フルーシュ・アクミャンは、現在ビューティ界でとてつもなく注目度の高い人物の1人。何故かというと、彼女の名前を知らずとも、誰しも彼女の"作品"を見たことはあるはずだから。独学でメイクを学んだというフルーシュは、実は世界でもっとも有名なセレブ、カーダシアン&ジェンナー姉妹のメイクを担当しているアーティスト

すべての始まりは、キム・カーダシアン本人が、フルーシュのインスタグラムでそのメイク技術を見て惚れ込んだのがキッカケ。そしてフルーシュは、ブライダルメイクアップアーティストとしてのキャリアから、カーダシアン&ジェンナー族のビューティチームへと引き抜かれ、瞬く間に世界が注目するビューティ・インフルエンサーへと成長することに。

210万人のフォロワーを保持するインスタグラムと、有名なクライアントたちのおかげで、彼女の定番メイク術が美容界のムーヴメントへと進化している今。くっきりとした眉、コントゥアリングメイク、きらめくハイライター、ふっくら大きな唇…海外で「インスタグラムメイク」とも呼ばれるそれらの技術は、もはや一種のアートであり、その美しいシンメトリーを描くためのスキル(と忍耐)を習得するのは並大抵の努力ではなかったはず。

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そんなビューティートレンドを打ち立て、世界一有名なセレブの顔を作り出し、今も世界中の女性たちにメイク術を伝授しているフルーシュの成功への道のりを、コスモポリタン イギリス版が独占インタビューしました!

美容業界での始まり

「昔からアートが大好きだった私にとって、アーティストであるということはアイデンティティの一部です。小さい頃油絵を習っていて、それがきっかけで今のキャリアへとつながったんだと思います。17歳の時に、人生初のクライアントを受け持つことになりました。

メイクの学校へ一度も行ったことのない私の初めてのクライアントとなった女性は、結婚式を迎える花嫁でした。彼女のメイクさんが急遽キャンセルになったのですが、当時その花嫁さんのウェディングドレスデザインを担当していた方の元でインターンをしていた私は、彼に『君はデザイナーよりメイクの方がきっと合ってるよ』と言われ、半ば無理矢理メイクを担当させられることになりました。当時はデザイナーとしての自分の力を証明したいと思っていましたが、今思えば彼の言う通りにして良かったなと思います。

花嫁さんのメイクをした後、私は泣きました。なぜなら、正直私のせいで彼女の結婚式は台無しになってしまったと思ったから…。でも、私の思いとは裏腹に、彼女は私のメイクをものすごく気に入ってくれて、それから大勢のクライアントを紹介してくれたんです。そうして、私のメイクアップアーティストとしてのキャリアが始まりました。

ブライダルメイクアップアーティストとして活動する中で、私は自分の文化的背景を用いて多くの新しいメイクテクニックを生み出すことができました。私はアルメニア人なのですが、アルメニアの結婚式ってすごく長くて、15時間くらい続くんですよ。だから、その時間終始美しさを維持できるようなメイクテクを編み出さなければなりませんでした

インスタグラムを始めた時、私は他のアーティストとは違う形で自身の作品を発信していたように思います。よく自分が施したメイクをビデオ動画で流していたんですけど、その頃のビデオにはフィルター機能がなかったので、誤魔化しがきかなかったんです。やがて私のアカウントがキム・カーダシアンの目に留まり…それはもう夢のようでした」

カーダシアンビューティーチームの一員になって

「キムは、美容業界においてものすごい革命を起こして来た素晴らしい人です。私たちの想像を遥かに超えています。もはやカーダシアン一家は美容界で最も影響力を持つ人たちで、彼女たちと一緒に仕事ができるということは、ある種この世界で認められているという証明のようなものです。だから、本当にありがたいです。

カーダシアン流のルックスを作る時は、本人と私の5050のコラボレーションが必要だと思っています。まぁ、たまに私の中にものすごいひらめきが降りて来て、『今日はこれをして、これを着て、このヘアメイクにするのよ』なんて指示しちゃう時もありますけど。

基本的に私は、ある発想をベースにして、そこからアイデアやインスピレーションを膨らませています。メイクにおけるインスピレーションの多くはキャットウォークから来ています。ファッションウィークなどに参加して、舞台裏のメイクアップアーティストたちが考案したメイクを見るのが大好きなんです。そこからものすごく感銘を受けるし、私自身が新しいトレンドを生み出すきっかけにもなります。ランウェイで見たものを応用して、より日常に沿った形へと変えていくことが、私は好きなんです」

この仕事の何が最高かというと、仕事をしているような気分にならないことですね。友達と一緒に働いて、自分の好きなものを作れて、もうとにかくいいことづくしの環境です。1つ嫌いな点を挙げなければいけないとすれば…(こんなラッキーな仕事はないと本気で思っているから、すごく難しいけど)たまに時差ボケに苦しむことですかね(笑)。でも、こうして世界中を旅できたり、普通の人が一生かけても見られないようなものを見られるのがそもそも幸せなことですから、時差ボケごときで文句なんて言えません」

振り返って思うこと

「メイクアップアーティストとして駆け出しの頃は、自分のメイク術は"秘密にしなきゃ"と、知識をシェアすることに関してとても保守的でした。でも今は、自分自身が毎月変化しているように感じるんです。使う商品も変わるし、好みも変わる。もちろん、これだけは絶対という道具はありますけどね。

だから、自分を美しく見せる方法を他の人にシェアしたり、教えたりすることへの概念は、自分の中で大きく変わったように感じます。今では自分のお気に入りの商品やテクニック、また、美容の知識そのものを教えたりすることが大好きですし、楽しいです

女性たちへのアドバイスは?

「新しくメイクアップアーティストになった、あるいは最近この業界に足を踏み入れたという方へは、『決して立ち止まらないこと』、そして『決して"No"を答えにしないこと』と伝えたいです。ありきたりに聞こえるかもしれませんが、もし私が周囲のネガティブな意見や声のすべてに耳を傾けていたとしたら、きっととっくの昔に辞めていたことでしょう(現在はこの業界で12年目)。あるいは夜な夜な泣くような日々を送っていたかもしれませんね」

「だから、とにかくネガティブな声は無視すること。当然、建設的な意見や批判からは目を背けてはいけません。初めから自分の力を過信したりせず、謙虚に学んでいくことは大切です。でも同時に、決して諦めないことが鍵ですね

この翻訳は、抄訳です。

Translation: 名和友梨香

COSMOPOLITAN UK