【ロンドンで家を買う3】日本と違う!英国不動産事情

古い家も新築も、家の値段はどんどん上がっていくのがイギリス流

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イギリス在住10数年の著者が、いざロンドンで家を買うことに。しかしこれが想像を絶する大変さ…! 連載1回目2回目で「買おうとした家が買えなかった(涙)」著者ですが、国によって家に対する考え方、売買の環境はまったく異なります。今回は、イギリスと日本の不動産事情の違いについて解説します!(連載6回)

■生涯に何度も家を買うイギリス人

イギリスには「不動産のハシゴ(Property Ladder)」という言葉があります。小さな家から始まり、ハシゴを登るように少しずつ大きな家に買いかえていくことを指す言葉です。

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一般的なケースは

①働きはじめてローンが組めるようになると、1軒目の小さな家(通常は「フラット」と呼ばれる、日本で言うマンション)を買う

②収入や家族が増加などに伴い、少し大きな家に買いかえる。人によってはこれを何度も繰り返す ※ここまではローンで購入

③最後に持っている家を売る。出た利益で1人用または2人用の小さな家を現金一括で購入する

買いかえる回数は個人によって異なりますし、一生家を買わない人もたくさんいますのでこれは一例です。

最後に家を売るタイミングはいろいろですが、リタイアしたり、子どもがいる家庭の場合は子供が巣立ったりするタイミングが多いようです。残りの人生を貯蓄と年金で悠々自適に暮らしていくのがイギリス人にとっての理想の老後です。

ここまで読んで「そんなことって…可能なの!? 大きな家に買いかえていく資金はどこから来るの?」と思ったのではないでしょうか?

「不動産のハシゴ」を可能にしているのは「イギリスでは家の値段は下がらない」「自分が住んでいる家を売却して利益が出ても、(ほとんどの場合)無税)」という、日本と異なる不動産事情です。

日本では通常、一軒家でもマンションでも新築時がもっとも高く、その後は下落していくもの、という認識だと思います。しかしイギリスでは新築でも古い家でも不動産価格はずっと上がっていくもの

もちろん経済の変化に伴い多少の上下はしています。<MoneyWeek>に、1973~2015年のイギリス全土およびロンドンの不動産平均価格の推移表が掲載されていますが、例えば2007年のリーマンショック時に家の値段は急落したもののその後順調に回復しました。特にロンドンの家の値段の上昇は著しく、2015年の1年間で1戸の平均価格は13.5%も上がったとのこと(House Price Index 2016参照)。

古い家を直しながら暮らしていく文化があり、地震がないので自然災害で倒壊の可能性が低いイギリスでは、家が古くなることがマイナスになりません。通常物件の場合、住宅ローンを組むときに価格の20%以上の頭金が必要ですが、私が住宅ローンを組んだ銀行では「新築物件はきちんと建てられているか(基礎工事や素材など、粗末に作られていないか?)の評価が数年後でないと定まらない」という理由で、新築は最低25%の頭金が必要という規定でした。つまり「新築物件の方がローンを組む条件が厳しい」という、日本では考えられない状況も存在します。

将来のことは誰も分かりません。しかし今現在、イギリス人は"家の値段は下がらない。上がっていくもの"と信じています。上がったら売り、その利益で頭金を増やして次の家を買う、を繰り返すことで「不動産のハシゴ」が可能になるのです。

(※不動産売却利益が無税になるためには、自身が居住していること、1,500平方メートル以下の敷地であること、敷地内に商用のみで使用している部分がないことなどの条件があります。詳しくは<英国政府サイト>をご参照ください)

「売却済(SOLD)」の看板が立っている家。不動産会社が宣伝もかねて看板を立てるのですが、「賃借人募集(LET)」「販売中(FOR SALE)」もよく見かけます。

■持ち家があれば、貯金の必要ナシ!?

このように不動産に対する信頼が厚いため、イギリス人は"銀行に預けているより家に投資したほうが資産になる"と考えます。どんなに高い金利の金融商品より、家の価値が上がっていくからです。

ですので、イギリス人はあまり貯金をしない国民だと言われています。「持ち家さえあれば大丈夫」という言葉を何度もイギリス人から聞いたことがあります。

また「家は買いかえ&住みかえしていくもの」という考えが基盤にあるので、たとえ購入した自分の家であっても「この家に一生住む」という意識は日本よりはずっと希薄です。イギリスは古い家が多いので修理をする必要があるのですが、改装したり設備を新しくしたりなど自分で手を入れて家の価値を上げ、将来の売却に備えます。子どものときからこういったことに慣れ親しんでいるので、DIYを得意とする人はとても多く、ホームセンターはイギリス全土、本当にたくさんあります。リフォームについてのテレビ番組も人気です。

■家が買えなくなってきている!

しかし実は今、イギリスが長年培ってきたこの「持ち家を軸に資産を増やす」という方法が危機に直面しています。

「ハシゴ」を登るためには1軒目の家を買わなくてはなりません。しかし不動産価格があまりに上がってしまったため、若い人が買えなくなってしまったのです。

かつては就職したばかりの20代が「親や家族に頭金を援助してもらって1軒目を買う」という話をよく聞きました。価格があがれば頭金の額も高くなり、月々の返済も高くなります。年々手の届かない額になってきているのです。

特にロンドンで働く人には厳しい状況になっています。"ロンドン"と一口に言っても広く、エリアによっても異なりますが、中心部からかなり離れた立地のワンルームや1寝室(1LDKまたはIDK)フラットであっても20万ポンド(約3,200万円)以下の物件はほとんどありません。日本と物価が異なることもありますが、最低価格がこの値段なのですから高くなりすぎました。

政府はこんな状況を見かねて「政府が5年間無利子で価格の20%(ロンドンの物件は上限40%まで)を貸してくれる」などの助成プログラムを打ち出していますが、それでも高額なことに変わりはありません。今年はロンドン市長選がありましたが、この「不動産が高過ぎて買えない問題」への対策は争点の1つになっていたほどです。

私たちが「そろそろ家を買わなくては」と決心したのは、まさにこの問題からです。ぐずぐずしているとまったく手の届かない値段になってしまいそうだったからなのです。

次回は、「運命の家」を買えなかった私と旦那が次なる家を目指し、新たなる戦いに突入致します!

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