学生の頃から海外で働くのを夢見ていた人、日本での働き方に疑問を感じた人、海外で腕試しをしてみたい人…海外で働きたい理由は人それぞれ。ただ海外で暮らしていると、海外で働くために求められるスキルとか資格って、実は日本で考えられているのとは若干違っているということに気付くことも。

ここでは筆者が15年暮らしているイギリスをメインに、人気の移住先に住んでいる日本人たちの意見を参考にビザの仕組みやどんな人材が求められているのか、どんな資格が海外就職に便利なのかを紹介します。

就労ビザを取るのは難しい?

移住先として人気の国では、年々就労ビザを取るのは難しくなってきています。イギリスを例にとると、近年「自国民の就労の機会を守ろう」という動きが顕著になり、移民を制限する方向性はますます強くなってきました。それでも可能性はゼロではないし、職種によっては人材が足りていないケースもあります。イギリスで個人が取得する就労ビザにはどんな種類があるのかを一部簡単に紹介してみます。

※各ビザの詳細についてはイギリス政府のサイトを参照。近年の世界情勢で条件は頻繁に変わりますのでご注意ください。

ジェネラルビザ−1Tier 1 (General) visa:スキルのある自営業の労働者が申し込むビザ。法律家、記者、作家、アーティストなど。通常4~5年。

ジェネラルビザ−2Tier 2 (General) visaUK内の企業から仕事をオファーされたときに取得するビザ。金融、一般企業など、職種は様々。通常4~5年。

実業家ビザTier 1 (Entrepreneur) visa :事業を始めたい人が申し込むビザ。一定額の準備金、英語力の証明、16歳以上の証明などが必須。ビザの申し込みの費用は約15万円(換金レートによって変化)。通常4~5年。

例外的有能者ビザTier 1 (Exceptional Talent) visa:科学、人文、高額、薬学、デジタル技術、芸術などの分野で国際的に認知された人材と認められた場合に取得できるビザ。希望すれば5年延長できる。人数制限あり。通常4~5年。

ユース・モビリティ・スキームビザTier 5 (Youth Mobility Scheme) visa:いわゆるワーキングホリデー。UKに就労ビザ付きで2年滞在することができ、手続きのコストや準備金も比較的少額でOK。が、31歳以下で年間1000人限定と競争率も高い。通常2年。

そのほか、スポーツ選手、就労ビザを持っている人のパートナーに与えられるビザ、短期限定ならチャリティーや文化事業をする人に出されるビザなどに細分されています。移民法は世界情勢に合わせて変わるので、目的が決まったら渡航時期に合わせて渡航先の移民法をチェックしましょう

学生ビザでも働けるの?

ケースバイケースになります。イギリスの場合、学生ビザでも大学留学に相当するフルタイムの学生かそれ以上なら週20時間就労可能です。語学学校などの学生でも10時間までは就労可能です。ほんのすこしUKで働く体験をしてみたいだけだったり、将来の仕事のために無給のインターンシップやボランティアをしたい人なら、学生ビザで渡航して、現地で仕事をしてみるのも悪くないかもしれません。

ワーホリから現地採用、というケースはある?

ほとんどの場合、2年間(イギリスの場合)海外で働いたり英語のスキルを磨いたり地元での交流を楽しんだりして日本へと戻っていくワーキングホリデー。特別なスキルやネイティブレベルの英語力がないと、現地採用になるにはかなりハードルは高いよう。

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でも、実は学生ビザや観光に比べると、経験が積める分、国によっては現地採用に切り替えるのにはかなり有利なよう。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

本人のバイタリティが試されるビザ、と言っても過言ではないかも。

海外で足りてない日本の人材って?

学者、金融関係、ミュージシャンなど特殊な技能の人や経済効果が高い人しか受け入れてないのかなと思いきや、そうでもないみたい。

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そして日本人に特化した仕事で、意外に足りていないのが日本食をが作れる調理師。特に寿司職人はイギリスやアメリカでは足りおらず、ビザを取得している他のアジア系の調理師を雇っているところが多いよう。

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ビザの問題がクリアしている人なら、こんな仕事も需要あり。

技能職として採用されるのに有利なスキルって?

