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Shoko Takayasu

コスモポリタン日本版がおくる、【LGBTQ】連載の記念すべき第一弾は、先日テレビでレズビアンであることを告白した滝沢ななえさん。前編では、告白した経緯や自分がレズビアンであると自覚した時のエピソードなどを語ってもらいました。

――番組(「衝撃のアノ人に会ってみた!」20171116日オンエア)が放送されてからの周囲の反応はどうでした? 放送後、色んなネットニュースにも取り上げられていましたね。

滝沢「もう怖かったです(笑)!! ブログのアクセス数も今までで一番すごくて、アメブロ総合10位以内に入ったり、バレー・ビーチバレー部門では1位になったり。大変なことになっている…と思いました」

――そもそもなぜあのタイミングで告白したんですか。

「テレビの話が来たのはたまたまなんです。実は、私の勤めるジムの上司、岡部友さん(SPICE UP FITNESS代表 )には、レズビアンであることはSPICEに入社する前に話していたんです。友さんと今後の私の人生…というと大げさですけど、セクシュアルマイノリティ(以下セクマイ)であることを仕事にも生かしていくべきだ、なんて話していたとき『ななちゃんは日本のエレン(エレン・デジェネレス。アメリカのコメディアン、女優。同性愛を公言しており妻は女優のポーシャ・デ・ロッシ。脚本家やプロデューサーとしても活躍し、アカデミー賞の単独司会も務める。2003年から続く自身のトーク番組「エレンの部屋」は、国民的人気を誇りアメリカのエンタメ業界を代表するパワーレズビアンとされる)になれる気がする!』と言われたんですよ、友さんに。エレン…と言われても、それが誰かは知らなかったんですけど(苦笑)」

――確かに日本にはエレン的ポジションの方はいませんね。ゲイの方はいますけど、毒舌おねえキャラとか女装とかわかりやすい人が人気ですよね。レズビアンを公にしている人で、子供から大人まで知られているような有名人は皆無ですよ。

「なので、私はそこを目指そうかなと。国民的レズビアンの枠を。友さんや友人たちと色々話していくなかで、セクシュアルマイノリティとして何か発信していくべきなのでは? と考えるようになったんです。そんなとき偶然きた話があの番組でした」

――随分さらっと告白してましたよね。

「そうですね。番組自体もそこがコアじゃないですし。『お付き合いしてる方はいますか?』と聞かれたので、ただ答えたっていう感覚です」

――ネットの反応では「大げさじゃないのが好感持てる」っていう声を、けっこう見ましたよ。

「そう言ってもらえるとうれしい! 私、レズビアンと自覚したときから今まで、男性を恋愛対象として見れない自分にショックを受けたり、悩んだりしたことがないんですよ。逆に、女性と付き合ったことで、生まれて初めて人を好きになる感覚がわかったくらいなので。だから彼女がいますって告白することは私にとっては皆さんが思うほど、深刻じゃなくて、むしろハッピー。異性愛者の女性が彼氏います、って言うのと同じ感覚なんです」

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Shoko Takayasu

――女性と付き合うまで恋愛感情がわからなかったというのは…?

「ハタチすぎて女性と付き合うまで人を好きになるってことが本当にわからなかったんですよ。友達の恋バナを聞いたり、ドラマや漫画を見てもピンとこない。私、中身はマジで男…おっさんなんですけど、外側が男ウケ良かったせいか(笑)、中・高と彼氏はいました。当時は自分が女性が好きかもなんて発想はまったくないので告白されれば、断る理由がないのでお付き合いはするんです。でも彼氏の優先順位はいちばん低い! 超~~~低い! 休日に会いたいと思ったことはないしメールもしません。友達といたほうが全然楽しかったので、自分からアクションを起こすことは一切ありませんでした。逆になんでこんな扱いしてるのに、私のこと好きなんだろう? 私の何がいいわけ?くらいに思っていました。体の関係もありましたけどまあ嫌で嫌で、極力したくない。良くしてくれるから"お礼"と思って仕方なく受け入れていましたが、今考えるとその発想がおかしいですよね。お付き合いしているのにお礼って(苦笑)」

――歴代の彼氏の方たちは、このカミングアウトに救われていると思いますよ(笑)。

「あ、でも元彼とは今も普通に仲良いんですよ。番組見たあと『やっぱりそうだと思った』なんてLINEがきてましたね(笑)」

――そんな、ある意味鈍かった滝沢さんが、いったい何をきっかけに自分がレズビアンであると気付いたんですか!?

「上野樹里ちゃんがやっていたドラマです。「ラスト・フレンズ」っていうドラマ。彼女の役は性同一性障害で女性が好きだったんですよね。そこでふと、もしかしたら私もそっちなのでは? と思ったんです。私は性自認は女なので、樹里ちゃんの役とは違うけど、女性が好きなのかもしれないと。それでSNSを通じでセクマイの世界に飛び込んで、女性とお付き合いしてみたら世界が開けたんですよね。人を好きになるってこういう気持ちなのか、と。会えない時間が寂しかったり、できるだけ一緒に居たいとか…。10代の頃、周りの友人が目を輝かせて話していた、あのテンションが初めてわかったんです」

――上野樹里ちゃんのおかげですね。一歩踏み出せてよかった。

「本当に。だから私今しあわせなんですよ。こうしてオープンにもできましたし、レズだから友達やめるとか差別されるとか全然ないし。ちょっと前なら大騒動になってたかもしれないけれど、現代の人たちはフラットですね(笑)。告白する前と後ではいい意味で、何も変わっていません」

滝沢 ななえ

1987年9月22日生まれ。東京都三鷹市出身。バレーボールの強豪校、八王子実践中学・高校ではリベロとして活躍。卒業後はパイオニアレッドウィングス、上尾メディックスに所属。2013年上尾メディックスを退団後、バレボールコーチとして活動。現在はSPICE UP FITNESSでパーソナルトレーナーとして活躍中。

撮影/Shoko Takayasu ヘア&メイク/LISA  スタイリスト/町野泉美 取材・文/コスモポリタン編集部

ジャケット/62,000円(ピンコ) コンビネゾン/68,000円、中に着たノースリーブニット/36,000円、ベルト/28,000円(リビアナ・コンティ/株式会社アノア) イヤリング/82,000円(アルテミス・ジョイエリ) シューズ/スタイリスト私物 ※全て税抜価格

次回の後編では、底抜けに明るい滝沢さんの結婚観や、幼少時代についてインタビューしていきます。

後編は、12月27日にリリース予定。