メラニー・ウェランさん(39歳)は、幼い頃から姉妹でホテルマンごっこをしながらサービス業に目覚めていったのだとか。現在彼女が務めるのは、「ソウルサイクル」というインドア・サイクリング・スタジオのCEO。彼女が20156月に就職した当時、まだニューヨークに7つのスタジオしかなかった「ソウルサイクル」は、現在では70店まで店舗数を増やし、今年はさらに1015店舗が増える予定とのこと。彼女がどのようにして自身の接客業への情熱を生かし、今の輝かしいキャリアを手に入れたかを、コスモポリタン アメリカ版に語っています。

父がいつも親身に話を聞きながら、お客様と厚い信頼関係を築いていく姿を見て、私も接客やサービス業に惹かれていきました。

「もともと建築家になるために、大学では工学部に進学したのですが、2年生になってそれが自分の性に合っていないことに気づきました。むしろ運送業社など複数のビジネスを手掛けていた父のように、自分ももっと起業家的なことをやってみたいと思うようになったんです。トラブルが起きた際に顧客に対応する時、父がいつも親身に話を聞きながら、お客様と厚い信頼関係を築いていく姿を見て、私も接客やサービス業に惹かれていきました。

『スターウッドホテル&リゾート』が学内にリクルートをしに来た時、私はその機会に飛びつきました。そして、1999年に大学を卒業した後、当ホテル系列のブランド戦略チームのアナリストとして就職することになりました。

私のチームの主な仕事は、クルーズやゴルフクラブのメンバーシップなどホテル利用者のブランド体験を広げ、お客様へのサービスを充実させていくためのパートナーシップを結んでいくことでした。ホテル内ロビーに流行りのレストランを開店させたり、リーボックなどの有名ブランドとコラボしてホテル内のジム運営の魅力をアップさせたりもしました。そういったプロジェクトの財務モデルを組むことが私の役目で、多角的にサービスの現状に触れていく機会が与えられました。

ある日同僚から、ニューヨークに新たな開発チームを設置しようとしている英国のヴァージン・グループが、アナリストを探しているという話を耳にしました。当時、開発チームという存在も、アナリスト職もレアだったので、自分にとってまたとない機会だと思い、応募してみることにしました。

私が2002年の6月にヴァージンで働き始めた頃、会社の抱えていた大きなプロジェクトの1つに、『ヴァージン・アメリカ』という米国を拠点とした航空会社の設立がありました。当時は私を含めたわずか3人の社員が、ソーホーの小さなロフトスペースで、1日中電話をかけ、プロジェクト計画を相談し合い、銀行員や弁護士や航空機会社の方々と打ち合わせを重ねる日々でした。4年後、私たちは26人のスタッフを抱え、サンフランシスコ国際空港にて航空会社新設を遂行させるまでに至りました。

ヴァージンでの仕事は大好きでしたが、ある時知り合いから大手フィットネスクラブ『Equinox』CEO新たなビジネス開発部のリーダーをヘッドハンティングしているという話を聞きました。Equinoxは私も以前から常連としてトレーニングやスパ使用に通っているジムでした。

2006年の頭には、その知人の紹介でEquinoxとつながり、その後6カ月に渡る怒濤の面接期間を経て、ビジネス開発局の副局長の職を貰いました。そこでの仕事開始日が2007年の1月だったのですが、ちょうど同じ日がヴァージン・アメリカの初フライト日だったんです。でも寂しい気持ちにはなりませんでしたよ。むしろ、共に年月をかけてきたプロジェクトがようやく日の目を見たことを嬉しく、また誇りに感じました。

新しい職場での私の仕事は、メンバーシップやブランド、そして空間使用における新提案と開発業務でした。これらはスターウッドホテルでやっていた業務とよく似ていましたが、それに加えて、パーソナルトレーニングやスパやショップなどの付随事業の運営や、損益計算書の管理も任されることになりました。

1年ほどひたすらがむしゃらに働きましたが、ある時ふと気づいたんです。この仕事はわずか29歳の自分には重過ぎる…と。でもそんな時、CEOのハーヴィー・スペヴァク氏と交わした会話が、いつまでも胸に残っています。彼は、まず私の業績を褒め、それから現状の問題点を指摘し、最後にそれらの改善のために自分はどこまでもサポートする旨と、その具体的な形を提示してくれました。フィードバックをもらった私は、拒否はおろか、むしろ励まされ後押しされた気持ちになりました。

