起業してみたいという夢はあるけれど、「実現するのは大変そう…」と、尻込みしてしまう人も多いのでは?

そこでコスモポリタン フィリピン版では、ハンドメイドや伝統工芸を通じて、社会貢献につながるような事業を設立したフィリピンの女性起業家たちに注目。彼女達の仕事への使命感や、後を追う若者たちへのアドバイスなどについてインタビュー。自分らしく生き生きと働きながら、人の役に立てる仕事って素敵!

ジャニン・ミカエラ・チオン(写真左)

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Habi Footwear and Lifestyle>共同創設者

年齢:25

拠点:ケソン市

——あなたのミッションは?

Habi Footwear and Lifestyle>(以下、Habi)は、フィリピン各地の地域とパートナーシップを結んで作ってもらった、幅広いハンドメイド商品を取り扱っています。これによって社会貢献を促進し、作り手にも自身のファッションが地域に貢献しているという認識と、責任感を抱いてもらうことを目標に掲げたブランドです。

——創設の背景は?

Habiは私が大学時代に始め、卒業後さらに拡大していこうと決意して育んだプロジェクトです。大学時代からボランティア活動に関わっていたこともあり、当時から社会発展には情熱を持っていたので、Habiはそれらをすべて集結させた場所と言えます。

——仕事でもっともやりがいを感じることは?

これまで様々なコミュニティと共に築き上げてきた絆と、彼らが自身の才能や情熱を発揮できる有意義なプラットフォームを提供できていることが、シンプルだけど大きな喜びですね。Habiの商品を通して、パワフルで美しい物語を伝えていくことができているように感じます。

——夢を抱く若き起業家へアドバイスをするとしたら?

とにかく何か始めてみること。気になることを見つけたら、それについて何とかしようとトライしてみて。夢を頭の中だけに留めておくなんてもったいない!

エリカ・ヴァレリー・ン・ウォン

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自国の材料を使った乳製品を提供する<Karabella Diary>仕掛人

年齢:27

拠点:ブラカン州、アンガット

——あなたのミッションは?

メスの水牛という意味の単語"Carabella"からとった"(事業名の)Karabella"は、フィリピンの<Gawad Kalinga (GK) Enchanted Farm>という農場と提携する社会事業で、新鮮で、健康的で、栄養価の高い本物の材料を使った牛乳やアイスクリーム、ミルクシェイクなどの乳製品を提供しています。新鮮な100%の牛乳と、他の起業家や地元農家が取り扱っている自然食材を調合して作る様々な商品から生まれる収入で、彼らの自給自足をサポートしています。

——創設の背景は?

私はそれまで勤めていた高給の大企業を辞め、<GK Enchanted Farm>と協力して自身の社会事業を立ち上げました。フィリピン育ちの私は、昔から輸入品の方が自国生産のものより勝っていると思っていました。でも大人になるにつれ、国の役に立つ働き方をしたいと強く感じるようになり、起業家としての道を進むことにしました。今こそ私たちフィリピン人は、自分たちこそが自国の誇れる最高の財産であることを知り、"メイド・イン・フィリピン"だって"メイド・イン・USA"のものと同等、あるいはそれに勝ることができると信じるべきなんです。

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——仕事でもっともやりがいを感じることは?

パートナーシップを結んでいる地域の人々が、この事業を通じて新しいスキルを習得したり、自信を持てるようになったり、イベントで大好きな職人に会ったり、自宅を2階建てに改築したり…そうやって彼らの生活が豊かになっていくのを見られることです。

——夢を抱く若き起業家へアドバイスをするとしたら?

自分のことをもっとよく知り、大切にしたい価値観について考えるといいでしょう。まだ誰も成し遂げたことのない事に挑戦するのを恐れないでください。堂々と声を上げて、日々の学びを積み重ねていくこと。そして最後に、大きな夢を抱き、それを実現させること!

リース・フェルナンデス・ルイス

Rags2Riches, Inc.><Artisan Academy>、及び<Things That Matter>社長/共同創設者

年齢:32

拠点:マニラ

——あなたのミッションは?

Rag2Riches, Inc.>は、地域のフィリピン人職人に活躍の場を与えるファッション&デザインハウスです。地域の職人さんたちとパートナーシップを組み、原材料の発注から戦略設計、コーポレート・ガバナンスに至るまで、生産工程におけるあらゆる分野に携わってもらえるようにしています。貧困から脱却するためには、ただ単に市場へのアクセスを可能にするだけでなく、思考やマインドから変えていくこと、また、人生の質を上げるようなツールやサービスへの持続可能なアクセスを提供していくことだと、私たちは考えています。従って、他にも<Rags2Riches, Inc.>のための能力強化トレーニング施設である<Artisan Academy>の設立も実現しました。また近々、人々にポジティブな影響を与え、目標を持ったライフスタイルの構築を促す<Things That Matter>という新しいマーケット&メディアプラットフォームをローンチする予定です。

——創設の背景は?

