6歳からテニスを始め、日本人女子選手として初の「WTA世界ランキング」トップ10入りを果たした"テニスの女王"こと伊達公子選手。現在46歳ながら現役であり続ける彼女は、昨年左ヒザを負傷するもテニスを続けることを表明。4月の復帰に向けてトレーニングを重ねている。彼女にとって、もはや怪我や年齢は越えられる壁でしかないようだ。そんな挑戦を続ける伊達選手に「コスモポリタン」が独占取材を敢行! 輝き続けるための秘訣や強さの理由を紐解く――。

今の自分で、最大限チャレンジし続けるのが人生の醍醐味

20代で一度引退を決め、2008年に現役へ返り咲き。そして昨年度の怪我を乗り越え今年の4月から再復帰を目指されていますよね。そういう意味では今回3度目のチャレンジとなるわけですが、困難が立ちはだかった時でも「自分の強さ」を保つ秘訣はありますか?

根本的に、勝負をするのが好きなんですよね。ただ今は10代や20代の時のようにずっと勝ち続けるというよりは、現在の自分の年齢やカラダの状態を踏まえた上で、"スポーツを通してチャレンジする"ことを純粋に楽しんでます。私にとって人生の醍醐味は"置かれた環境の中で最大限挑戦を続ける"こと。だからテニスに関することだけでなく、生活の中でも常にチャレンジするものを持ち続けようと心がけています。

―トップアスリートとなれば、自分自身の葛藤はもちろん、周囲からの期待も相当なものかと思いますが、今でもプレッシャーを感じることはありますか?

2度目の現役復帰の時にはブランクが約13年あったので、さすがに"先の見えない不安"のようなものはありましたが、20代で感じていたようなハンドリングできないほどのプレッシャーからはすっかり解放されましたね。若い頃はとにかく必死だったので、真正面から向き合うのがイヤになった事もありましたし、負けそうになることもありました。ただテニスは、コートに入ってしまえば頼れるのは自分だけ。だから、自力で切り抜いていくしかなかったんです。当時の経験があったおかげで、今ではたいていのことには動じなくなりましたよ(笑)。

30代での復帰は非常に大きな決断だったと思いますが、決め手を教えてください。

ひとつの大きなきっかけは、私が小さいころから憧れていたシュテフィ・グラフ選手とのエキシビション・マッチが予定されていた事でした。限られた時間の中で必死にトレーニングしているうちに、勝負魂に火が点いたというか…。今思えば心のどこかに眠っていた「また本物の勝負をしたい」という思いを呼び覚ましてくれたんでしょうね。

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カラダの調子に耳を傾け、いつでもトレーニングできる状態を保つ

―年齢を重ねていくうえでカラダとの向き合い方はどう変わりましたか?

昔からこまめな体調確認を欠かさないんですが、年を重ねるにつれて、疲労の抜けにくさを感じるようになってきましたね。だからこそ、今一番大事にしているのが"常に良いカラダの状態をキープする"ということ。ケガをしていたり、疲れている時に無理に鍛えようとしてもあまり効果が望めないので、日々変化する体調に敏感になって、いつでもトレーニングできるカラダでいることを目指しています。簡単そうに聞こえて、結構難しいんですよ!

―食生活にはどんな変化がありましたか?

若い頃はプロテインを摂取したりもしたんですが、今はそこまで厳しい食事制限はしないようにしています。アスリートは職業柄、日常生活の中で制限が多いんですが、窮屈すぎるのは性に合わないので食に関してはオンとオフを楽しむ派なんです。とはいえ若い頃に食事に関する知識やベースは築いているので、最低限のルールは守りつつ、ですが。その時の自分に必要なもの、逆にいらないものをきちんと把握して、バランスを損ねないようにしながらも食を楽しむことを忘れないようにしています。20代だったらもう少しちゃんと摂生してたんですけどね、もう40を半分も越えてるので(笑)。

私たちでも取り入れられるトレーニング法などはありますか?