その後損益計算書業務から離れ、ビジネス開発の分野に深く携わるようになりました。CEOに頂いたフィードバックをきちんと受け止め、そこから成長し、会社に還元できる人材になるべく、私はさらに情熱を燃やしました。その後5年で、『コアヨガ』というアジア発ジムのアメリカ支店を2店舗スタートさせることに成功しました。

しかし、Equinoxはさらなる成長の機会を狙っており、私はブリンクフィットネスというプロジェクトの起動に力を注ぎ、今ではニューヨーク中に50店舗を構えるまでに成長させました。そのプロジェクトを終えて次に耳にしたのが、当時まだニューヨークに1店舗しかなかった『ソウルサイクル』だったのです

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"何かについて3回耳にすることがあったら、それは試す価値がある"という私の中でのちょっとしたルールがあるんですけど、ソウルサイクルのレッスンもその1つでした。何人もの友達に紹介されたため、一度受けてみようと思うようになりました。お店に入ると、受付に立っていた創設者のジュリー・ライス氏とエリザベス・カトラー氏と出会いました。ソウルサイクルのレッスンは、それまで受けてきたフィットネスジムでのグループクラスとはまったく異なるもので、単なる身体運動のみならず、音楽と連動し、喜びや感動を生み出すようなレッスンでした。そしてみんなの共有するエネルギーがまた、参加者同士の絆の結びつきにもつながるようでした」

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「レッスンに参加した当時、ちょうど私は第1子を妊娠していたのですが、レッスンの翌日、可愛らしい赤ちゃん服と一緒にジュリーとエリザベスによる手書きの来店御礼カードが届きました。本当に心に染みる特別なサービスの形でした。

2011年、Equinoxはすでにソウルサイクルの株の大半を買っていました。私はそこでの取引や投資に携わり、2社の効果的な統合と分別を測る仕事を担っていました。

私はジュリーとエリザベスと仕事をするのが大好きでした。彼女たちのニーズを聞いては自分にできるサポートを提供し続けて6カ月が経った時、2人から『ソウルサイクルの最高執行責任者(COO)として一緒に働いてくれないか』とオファーをいただきました。

私はこれまで一度も嫌な思いをして会社を辞めたことはなかったので、キャリア転向の決断をする際は毎回ものすごく悩みました。それは今回も同じ。でも、Equinoxよりもソウルサイクルの方が、自分にとっての新たな機会やポテンシャルを秘めているように感じ、最終的にオファーを受けることにしました。

ちょうどその頃第2子の出産を控えて産休を取ろうと思っていたので、これを機にEquinoxでの時間に終止符を打つことに決めました。2012年に娘が生まれて3週間後、私は期待に胸を膨らませてソウルサイクルでの仕事を開始しました。上司が同じくワーキングマザーだったため、子どもとの時間をきちんと確保しながら働くことができたことは幸いでした。

20156月に、CEOに昇格。COOは明日、明後日、ないしは数カ月先を見越して企画を練り、チームを結成し、タスクを達成していく役割ですが、それに対してCEO25年先を見越して動く役割として区別されます。

ソウルサイクルでのチャレンジの多くは、人材発掘や人間関係に関するものでした。問題が起きた時、そこには必ず人が関与しています。だから私は、常に社員及び会社に関わる人全員が、共通理念のもと、真剣に自身の成長と向き合い、学ぶ意欲と協調性を持ち、また自分の持つ他者とは違う経験を会社の発展のために提供していくことができる人たちであるよう、時間をかけて人材を選び育てるよう努めています」

「私たちがスタジオのロビーで耳にする会話は本当に素晴らしいものばかりです。例えば、数カ月前にサンタモニカスタジオのロビーで、ある会員さんと話をしていました。彼は仕事のストレスで薬物とアルコールに走り、ひどいダルさと睡眠不足に陥ってはまたそれを繰り返すという負のスパイラルに苦しんでいたそうです。しかし、友達の紹介でソウルサイクルに通うようになると、先が明るく見えてきて、転職する勇気を得ることができ、体重も大幅に落とすことができたと言いました。こういった話を聞く度に、この仕事をやってきた甲斐があったなと、本当に喜ばしく幸せな気持ちにさせてもらえるのです。

私がこの仕事で一番好きなのは、スタジオ内で働けることです。物事が上手くいかない日やトラブルの起きた日などは、すぐにレッスンを受けてスッキリし、新たなインスピレーションを得て初心に戻ることができます。フィットネスという活動と喜びが結びついた時、人はより深くフィットネスに没頭し、そこから精神的にも、身体的にも、また感情的にも、人生における変化を感じることができるようになるんだと思います」

この翻訳は、抄訳です。

Translation: 名和友梨香

COSMOPOLITAN US