コートニー・コーワンさんは、人気ドラマ『シックス・フィート・アンダー』などの製作プロデューサーをしていた女性。自分の仕事が大好きだったにもかかわらず、それよりもっと好きな、クッキー作りをするために転職し、今では充実した毎日を送っているのだとか。大好きだった仕事を手放し、趣味で始めたクッキー作りを副業に、そして本業にするまでの彼女のリアル・ストーリーを<delish>から。

「一般的に言って、人々が仕事を辞めるのは、その仕事が嫌いだからです。でも、私は違います。実際、私は自分の仕事が大好きでした。私は『シックス・フィート・アンダー』や『グッド・ワイフ』などのテレビドラマの製作プロデューサーをしていました。それは私にとって夢の仕事でしたし、そのおかげで私はロサンゼルスに来ることができたんです。

テレビの仕事は興味深くて、楽しくて、充実していて、仕事が持つべき性質をすべて兼ね備えていました。ただ、仕事が終わった後や週末になると、クッキーを焼かずにいられなかったんです。それは私の創造力のはけ口で、クッキー作りの科学的なメカニズムを勉強し始めると、ひまさえあればクッキーの生地を作るようになりました。職場にクッキーを持って行くようになると、みんな買ってきたものだと思いました。それは最高のほめ言葉で、言われれば言われるほど私もその気になり、サイドビジネスとして、『ミルク・ジャー・クッキーズ』と名づけ、スタートさせました。

テレビ業界で働いていると、シーズンとシーズンの間に休止期間があったり、番組がキャンセルになって仕事がなくなったりすることがあります。そういうときは、クッキーに専念しました。そのうちに仕事のオファーが来て、『そうだ、お金がいるんだったわ』って感じでした。

でも、決断を下してしまうと、気持ちが落ち着きました。何か素晴らしいことを成し遂げるためには、何か良いものをあきらめることも必要なんです

クッキーの注文が増えるにつれて、自分が人生の岐路に立っていることに気づきました。クッキーを副業にしてすでに7年が経っていました。仕事が嫌になったこともあったし、クッキーが嫌になったこともありましたが、両方に対して同時にそうはなりたくありませんでした。そして、クッキーに自分の全力を注がない限り、真に満たされることはけっしてないだろうと気づいて、大きく前進することにしたんです。

転身はとても恐かった。私は常に行きつ戻りつしていました。『もしうまくいかなかったらどうしよう?』って感じで。でも、決断を下してしまうと、気持ちが落ち着きました。何か素晴らしいことを成し遂げるためには、何か良いものをあきらめることも必要なんです。

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すぐにビジネスの本を買い込んで、事業計画を書き始めました。すべての本に112時間働くことを覚悟せよと書いてありましたが、『まあ、これはもうテレビでやってるから、大丈夫だわ』と思いましたね。気づいていなかったのは、それは脳が完全にシャットアウトすることがないということでした。いつもビジネスのことや次に何が来るかを考えているのですが、自分を刺激してくれるものは、自分を元気にしてくれるものでもあるんです。私生活まですべて浸食されてしまわない限りはね。それは今の課題です。

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夫と私はキャビネットからロゴまですべてデザインしました。庭で作業をしていると、近所の人たちがやって来て『何をやすりがけしたり、塗りかえしたりしているの?』って聞かれました。完全なDIYなんですけど、これこそ私たちらしいと思いました。お店をオープンしたらどうなるかまったく見当もつきませんでしたが、全力でやるというだけ。

初日は午後2時には完売しました。ご近所さんたちがとても協力的で、口コミを広げてくれたんです。そして、今年の夏、つまり、ウィルシャー・ブールバールに小さなお店を出してから約3年後、(アメリカ発の高級キッチン用品店)ウィリアムズ・ソノマから私のクッキーを試食してみたいというメールを受け取ったんです。でも、彼らのオーダーは私たちのオンラインフォームには大きすぎたので、すぐにいくらか送ったところ、数週間後にさらにもう一箱分リクエストが来ました。その後しばらく連絡がなくて、ある日、電話が来ました。私のクッキーをミックス粉にして売り出したいと言うんです! 私は呆然としました。ウィリアムズ・ソノマの社長が私のクッキーを食べて、気に入ったそうなんです。私は大はしゃぎでした。

それから、『クッキーの魔法使い」と呼ばれている男性と試作を重ねました。彼はどんなレシピでもミックス粉にできる、すごい人です。それから、ウィリアムズ・ソノマと協力して『ミルク・ジャー」らしい、素朴な青と白のパッケージを考えました。彼らはうまくやってくれました。お店でパッケージを見て、ディスプレイをした人に会ったときは、本当に涙が出て来ました。それは、人生でずっと夢見ていたことでした。私はただクッキーを焼いて、人々に小さな喜びを届けるのが大好きなんです。そして、今それが大規模な形で実現しているのを知って、酬われた気がしています」

※この翻訳は、抄訳です。

Translation:mayuko akimoto

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