グローバルに活躍できる科学者、エンジニア、法律、金融系以外だと強いのはやはりIT系。

"@Ken_suger:やっぱり世界的にIT技術系が需要高いと思う。就職狙いならLInuxファウンデーション直系のサーバー管理者検定とか。仕事としての成果物の対価は肩書きや資格だけあっても約束されない世界ではあるけど。この世界は日々技術進歩しているので日々勉強あるのみのスキル勝負"

"@Ken_suger:あと手に職系だと今ブリテン島では#EdTech の一環で小学校から #RaspberryPi などのミニ基盤コンピューターに触れさせてIoT感覚を学ばせるのが流行ってるけど、この辺の電子基板知識とコンピュータ構造知識に加えて自前でLinuxサーバーを構築管理できるスキルを持ってれば、来るべき #IoT &人工知能(#ArtificialIntelligence)全盛時代に必要な人材になることうけあい"

アメリカでは他にもこんな資格が有利なんだそう。

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そして、海外就職に有利な資格の代表選手のようなあの資格は…。

実はMBA取得者の市場は飽和状態なんだとか。かつてのように現地の大学院の卒業生に就労ビザがつかなくなった今、あまり役には立つ資格とはみなされないようです。

海外就職に立ちはだかるライバルとは?

①現地の人

海外では実力がものをいう、というけど、実はその国の文化を理解しコミュニケーションができる、共通の認識の元で話ができる、というのは採用でも気にされるポイント。ちょっとしたことだけど、仕事の合間に昔のドラマの話や芸能人の噂話、政治の話もしたい…人種差別?と大げさに反応しないで。日本でも息抜きするなら全員が話せる話題で盛り上がりたいですよね。そうなるとどうしても自国民を優先的に採用することになります。

②ネットワークの強い人

もともと社会に強いネットワークを持っている人がいます。イギリスの有名パブリックスクールを優秀な成績で卒業したのに、コネが弱くて就活で自分の学歴に見合った仕事にはつけず、結局日本に帰国したというケースも聞きます。コネも実力に含まれる…シビアですがそれも現実です。

③すでに永住ビザのある日本人

じゃあ日本人に特化した仕事を探そう、という時に立ちはだかるライバルは、すでに永住ビザを持っている日本人。国際結婚した人、Tier 1 (普通の就労ビザ)から切り替えた人、その配偶者や家族など、在住期間も長くすでに就労できるビザのある日本人は現地企業には魅力的で、競合するのはやはり大変。しかし、上記にもある通り、その人たちが必ずしも需要のある職種に就きたがっているとは限りません。逆に「日本から来たばかり」というのが武器になる場合も。日本企業の海外支社の採用求人などに目を向けるのも1つの手です。

やっぱり国際結婚でビザを取るのが一番簡単かも?

結婚と就職は全く別問題。ビザ取得の難しさに疲れると、国際結婚をして就労許可を持っている人、というのが得をしているように見えるという気持ちもわかります。が、余計な苦労やしがらみを増やす結果になってから後悔しても遅いのです。自然な形で出会う分にはいいのですが、ビザ欲しさに焦って相手を探すと後悔する結果になる事もあるので注意しましょう。あくまで自分を大事にして!

最終的に仕事は「運」がモノをいう、だけど…

資格も実力も語学力も揃っているのに就職に恵まれなかった、という人もいます。逆に運良く仕事のオファーをもらい海外で活躍している人もまた大勢います。「こうすれば仕事が見つかる」というアドバイスに従って行動しても、絶対に仕事が見つかる保証はありません。最終的には「運がモノをいう」側面もあると思います。

反面やはり成功の鍵は、ビザの問題も言葉の問題もない日本にいるうちから、できる限り情報収集しておくこと。また、1つの場所に固執せずに仕事が見つかりやすく、ビザが取りやすく、日本人も暮らしやすい場所をチェックすること。将来性があり治安も悪くない場所を調べておくことも大事です。運を呼び込むのは「積極的に動く」のもとても大事です。

充実した海外生活が手に入ることを祈っています。

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