最近よく話題になる「ネット炎上」や「ネットいじめ」。ネットの世界ならではの匿名性に乗じて、心ない言葉が容赦なく飛び交うのは非常に残念なこと。<redbook>によれば、ネットいじめの被害に遭った経験のあるモニカ・ルインスキーさんが、現在ネットいじめ撲滅運動を展開しているとのこと。

ルインスキーさんは、米国の「全国いじめ防止月間」を記念して、10月に社会啓発を目的とする公共広告「In Real Life(実生活の中で)」を配信し、その中で強烈なメッセージを発信。それは、「ネットに投稿された悪口は、対面で言われるのと同じくらい相手を傷つける」というもの。広告代理店BBDOと共同制作された60秒の動画のなかでは、ニューヨークのカフェや道端など一般人がいる場所で、加害者と被害者を装った役者たちが実際にネット上で起きたいじめを再現したそう。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
In Real Life #BeStrong
In Real Life #BeStrong thumnail
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展開されるのは4つのシナリオ。冒頭の場面では、男性がカフェで同性カップルに近づき、「お前らみたいなゲイは気持ち悪いんだよ。死んじまえよ。その惨めな存在を抹殺してくれ!」と言い放ちます。さらに、「ホモセクシュアルは病気だ。自分たちの命を絶つことで人類を救えるぞ」とも…。

次の場面では、10代と思しき女の子2人が別の女の子に向かって「あんたってほんとにバカよね。自分でも分かっているでしょ? バカよ! 学校いちの変人」や、「あんたは嫌われもの。自分で自分のことも嫌いになるべきよ」と、きつい言葉を連発。

次のシナリオは公園のなか。ある女性が別の女性に「あんたたちムスリムは全員、もともといた悪の巣窟に帰るべきよ」と言った後に、通りすがりの人に「信じられる? 忌々しいテロリストがいるわよ」と。さらに「この女は危険よ。ムスリムは全員テロリストよ」とまで…。

4つ目のシナリオでは、カフェである女性が別の女性に「あなたみたいなデブ女は改心して、ダイエットしなさい。こっちの気分が悪くなるわ。ジムに入会しなさいよ。デブって本当にムカつく」と罵倒します。

衝撃的なのは、これらの残酷な言葉はすべて、ソーシャルメディアで実在の人が実際に投稿した言葉であるということ。

ただ、どのシナリオでも、偶然その場に居合わせた一般人たちが被害者をかばう姿が。「その人から離れなさい」、「何しているの? どうして彼女にそんな言い方をするの? 向こうへ行って!」、「今すぐ失せろ!」と言って、いじめている側をいさめる人や、いじめの被害者に「大丈夫だよ」と声をかける人、「その言い分だと、私もテロリストってことになるわね」と言って、間に立とうとする人など。

ルインスキーさん自身、約20年前にアメリカ全土に衝撃を与えたスキャンダルの当事者となり、ネット上でひどくバッシングされた経験があるそう。でもここ10年は、その経験をプラスの原動力に変えて、オンラインのモラル改善のための活動家となり、被害者に手を差し伸べようとしているんだとか。ルインスキーさんは、「わたし自身が実際にネットいじめを経験してきたからこそ、被害を受けているひとの心に寄り添えます」と語り、また、「(いじめ撲滅に向けた)対話のなかで、自分の声や過去の経験を役立たせる方法を見つけたし、被害者に1人ではないんだと感じてもらうことで、バッシングやネットいじめにくじけずに立ち向かうことができたんです」とも。

ネットで何かを書き込む際にはもっと慎重になって、ネットいじめを見かけたら抵抗してほしい、とルインスキーさん。そして、被害者をサポートする気持ちを表すことが、被害者にとっては大きな意味を持つんだそう。「見知らぬ人からのささやかな思いやりや思慮深い言葉で、どれだけ孤独感が軽減されるか、個人的な経験からも痛感しているわ」。

ルインスキーさんの「投稿する前に自分自身に尋ねてみて。『これは相手に面と向かって言えること?』と。言えないと思うなら、それは投稿すべきではないということです」という言葉を心に留めて、書き込みの際にはくれぐれも慎重になりたいものですね。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: Takako Fukasawa(Office Miyazaki Inc.)

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