「強い人間は1人でいられるもの。1人旅をしたり、1人でお酒を飲んだり、1人の時間を積極的に楽しむべき」。確かにそれは素晴らしいことだけど、社会でバリバリ働く現代の女性たちの中には、ついついそんなふうに自分に"言い聞かせてしまっている"人もいるのかも?

人に依存するのと、人と助け合い、喜び合うのは別のこと。コスモポリタン アメリカ版エディターのハンナ・スマザースは、1人旅を通じてそのことに気づいたのだとか。

他者はあなたを弱くするのではなく、人間らしくするだけなのだとわかりました。

「大学2年から3年にかけての夏休み、私はオーストリアのザルツブルグで3週間の研修に参加しました。留学をする学生のご多分にもれず、留学を口実に、私も研修前後にヨーロッパ大陸を旅行しました。それは、自分自身について大事なことをたくさん学び、独立した若い女性になるための、魔法のような大変身の旅になると信じていました(だって、まだ20歳でしたから)。

なぜそんなふうに思うようになったかというと、ネットで向上心の強い女性たちの1人旅についてのエッセイをあれこれ読んでいたからでした。ヨーロッパに数カ月行けるような余裕があるなら、ぜひやってみるべきことのように思いました。世間で"依存的"と言われている若い女性にとっては(逆に男性は、その性別がゆえに独立していて当然と思われているわけですが)、1人旅は必須だと思ったのです。ネットにあふれる『女性が人生で一度は1人でするべきことリスト』や、『専業主婦は仕事ではない』や、『なぜ女性が家族内の大黒柱になってはいけないか』などの記事は、女性が"依存的である"という前提に成り立っています。もし女性が独立しているなら、こんな議論はそもそも存在しないはずです。

ブダペストやパリやリヨンを見てまわるのは、最高でした。パリの街を歩き、橋の上から川を眺めるのは素敵でした。エッセイに書いてあったとおり、自分のこともたくさん学びました。でも、実を言えば、私が学んだ一番大事なことは、"1人では何をしてもつまらない"ということでした。1人旅をして、世界で最も美しい場所に行って、『ねえ、これいいね』と言う相手がいないのは、最悪です。頼る相手がいないので、パリでスリに遭ったり、ブダペストのホテルのベッドにシラミが出たときも、なんとか1人で切り抜けましたが、そのことには大した満足感を得られませんでした。私は孤独で、ほとんどの時間、私がわかりもしない言葉で話している人々を眺めていました。帰国して、どれだけ背負っていたリュックサック(無生物)が愛おしく思えたかというエッセイを書いたほどです。

1人旅は、私を強くてセクシーにも、独立していて自信たっぷりな女性にもしてくれてくれませんでした。私が気づいたのは、私は折に触れて人を必要とする人間で、完全な自立という目標は、実はただの(かなり性差別的な)神話に過ぎず、自分以外の人間が存在しているのは、人間がそもそも他者を必要としているからなのだということです。他者はあなたを弱くするのではなく、人間らしくするだけなのだとわかりました。

きっと私は1人でいることを持ち上げるあの手のエッセイや記事を読みすぎたのでしょう。でも、どうしたらステキな女性になれるか悩んでいる若い女性にとって、こうしたメッセージをうまく消化するのは大変なことです。

男性、女性に限らず、誰でも自立していることは大切です。健康な人間であれば、自分自身でやりとげなければならないことはあります。自分の時間を持つことも大事です。必要なら、自分で問題を解決できると知っていることも、いいことです。そして、女性がまだまだ社会の中で弱い立場にあることも、決して忘れてはいけません。

けれど、私自身長い時間をかけてわかったことは、人を必要とすることは、弱さではないということです。あまり大声で言うのもバカみたいですが、本当のことだし、言っていいと思います。人間は繊細な生き物で、人生のどんな場面にいるかで、独立の度合いは変わるものです。これは誰にとっても当てはまります。『インディペンデント・ウーマン』や『ディーヴァ』を歌っていたビヨンセだって、"あなたのこと、この仕事より愛してる"と言っています。あれほど成功した女性でも、1人ではなく、誰かとそれを分かち合いたいものなんです。

独立を促すアドバイスは、慎重に受け取るべきです。これは、定義が難しいもので、誰にでも同じようにあてはまるものじゃありません。誰かといるのが何より幸せだということは、あなたが弱いということじゃなく、あなたが人間だということなんです。あなたができる最も"フェミニスト的でセクシーなこと"は、自分でできることとすべきことを認識し、他人に助けを求めることを恥ずかしいと思わないことです。あなたが助けを求めたことであなたを弱いと言う人は、良くないし、間違っています。

私が留学から帰って来たとき、夏休みの残りの時間はほとんど友だちと過ごしました。その数カ月後につらい失恋をしたときも、友だちやお母さんに甘えて、1人で耐えようなんて思いもしませんでした。これは以前の私だったら絶対にしなかったことです。でも、誰もそれで私を悪く言ったりはしなかったし、私も自分が弱いとかバカだとか思いませんでした。ただ、私は人に囲まれていてよかったな、と思いました」

※この翻訳は抄訳です。

Translation:mayuko akimoto

COSMOPOLITAN US