英語を学ぶメリットってなんですか?と、よく取材などで聞かれます。「旅行先で困らない」「海外の友人ができる」「職業の選択肢が増える」とか、メリットはたくさんあるけど、個人的に飛び抜けて一番のメリットは、ずばり、情報量。

インターネットで情報が溢れかえっているこの時代。日本語の情報もたくさんあるように見えますが、相対的に見ると実はそうでもありません。

調査によって数字はマチマチですが、インターネット上の情報の50〜80%が英語だと言われており、対して日本語は3〜5%だと言われています。

参考1:English is no longer the language of the web — Quartz 参考2:Usage Statistics and Market Share of Content Languages for Websites, September 2016

英語の情報に関して、書いた人の国籍を予測するのは困難です。アメリカ人かもしれないし、オーストラリア人かもしれないし、アジア人、ヨーロッパ人、アフリカ人、どこだって可能性はあります。同様に読み手も、世界各国どこの人が読むかわからない。

一方日本語の情報は、そのほとんどが日本人によって書かれ、日本人に読まれることを想定しています。

例えば科学や医療で最新の発見があった場合、それがどこの国の研究チームであっても英語で論文が出されます。日本では、それを誰かが日本語に訳してくれるまで、その情報自体が存在しない状態になっています。誰も訳さなかったものに関しては、その情報は永遠に日本には入ってこない。

これは論文に限った話ではなく、日々、英語で発信される膨大な情報の中から、メディアなり個人なりが、どれを日本語に訳して広めるか、逆にどれを訳さないのか、選択しているわけです。その選択は偏っているかもしれないし、重要な情報が見逃されていることもあります。

他国では騒がれているのに日本の大手メディアがあえて話さないことや、日本の行動が世界でどう受け止められているかなど、日本語に訳されないために日本人が把握していない情報はごまんとあります。二言語以上がわかれば、その差を自分で把握できます。

他言語では情報がふんだんにあるのに、日本語で調べると急に情報が少ない、または存在しないということって、実はものすごくたくさんあります。例えばウィキペディア。何種類もの言語で編集されている項目なのに、日本語だけページ自体がない、なんてことは日常茶飯事です。あったとしても、世界中の人に編集されている英語のページと、日本人だけに編集されている日本語のページ、内容が異なっていることもしばしば。

いつも出す例ですが、わかりやすいのは「ロイヤルゼリー」の項目。

日本語ページでは「効能効果は全世界で認知されている」と書いてあり、効果が期待される症状が羅列されています。一方、英語ページには「欧州食品安全機関は、ロイヤルゼリーの人体における効能に十分な証拠がないとしている。アメリカ食品医薬品局は、根拠のない健康効果を謳いロイヤルゼリー商品を販売した複数の企業に対し訴訟を起こしている」と書かれています。

真逆…!笑

どっちが正しいのかはともかく、同じ項目について、180度違う内容が事実として書かれている。当然これはウィキペディアに限ったことではなく、ネット上で常々起きている現象です。政治、文化、環境問題、教育、社会問題など、幅広いトピックにおいて、日本で「事実」「当たり前」「常識」と認識されていることでも、他国ではそうでないことは多々あって、もちろんその逆も然りです。

ネットで自由に情報を得られる時代になった今、そのうちたった3〜5%の情報しか得られないのはもったいない。ロイヤルゼリーの例のように、一言語の情報だけ見て「へえー」と思うのと、比較対象を得たことで「あれっ」と思うのとでは、その後の自分の行動も変わってきます。

バイリンガルニュースでは、英語発信の情報をメインに扱っていますが、フランス語、ロシア語、中国語など他の言語もわかれば、もっと違う世界が見えるのに...!と歯がゆく思うことがしょっちゅうあります。ひとつの言語を習得するということは、その言語が生まれた文化やその文化特有の考え方も付随して理解することになり、それまで存在すら認識していなかった新しい世界が見えてくるからです。

「旅行先で困らない」も確かに英語学習の大きなメリットですが、それ以上に、アクセスできる情報量を単純に増やすことで視野を広く持つために、母国語以外の言語を習得することには多大な意義があると感じています。

◆【Mamiの気になりニュース】まとめはこちらでチェック