「同じフロアで働くあまり親しくない人といっしょにエレベーターに乗って、45秒間気まずい思いをするくらいなら、5階分の階段を歩いて上がったほうがいい」と思ったこと、ありませんか? デジタルツールの普及により、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが苦手な人が増えている――コスモポリタン イギリス版が、最近のそんな傾向について解説しています。

職場で顔を合わせる人々とのちょっとした会話が億劫で、わざわざそれを避けるような行動をとったことがある、という人(たとえば、電子レンジでランチを温めている時、並んでいる人と会話する代わりにトイレに行くなど)。それは実のところ、せいぜい2~3分の世間話をすることにも耐えられない、ということなのかも。

本来のあなたはとても人づき合いのよい人間で、週末の予定についてや、今日は雨が降りそうだ、といった大人としての会話もそつなくできるはず。それなのに、そういう会話を避けるような行動に出てしまうのは、一体なぜ?

電話会議サービスを提供する会社<Powwownow>の調査によると、こういった行動に出る心理は、デジタル・コミュニケーションに慣れすぎたことによる、不安感の現れかもしれないとのこと。

イギリス国家統計局(ONS)の統計によると、国民全体でこうした不安感は増大傾向にあり、これはデジタル時代との関連によるものだと見られているそう。ソーシャルメディアおよびセレブリティ関連の心理学者として知られるアーサー・キャシディ博士も、デジタル機器の普及が、私たちの実生活におけるコミュニケーションや他人との関係を築く能力に大きな影響を及ぼしている、と指摘。

「現代社会において私たちは、コミュニケーションのためにサイバーテクノロジーに最大限に依存していて、それによって急速に人間らしさを失ってきたということが、研究から明らかになっています」と、博士。「若い人たちには、フェイス・トゥ・フェイスでコミュニケーションをするノウハウが不足しているうえ、人の感情を理解するスキルも乏しくなっています。つまり、気の利いたツイートや工夫を凝らしたInstagramの投稿には慣れてしまったけれど、親しくもない人を相手にした実際の会話では、そういった投稿のような気の利いた会話ができるかどうかまったく自信がない、というわけなのです」。

<Powwownow>のマネージング・ディレクター、ジェイソン・ダウンズさんも、博士と同じような考えを持っているそう。「人々が"リアル"よりも、ヴァーチャルで対話するほうを好む事例を数多く見てきました。電話や実際に会って話すのは、即座に反応しないといけないコミュニケーションですが、eメールやオンラインの書き込みの場合は、どう反応すべきか考える時間がありますからね」。

さらにダウンズさんは次のようにも語っています。「メッセージアプリを使ってコミュニケーションするのに慣れて育った、いわゆるミレニアル世代の人々は、質問やコメントに対する返信を書くのに時間をかけることが当然になっているため、特に職場などの環境で他人と個人的に話さなくてはならないとなると、不安な気分になりがちなんです」。

他人から自分を隔ててくれる電話やノートパソコンなどの装置に守られるようになった代りに、私たちのソーシャルスキルが犠牲となりつつあるのは明らかなよう。次に、あまり知らない誰かと偶然出会ったときには、先のことなど考えずに会話を始めてみてはどうでしょう。意外と楽しい経験ができるかもしれませんよ?

※この翻訳は、抄訳です。

Translation:西山佑(Office Miyazaki Inc.)

COSMOPOLITAN UK