小さなコミュニティで生まれ育ったジェン・アトキンは、19歳でロサンゼルスに移り、美容室の電話番からキャリアをスタート。現在ではセレブ御用達の売れっ子ヘアスタイリストに。顧客リストにはジェシカ・アルバ、ケイティ・ペリー、ジェニファー・ロペス、グウェン・ステファニー、ソフィア・ベルガラ、カーダシアン一家…、錚々たるセレブの名前が。

2014年、ウェブサイト<Mane Addicts>を立ち上げ、ハウツービデオや地域別ベストスタイリスト名など、髪に関するあらゆる情報を発信。2016年2月にはヘアケア用品の販売<Ouai Haircare>を始め、ジェシカ・アルバが運営する<The Honest Company(オネストカンパニー)>や、化粧品と香水の<Sephora(セフォラ)>でも購入が可能に。

3つの都市の美容室に所属し、セレブを顧客に持ちながら、ウェブサイトと販売業も手がけるジェンが、その仕事ぶりをコスモポリタン アメリカ版に語っています。

"美容学校の授業料を貯めると、学校に通いながらスタイリストのアシスタントに。美容室で働き、夜はホステス、残りの時間が学校という毎日を続け、1年半で免許を取得しました。"

「私はハワイのオアフ島にある、モルモン教徒のコミュニティで育ち、高校時代はユタ州のセントジョージで過ごしました。早い時期から、コミュニティの中でただ1人、ポップカルチャーに夢中で、映画が大好き。ドレスアップして色んなキャラを演じて楽しんでいました。自分の髪をカットし始めたのは高校時代、友だちのも切ってあげるうちにヘアスタイリストになりたいと思うようになって。ジョージ・マイケルやマドンナのビデオのような、華やかな世界に憧れたんです」

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「両親は高校時代の彼氏と結婚すると思っていたみたいだけど、2000年には、自分のしたいことを求めてホンダシビックに荷物を積み、友だちとロサンゼルスに移りました。所持金は2人で300ドル(約3万2千円)、知り合いはゼロ。生活していくために音楽や建築関係の事務職をしながら、有名美容室の受付の仕事を探しました。

約半年かかって、美容室エスティーロの受付に。当時テレビドラマ『ダーク・エンジェル』に出演中のジェシカ・アルバがお客さんで、ベット・ミドラーの指名を受けるヘアカラーリスト、トレーシー・カニンガムや有名スタイリスト、クリス・マクミランに出会いました。

1年半後、エスティーロのマネージャーに昇進し、美容室の経営や接客を学びました。2~3年マネージャーとして働いて美容学校の授業料を貯めると、学校に通いながらスタイリストのアシスタントに。美容室で働き、夜はホステス、残りの時間が学校という毎日を続け、1年半で免許を取得しました。

その頃、クリス・マクミランがビバリーヒルズに美容室をオープンしたので、私はアシスタントとして働くことに。スタイリストの1人、アンディ・ルコンプトは、ニコール・リッチーやリンジー・ローハンと友だちで、華やかな暮らしぶりだったけれど、仕事はプロフェッショナル。私はアンディの仕事ぶりを見て、よいスタイリストを目指しました。彼からはいい人でいること、一生懸命に働き大げさな言動を取らないこと、そんなことも教わりました。アンディがマドンナの担当になったとき、アシスタントを頼まれ、2006年の『コンフェッションズ・ツアー』に同行したんです。26歳で世界旅行ができるなんて、しかもお金をもらって! 夢のような話でした。

ツアーから戻りスタイリストに昇格すると、お客さんがつき始めました。朝早くから夜遅くまで懸命に働きました。その後2008年に、アンディが自分の美容室をオープンしたので一緒に移り、現在に至ります」

"ヘアスタイリストの成功は30パーセントが才能、残りは人柄です。"

「最初のセレブのお客さんは、友人を通して知り合ったミンカ・ケリーで、アマンダ・バインズ、リンジー・ローハン、ニコール・リッチーと広がっていきました。2~3年間は美容室で1日中働き、オフの時間にセレブを担当していました。8時間働いたあとの午後4時から7時まで、レッドカーペットを歩くセレブをスタイリング、休日もほとんど仕事です。ここが成功できる人とそうでない人を分けるところでしょうね。仕事は常に引き受けて、予定があっても即座に変更。飲みに行ったりメキシコに旅行したりする友人を尻目に、必死で頑張りました。仕事は口コミで広がりますから、宣伝してくれるお客さんを断るわけにはいきません。

