参考にし、避難すべき場合は指示に従ってください。とにかく安全を確保し、無事でいることが何よりも大切です」

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: 宮田華子

COSMOPOLITAN US