誰しも一度は憧れるグローバルな働き方。英語ができる、あるいは留学経験があるにもかかわらず、今の仕事ではそれを活かす機会がない…。そう感じている人は、思い切って「海外の企業で働くこと」を目指すのもありかも! 今回は、バイリンガルに特化した人材紹介サービスを展開しているロバート・ウォルターズ・ジャパンのマーケティング・マネジャー柳沼 茂樹さんに海外勤務も視野に入れた、グローバル転職について話を伺った。

——初めて「海外勤務」をしてみたい!と感じたときに、有効になるステップはありますか?

いきなり海外に飛び込むのはかなりハードルが高いと思うので、まずは日本にある外資系企業に入り、数年間そこで働いて結果を出してから海外へ、という流れがよりスムーズなスタイルだと思います。日系企業で働いてきた方は特に、自分のホームである日本で外資系企業の文化に触れておくことをおすすめします。

——外資系企業で求められる人材像は? 

自分のキャリアの中で誇れる「スペシャリティ」を確立しよう

グローバルで働くためには、まず自分のスペシャリティ(専門性)をきちんと確立したほうがいいでしょう。というのも、日本では「総合職」のように、さまざまな部署を回ってオールマイティに働けることがひとつの強みになりますが、海外ではそうではなく、「エンジニア」「デザイナー」といった専門性の高いスキルを持つスペシャリスト採用が一般的だからです。そのため、キャリアの中で自分のスキルだけで売り込めるような強みをもつことが重要です。

——「スペシャリスト」としてのキャリアは、最低どのくらい必要ですか?

これは業種や職種によって異なりますが、最低2〜3年でしょう。そのくらいの経験と英語力があれば、まず外資系企業に転職するためのスタートラインに立つ条件は適うと思います。

——外資系企業で働くときに必要な英語力レベルを教えてください。

これは、企業やポジションごとにかなり異なります。中には、外資系であっても同僚はすべて日本人で、英語を使うのは本社とのやりとりくらいという企業もありますから。しかし、当然のことながら、ポジションが上にいけばいくほど、海外の方々と込み入った話をする機会も増えるため、かなり高いレベルの英語力が求められます。日常会話であれば何ら問題ないという方でも、上層部の方と話すときにあまりにフレンドリーな英語だと失礼にあたるので、マナーを踏まえたビジネス英語を身につける必要があるでしょう。

——その他に、転職で何か準備しておいたほうがいいことはありますか?

自己アピール力とコミュニケーション力を鍛えよう

よく、日本人は海外の方からアピール力が足りないと言われます。面接でも、質問をすれば答えるけれど、それ以上の自己アピールをしてくることはあまりないと。一方の外国人は、相手に聞かれる前から、これまでの自分が仕事で成し遂げてきたサクセスストーリーを、身振り手振りを交えながら語るのが得意です。外資系企業が求めているのは、そうした自分を押し出すアピール力と、人とのコミュニケーション力に長けた人材。これは選考でもかなり重視されるポイントになるので、そこを意識して磨く必要があると思います。

——日系企業と外資系企業ではかなり風土が異なると聞きますが…。

一般的によく言われるのが、外資系企業には年功序列という考え方がないため、組織内での年齢による上下関係が日系企業のように厳しくありません。仕事の評価基準も成果主義で、それを数値化する傾向があります。全体的に給与水準も高めなので、才能と意欲のある若い方には、風通しが良く、やりがいのあるフィールドだと思います。

——転職相談に初めて訪れる女性の平均年齢と、動機として多いものは?

20代後半から30代前半のバイリンガルの方が多いです。これまでの経験をもとにさらにステップアップしたい、英語が話せるのに使う機会が全くないためそれを活かせる企業へ行きたいといった、英語を活かしたキャリアアップを目指す声が目立ちます。

——20代後半から30代前半の時期には、これからのキャリアの方向性に悩む女性も多いと思います。そうした中で、初めて外資系企業に飛び込むとなると、これまでと環境もガラリと変わるので、なかなか勇気のいる決断になりそうですね。

現在の自分の市場価値を知ることが、一歩踏み出すきっかけに繋がるかも

迷っているなら、まずは現在の転職市場の動向を把握することが大事です。世の中にどんな求人が出ていて、お給料はどのくらいで、そして今の自分の英語力や市場価値がどの程度なのか…。そういうマーケットの現状がざっくりとわかるだけでも、転職への意識は変わってくるはずなので、一度、弊社をはじめとした人材紹介サービスに連絡をとってみることをおすすめします。

実は、外資系企業への転職は今がチャンス!

現在、日本での外資系企業の有効求人倍率が約1.4倍と高い数値であることからもわかるように、企業は人材を求めています。転職市場においても、英語ができる人材はとくに人気が高く、バイリンガルの方にとって、外資系企業への間口は大きく開いている時期といえるでしょう。また、20代後半から30代前半の年齢であれば、たとえスペシャリストではなくても、まだポテンシャル採用が望めるケースもあります。例えば、日々新たな技術・サービスが誕生しているIT系などは逆に経験者が少ない状況なので、若くて意欲のある方であれば、経験面で少し自信がなくてもチャレンジしやすい業界だと思います。

——今、とくに女性の需要が高い業種・職種は何でしょうか?

IT、リテール、ヘルスケア、製造業、金融をはじめ幅広い分野で求人があります。営業サポートや管理職の秘書といったアシスアント業務の募集も多い印象ですね。

——実際に外資系企業に入り、そこから次に海外勤務を目指そうとするときに必要な心得は?

海外へ行くことが目的ではなく、そこで何をやりたいのかを明確に

明確な目的意識と、計画性の高さがカギになると思います。何のために海外へ行くのか、そこでの経験はこの先のキャリアの中でどう活きてくるのか…。例えば、数年前に「MBA」の資格を取るムードが高まった時期がありました。それに乗って、数年間キャリアにブランクを空けて勉強をしたにもかかわらず、いざ取ってみたら実際に仕事で使う機会があまりないといった残念な声も。これでは、貴重な時間がもったいないですよね。海外勤務も、そこに行くことがゴールになるようでは、モチベーションが続かず、外国人だらけの厳しいビジネス環境の中で戦っていくことは難しいでしょう。そうではなく、将来的に叶えたいキャリアプランの中に、海外経験をパズルのピースのようにはめ込んでいくような感覚で、しっかりとした目標を持ち、確固たる意志のもとに行動に移していただくのが良いと思います。

——これから外資系企業への転職や、海外勤務を考えている方にメッセージをお願いします!

人生は一度きり! 好きな場所で好きな仕事を思いっきり

グローバルな環境で活躍できる人材になるには、海外のビジネス環境に順応するということも、ひとつ外せないスキルになると思います。そういう意味では、海外勤務にチャレンジされる前に、国内の外資系企業や日系グローバル企業で海外の文化や風土に触れ、下地を作っておくと、気持ち的にも安心でしょう。そうした体験を通し、やはり海外へ行かれる決意をされる方、そのまま国内の外資系企業に留まる方など、グローバルな働き方はさまざまです。いずれにしても人生は一度きり。自分の好きな仕事をバリバリやりながら、世界を股にかけて活躍する女性が増えてほしいですね。