職場での性差別がいまだに珍しくない今日。ある女性起業家たちが編み出した、気が利いていて、効果的な対処策を、コスモポリタン アメリカ版からお届けします。

昨年、<Etsy>に似たアート作品のマーケットプレイス<Witchsy>を立ち上げようとしたペネロペ・ゲイジンさんとケイト・ドワイヤーさん。するとすぐに、自分たちが男性デベロッパーやデザイナーたちからまともに相手にされていないこと、見下されていることに気づいたそう。業界に根深く存在する性差別に対処するため、2人はある独創的な解決策を考案。共同創設者に架空の男性、「キース・マン(「男性」を意味するManと同じ発音のMann)」の名を連ねると、その効果はてきめんだったのだとか。

取引先から返事が来ないときにキースの名前でメールを送ると、相手方の態度は急変。ドワイヤーさんがアメリカの『ファスト・カンパニー』誌に語ったところによると、彼女が数日間無視された後で、キースは「返事とステータス・アップデートをもらえるだけでなく、何か他に必要なものはないか、何か手伝うことはないかと聞かれるんです」とのこと。

彼女たちが新規事業を立ち上げる際に出会った性差別は様々。ゲイジンさんがあるデベロッパーとのデートを断った後ですべての仕事を断られたり、他のあるデベロッパーに「オーケー、君たち(girls)…」で始まる、驚くほど横柄なメールを受け取ったり…。でも、キースを導入してからは、人々がよく返事をしてくれるようになっただけでなく、女性たちに対してよりもキースを尊重してくれることが分かったのだとか。ゲイジンさんが挙げた例によれば、あるデベロッパーはキースの名前は呼ぶのに、女性2人の名前は決して呼ばなかったそう。また、ドワイヤーさんがビジネスニュースサイト<Quartz>に語ったところによると、キースの名前を使うまでは「誰も私たちの言うことを真剣に受け取っていないのが明らかだったし、誰もが私たちをただのバカだと思っていました」。ところが、キースが登場すると、同じ人々がずっと協力的になったのだとか。

もっとも、2人はいたって冷静。「これこそ今私たちが生きている世界の一部なんです」と『ファスト・カンパニー』誌に語ったドワイヤーさん。「したい仕事だったし、成功を掴みたかったんです」。最近1周年を迎えたWitchsyは、およそ20万ドル(約2200万円)のアート作品を売り上げ、人気テレビアニメ番組『Rick and Moty』のクリエーター、ジャスティン・ロイランドから支援を受け、利益を出すようになったのだとか。

こんなことをしないと女性がまともに受け取ってもらえないのは残念なことだけど、少なくとも彼女たちがこうした話をシェアすることで、今日の女性起業家が置かれている矛盾した状況が明らかになるというもの。2人が事業を1からスタートさせ、利益を上げるまでに成長させたのはもちろん、こうしたかたちで性差別についての議論を喚起したのは、素晴らしいこと。コスモポリタン アメリカ版に届いたドワイヤーさんのメールには、心強いメッセージが。「女性はパワフルで、才能にあふれているということ! 女性ができることを示すのにman(あるいはMann)はいりません。私たちは、女性が職場でどう見られているか、どうしたら皆がもっと良くなるかについて対話を始める一助になりたいと心から願っています」。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation:mayuko akimoto

COSMOPOLITAN US