自分の人生は、自分でしか生きられないし、どう楽しんでいけるかは、毎日の選択と気持ち次第。どんな生き方だって、自分で選んできている人は、いつだって魅力的に見えるし、自然と心惹かれるもの。コスモポリタン日本版では、人生を謳歌しているさまざまな女性の生き方を紹介していきます。


LINE株式会社 執行役員LINE企画室 室長稲垣あゆみさん(33歳)

LINEの開発プロジェクトを主導し、最年少役員に就任。次世代を担う女性として、各方面から注目が高まっている稲垣あゆみさんに直撃。今まで乗り越えてきたことは? 歩んできた人生はどんな人生? 稲垣さんのパーソナルに迫ります!

――これまでのご経歴を教えてください。

大学では、自分が本当に頑張れる道を見つけたいと思い、様々なインターンにチャレンジ。大学在学中に、業種問わず、IT、人材、PR関連企業など、計9社の学生インターンを経験しました

社会人になると、その時の感情で、自由に動くことはできないだろうと思っていたので、どんな会社があるのか、どんな働き方があるのか、社会がどんなふうに動いているのかを大学生のうちに学んでおきたいと思っていました。だからインターンは1年生の頃から始めていて、インターン先の会社の人事担当者がびっくりするぐらい、毎日インターン先の会社に通いました。とにかく興味があることにはすべてチャレンジしようという気持ちでした。

インターンの1社目は楽天だったのですが、そこでは人生初のプレゼンを経験しました。資料を作って、役員たちの前で発表して…その機会を与えてもらえたことだけでも「いい経験ができた」と思っています。

その後も、元サッカー選手の中田英寿さんのカフェを作るという期間限定のプロジェクトスタッフになったり、選挙時のPRCMの広告制作会社で働いたり…授業がある時は学校が終わってから、出勤! 長期休みの時はフルタイム勤務。「今のキャリアのベースになっているのはココ!」と限定するのは難しいんですが、9社で経験したすべてが、今の自分を作っていると感じています。

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タカハシアキラ

――大学生の頃になぜ、そんなにしっかりとしたライフプランを描いて、行動することができたのですか? 大学生だとサークルや遊びを楽しみたい、という人も多いと思いますが。

"家族との関係性が大きく影響したと思っています"

家族が個人に与える影響は大きいと思っています。私が幼い頃、実家は、子ども服屋を経営していました。働きながらの子育てや金銭的な面で、両親が苦労していたところを見て育ったので「早く自立したい」「親に楽をさせたい」という気持ちは強かったと思います。そう思う反面、「親とは違った生き方を選びたい」とも思っていました。この環境の中で自分について考えた原点は、中学受験を決めたことです。人生初の大きな決断でした。地元の中学校へ通うのと、受験をして私立の中学校へ通うのとでは、この先の人生が変わると思い、「私は今後、こんな人生を歩みたいから」と、地元の中学で十分と言う親を、一生懸命説得しました。今思い返せば、これが、人生初のプレゼンだったかもしれません(笑)。

その頃から、中学校受験、大学受験など、常に大きなゴールに向かって進んできました。その道のりには失敗もあったと思います。ただ、その出来事を失敗や挫折とは捉えず、起きてしまった出来事をどうすれば次にいかせるか、と考えていました。例え失敗をしても、「そんな時もあるよね」と肯定して、無理に解決しようとはしないという切り替えも、時には必要なのかもしれません。

――切り替えがとても難しいと思うのですが。

"切り替えとは、「視点を変える」ではなく、「力の入れ加減を変える」こと。そして、周りからの評価ではなく、自己評価を重視するという姿勢が大切です"

仕事が忙しかったら徹夜をして、無理して頑張っていた時もあります。だけど、週末になにもできなくなってしまうほど疲れてしまったら、そんな自分が嫌で、仕事を頑張って得た周りからの高評価とは反して、自己評価はどんどん下がっていきます。どんなに仕事で評価されて、周りから「すごいね」って言われても、自己採点は低かったら嬉しくないし、素直に喜べないんです。だから、仕事でもプライベートでも常に100点をキープするのではなく、「こんな自分はあり」「こんな自分はなし」と、ラフにジャッジしています。その軸となっているのは、自分を好きでいられるかどうか。どんなに仕事仲間や友達、旦那さんから褒められても、その自分を好きになれないとダメ。どんな自分が好きで、どんな自分が嫌いなのかを分かっていると、自己評価が低くなることはないと思います。

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タカハシアキラ

――執行役員に就任され、プレッシャーも責任もあると思いますが、苦しい、辛いという気持ちをどう乗り越えていますか?

"自己評価が低い時がいちばんツラい。だから、会社がすごい勢いで成長しているど真ん中で働いていても、仕事でツラいと感じることは少ないです"

「仕事だもん、ストレスに感じることもあるよね」と、ほどよく力を抜いている部分はあります。「仕事で失敗したら生きていけない」と、追い詰めるのではなく、「理不尽なことも起こるよね」と。常に、私は私なりに最善でやっているので、どうしても会社と折り合いがつかないことが起きたら、"辞めるという選択肢"を持つこともいいと思っています。

そして、もうひとつ大切なのは、自分を受け止めてくれるパートナーを見つけること。

私は、大学時代に出会った男性と24歳で結婚をして、今年で10年目を迎えますが、出会った時から、結婚しても変わらず、しっかりコミュニケーションをとっています。「オンとオフは切り替えていますか?」と聞かれることも多いですが、私的には変わっていないと思っていましたが…旦那さんと歩いているところを見かけた同僚は「仕事の時のあゆみさんとは違ってた」と言っていたので、自然と切り替わっているんだと思います。私の中では、会社の人とケンカするより、旦那さんとケンカするほうが大事件(笑)。それぐらい、パートナーの存在は大きいです。

お互い働いているので、家事は分担制…というより共同作業。洗濯と掃除は一緒にやりますし、食事は外食が多いです。一緒に食べることを重視しているので、頑張って作ったりはせず、ふたりで食事が楽しめる方法を選んでいます。

パートナーとの関係は、ふたりが納得していれば、周りになにを言われても大丈夫。だからこそ普段からいろんな話をして、ふたりが後悔しないようにすることのほうが大切です。私自身、旦那さんと仲良く過ごせているから仕事を頑張れていると思うので、働く女性にこそ、パートナーは必要だと思います。私は、旦那さんに甘えている時間が一番幸せです。

(稲垣さんから学んだ仕事をより充実させるためのヒント)

・今までの経験すべてが今の自分を作っている

・背伸びすると破たんしちゃうからいつでも自然体を心掛ける

・パートナーと仲良く過ごせてないと仕事はできない(笑)