フロリダ州サラソタに住むサム・メラー(27歳)さんは、2年前に息子のアレックくんを死産。その悲しみや苦悩を乗り越え、2人目の息子の母として、布を使った空中での演技を見せるエアリアルシルクアーティストとして、懸命に生きる姿をコスモポリタン アメリカ版が伝えている。

9月初め、サムさんは自身の<Instagram>に9カ月になる息子のドリューくんと、亡き息子の写真を投稿し、追悼のメッセージを添えた。「私はいつもあの子のことを思ってる。地球が終わる日まであの子を愛してるわ」「私ができる最善のことは、あの子の名に恥じないように生きること、自分ができる最大限のことをすること、そしてあの子の弟に、私たちがどれだけ2人を愛してるかを示すこと」。

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サムさんが語る「自分ができる最大限のこと」の中には、子育てはもちろん、エアリアリスト、エアリアルシルクアーティスト、小規模ビジネスの経営者としてという意味が含まれ、そのすべてに死産した息子への思いが深く関わっているのだとか。

サムさんがエアリアルシルク(2本の長いシルクを使った離れ業・曲芸で、筋力や柔軟性を要する)に出会ったのは、2009年と妊娠するはるか前のこと。当時彼女はオクラホマ州で銀行の窓口係とウェイトレスをしていて、お客さんの1人にやってみないかと誘われたのだとか。そして、数年間の練習の後、(近隣のパルメットにリングリング・ブラザーズ・サーカスの本部があるため)サーカス団員の拠点となっているフロリダ州サラソタでエアリアリルシルクの技を教えるチャンスに恵まれることに。

2013年には、自らのスタジオを立ち上げ、エアリアルシルクとエアリアルヨガ(エアリアルシルクより簡単で、ループ状のシルクハンモックの上で直立や逆アーチ型のポーズを繰り返すもの)を教えるようになったサムさん。そして、近くのジムでパルクールを練習していたのが、元海兵隊員でプロの写真家のジニア・クシュニアさんだったのだとか。サムさんいわく、「私たちはいつも一緒で、今では結婚しているも同然です。書類上はしていませんけど」とのこと。

2014年に2人が子どもを産む決意をすると、サムさんはすぐにアレックくんを妊娠。何の問題もなく、妊娠6カ月までシルクエアリアルを教えながら、41週を迎えたそう。

ところが、20159月にサムさんの陣痛が始まり、2人が病院に駆けつけると、すでに赤ちゃんの心拍は停止していて、蘇生は不可能な状態に。医師の診断では、原因は胆汁うっ滞で、妊娠中に女性ホルモンが増えることによって胆汁レベルが上がり、死産に至ったのではないかとのこと。「激しいショックを受けました」とサムさん。「ひどいことだし、母親として直面するもっとも恐ろしい悪夢でした」。

医師の宣告を十分に理解する前に、決して家に連れて帰ることのできない赤ん坊を産まなくてはならなかったサムさん。産後のダメージを最小限にしようと普通分娩を選んだけれど、赤ちゃんが産道を破ってしまったため、出血多量となり、2回分の輸血を行わなければならなかったそう。サムさんいわく、出産までの16時間は「まるで戦いのようでした」。

そうして産まれてきたアレックくんを8時間抱き続けたジニアさんとサムさん。「私たちは、泣いて、泣いて、泣き続けました。彼を手放す前に、できるだけあの子の記憶を吸収しておこうと思ったんです」

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結局、体の回復に時間がかかり、出血し続けたサムさんがようやくエアリアルシルクに戻ったのは、10週間後。それからは、毎日数時間練習するようになったのだとか。

「私はありとあらゆるフラストレーションや関心をエアリアルシルクに向け、夢中になることで、現実から目を逸らすようにしました」。サムさんは、ますます激しいトレーニングをしていた当時を振り返り、こうコメント。「泣きわめき、訳の分からないことを叫んで、怒りをぶつけたこともありました。しばらくの間、(エアリアルシルクは)私にとって安らぎの場所でした。でも、それによって、私には何でもできるという意志や強さ、まったく新たな自尊心の感覚が生まれてきたんです。それは、前に進むための理由でした」

そして翌年、ドリューくんを授かった2人。「何か異常を感じると、アレックを妊娠したときよりも神経質になりました」とサムさん。「妊娠中に起こるすべてが恐怖でした」

エアリアルシルクを教えることを止め、スタジオをたたむことにしたサムさんは、その代わりに<Etsy>で手染めのエアリアルシルクを売ることを決意。後に、自らのオンラインショップ<Getting Inverted>を立ち上げることに。クライアントが特定の色やデザインを注文することもあるけれど、そうでなければ、自分の気持ちに合う色を使うのだとか。

「大抵の場合、自分が想像していたものよりもずっと素晴らしいデザインが出て来ます。そうでもないこともありますけど」とサムさん。

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そうして、201611月にはドリューくんを(比較的)楽に出産。息子の1歳の誕生日が近づいている現在、サムさんはエアリアルシルク染めに力を入れ、完成品を<Instagram>とオンラインショップにアップし続けているのだとか。

赤ちゃんのお世話とビジネスで忙しい毎日だけど、サムさんはエアリアルシルクをもっと練習したいと思っているそう。「トレーニングが本当に大好きなんです。だから、なんとか時間を見つけていますが、いつもドリューが一緒なんです」―それは、アレックくんも同じかもしれませんね。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation:mayuko akimoto

COSMOPOLITAN US