もう美容業界で十分な地位を築けたので、それで満足することもできますが、私はニューヨーク・ファッション・ウィークの仕事がしたいんです。ジュエリーデザイナーで、以前のお客さんのロレイン・シュワルツが、(当時ディオールのデザイナーをつとめていた)ジョン・ガリアーノを紹介してくれて、2008年から2年間、ガリアーノのニューヨーク・パリ・中国のショーでヘアスタイリストを務めました。その後はニューヨークでも仕事をしています。ロサンゼルスのお客さんが、ニューヨークのお友だちに私を推薦してくれるんです。

ニューヨーク市のサロン、リタ・ヘイザンは2年、ドバイのベルファムは3年、ロサンゼルスのアンディのところでも相変わらず。ニューヨークとロサンゼルスは2カ月おきです。美容室の仕事は辞められません。10年も前からのお客さんが大勢いて、カットを半年も待ってくれることもあるんですよ。また、美容室は私にとって、アシスタントを育てる場所でもありますね」

「5年ほど前に友人を介して、初めてキム・カーダシアンと会いました。キムは私がソフィア・ベルガラにした仕事を知っていて、マイアミでコスモポリタン(アメリカ版)の表紙を撮影するからスタイリングしてほしいと言ってきました。キムは素敵な髪の持ち主なので、わくわくしましたね。妹のクロエとも会って、ずっとジョークを言い合ってました。クロエがオーディション番組『Xファクター』の司会をすることになったときは、『すごく緊張してるの、ねえ来られない?』と嬉しいメールをもらいました。クロエの髪はここ4年間、ほぼ毎日セットしています。最初は同業者から『カーダシアン家!? 信じられない』と驚かれましたが、今は羨ましがられてます。

ヘアスタイリストの成功は30パーセントが才能、残りは人柄です。お客さんの自宅に出向き、顔を合わせて仕事するのが美容師。秘密も知っている親密な関係です。私がお客だったら、心から信頼できる人を選びますから

"私は忙しいのが好き。情熱を注いで仕事をして、人の役に立てる。ヘアスタイリストの仕事が好きなんです。"

2013年、ヘアケア情報満載のウェブサイトを作ろうと思いつき、写真やハウツー動画、使えるアドバイスやおすすめスタイリストの名簿も載っている、そんなウェブサイト<Mane Addicts>2014年にスタートさせました。女性のためのオンラインコミュニティ<Hello Giggles>のソフィア・ロッシ、ファッションサイト<Who What Wear>のヒラリー・カーとキャサリン・パワー、そしてジェシカ・アルバから話を聞き、大いに力をもらいました。それ以来、<Mane Addicts>はお客さんとスタイリストをつないでくれています。

私は生活を暮らしやすくしてくれるアプリが大好きです。お店に買い物に行く時間を省けるように、宅配サービス<Ouai Haircare>を始めることにして、製品をどう見せたいか、どんな成分を使いたいか、コンセプトは何か、細かく考えていきました。そして知り合いの中から投資者が見つかり、2016年2月に営業を開始しました」

「私の毎日は、クロエの家か撮影所で始まります。『カーダシアン家のお騒がせセレブライフ』や『Kocktails With Khloé』のために、クロエの髪をセットするんです。それから他のお客さんの家でカットしたり、イベントに行ったり、セレブの写真撮影のために撮影所に向かったり。ロサンゼルスのダウンタウンのオフィスで、ミーティングや電話をして、インタビューを受けたり製品テストをしたりもします。3カ月に1度は、1日中ずっと美容室に入ります。

私は忙しいのが好き。情熱を注いで仕事をして、人の役に立てる。ヘアスタイリストの仕事が好きなんです。結婚したので仕事をうまく調整し、子供と過ごす時間も作っていきたい。また1つ、することが増えちゃいますね」

※この記事は抄訳です

Translation: Yuko Oguma

COSMOPOLITAN US