とにかく一度カラダを動かして、苦じゃない程度に続けてみることが先決ですね。よく運動が得意じゃない友人たちにも言ってるんです。「一気に頑張りすぎて継続できなくなるよりは、5分でもいいから歩いてみて、まず"続けること"を心とカラダに覚えさせて」って。

スポーツというのは続けることで感じられる魅力もあるので、毎日が厳しいなら週に15分ほど歩くなど、ルーティーンを作っていくのがオススメ。慣れてきたら、徐々に時間を延ばしていくのでいいと思います。

太陽のもとに行けなかったことが一番辛かった

―昨年の手術を経て、現在も復帰に向けて精力的にトレーニングを積んでいる伊達選手ですが、手術後のリハビリで最もツラかったことは何ですか?

リハビリというより…太陽の下に行けないことが一番ツラかった。テニスって、1年中夏を追いかけていくスポーツなので、怪我をしてからずっと室内で過ごさなきゃいけないことが本当にもどかしくて。風を感じたり、太陽の光を浴びれないということが、私にとってこんなに苦しいことなんだってはじめて知りました。

変化のないトレーニングも楽ではありませんでしたが、「早く歩きたい。走りたい。テニスがしたい。太陽の下を走りたい!」っていう明確な目標があったからこそ、地味な日々にも耐えられたんだと思います。

―それほど好きなことを仕事にすることにメリットやデメリットは感じていますか?

自信を持って「好き」と言い切れるものって、誰しも簡単に見つけられるというわけじゃないと思うんです。そう考えると、出会った6歳から変わらずテニスに情熱を傾け続けられるのは幸せなことだな、って。それにもともと私って、止まっているより動いている方が元気なんですよ(笑)。だからアスリートって職業は本当に私の性分に合ってるんですよね。テニスのおかげで他のスポーツに目を向けることができたりもしたので、メリットこそあれどデメリットを感じたことはないです。確かに偏った世界ではあるんですが、テニスをしていたからこそ救われたことの方が、私の人生には多いと言い切れます。

待っていてはダメ。自分から動き出すことが肝心!

―自分の好きなものを見つけられず悩んでいる若者へアドバイスをお願いします!

若い人の話を聞いていると、自分が好きなものや情熱を注げるものに出会えてない人が多いようですね。私の場合は、幸運にも両親の勧めでテニスと出会えましたが、普段の生活ではそういったチャンスが巡ってこない場合がほとんどだと思うので、不思議ではありません。

でも、だからといって出会いを待っていては何も変わらない。たしかに年を重ねるにつれて妥協しなくてはいけないことも少しずつ増えてきます。でも私は実際にそこで怯まず、動き出すことで得られたものがたくさんあったので、みなさんにもチャンスを逃さないでほしいなと思いますね。常にアンテナを張って、自分から動き出すということを忘れないでください!

「今年はまた思う存分、太陽の下で真っ黒に日焼けして、コートを走りまわりたいと思います!」と笑顔で語ってくれた伊達選手。念願の復帰の先に待つ彼女の"新たな挑戦"に、今後も目が離せない。

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NEVER DONE」。伊達さんの人生観にも通ずるトレーニングイベントって!?

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去る21112日に、チャレンジを続ける伊達公子さんが契約アスリートとして登壇したのが、「アディダス ジャパン」主催の「ADIDAS TRAINING ZONE」。このイベントでは「NEVER DONE~夢中に、敵うものなんてない~」をメッセージに掲げ、剣道をベースにハウスミュージックに合わせてカラダを動かす「SHINDO」や、キックボクシング、FEELCYCLE、ヨガなど、6種類の最新トレーニングプログラムを提供。参加時には限定で「アディダス」の最新トレーニングウェアの貸し出しを行うなど、嬉しい特典もあったみたい! ひとりでも多くの人に、「トレーニングに夢中になる瞬間」を味わってもらうべく、「アディダス」は今後も多彩な取り組みを行っていくみたい! イベントの模様はコチラでチェック。

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