大学4年の頃、後に共同創設者となる友人と共に、パヤタス地区の職人たちが市場へのアクセスや情報、物資の不足により、不公平な商業サイクルに陥っていることを知り、それがきっかけでこの事業を始めました。でもやはり最大の原動力となっているのは、自分を次々と新しい機会へと導いてくれる"YES"の姿勢ですね。私は以前から社会問題に興味を持っていたため、当時からいつだって、人の役に立つ社会活動や支援運動には"YES"と答えてきました。今があるのは、その積み重ねのおかげかもしれません。

——仕事でもっともやりがいを感じることは?

地域の職人さんたちのためになる機会を整え、彼らが各々の家族を養い生活を向上させていけるようサポートするという自分たちのミッション達成に向けて、たとえその一歩が小さくても大きくても、成功へと前進できたときですね。

——夢を抱く若き起業家へアドバイスをするとしたら?

多くの人が、社会問題の大きさや、自国や家族のためにしなければならない果てしないタスクに圧倒されて、今この場所で始められる小さなことを見落としてしまいがちです。でも、自分が今いるところから何か始めればいいんです!

ヤナ・サンティアゴ

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Olivia & Diego>起業家

年齢:26

拠点:ダバオ市

——あなたのミッションは?

Olivia & Diego>は地域に住む在宅のママさんたちと共同で、再生品を使ったロープジュエリー製作をしている社会事業です。私たちのミッションは、女性に新たな希望を見出せるような体験をしてもらうことによって、より多くの女性を励まし、パワーを与えていけるようなジュエリーブランドになることです。

——創設の背景は?

大学で社会起業家の活動を耳にしてから、強く興味を持つようになりました。強制的に売春婦としての生活を強いられている女性を援助する、<Talikala>というダバオ市を拠点にしているNGO団体を通して、様々な人たちに出会いました。彼らの活動を知り、私も少しでも彼らとその家族の助けになれたらと思うようになり、その活動に携わるようになったのがきっかけです。

[facebook ]https://www.facebook.com/OliviaandDiego/photos/a.715912901759961.1073741842.630871293597456/1858980570786516/?type=3&theater[/facebook]

——仕事でもっともやりがいを感じることは?

職人さんたちと一緒に成長していけることです。彼女たちとは、まだ彼女たちが編み物のスキルを習得し始めたばかりの頃や、経済的にギリギリな生活をしていた頃からの付き合いです。でもそこから今に至るまでの月日を共にし、彼女たちが自分の仕事と作る商品を誇りに思えるようになった姿を見られることは、本当に嬉しいです。

——夢を抱く若き起業家へアドバイスをするとしたら?

"偉業は一夜にして成らず"。多くの場合私たちは、社会に貢献したいと思っても、その莫大な労力を想像するとつい萎縮してしまいます。そんなこと本当にできるのか…という恐れにとらわれて、簡単に諦めてしまいます。でもそんな時は、ビジョンの達成に向けて、歩めそうな小さなステップを想像してみてください。日々学び続けていくことに決して終わりはなく、気づいたら大きな目標へと到達していることでしょう。

アーニャ・リム(写真右)

ANTHILL Fabric Gallery>経営者兼クリエイティブディレクター

年齢:33

拠点:セブ市

——あなたのミッションは?

ANTHILL Fabric Gallery(「アリの塔」布ギャラリー)>はゴミを出さずに作られた、現代風のデザインをあしらったフィリピン製手織り布を保存し継承する、社会的かつ文化的事業です。若手の織り手さんや着用者へのプロモーションを目的とし、パートナーシップを結ぶ地域の織り手さんたちへの持続可能な生活支援を行っています。

——創設の背景は?

私と母は、織物がもはやお年寄りの間でしか知られていない、失われつつある伝統になっていることに気づきました。私は、何年も国際非営利団体の資金集めに携わっていた経験から、そういった地域のプログラムやプロジェクトは、未だ概ね支援金頼りになっている現実を目の当たりにしてきました。でも、それでは本人たちの間で、問題に対して『自ら改善策を見つけていかなければ』という当事者意識が芽生えにくく、かつ持続可能な生活の構築も困難なのです。フィリピンの先住民族文化に大変興味を持ち、その保存に務める仕事をしたいという夢を持った私は、織物業界でのビジネス経験を持つ母と共に、ANTHILL>を始めました。

——仕事でもっともやりがいを感じることは?

自分たちのビジョンがゆっくりと実現に向かっていくのを見られることです。それもすべて、現地の織り手さんの作品を気に入ってくれているフィリピンの若者たちが増えているおかげです。

——夢を抱く若き起業家へアドバイスをするとしたら?

自分が身を置く環境内にいる人々の、痛みや苦しみに寄り添うことが大切です。周囲で起きていることに、胸が痛むことはありませんか? もし何か見つけたら、今度は自分なりの方法で改善策を提供できるプラットフォームを探してみてください(もちろん、自分で作るのもOK)。小さなステップから始めて、そこから生まれる少しの変化を喜んでください。そして、その活動を継続させていってください。

この翻訳は、抄訳です。

Translation: 名和友梨香

COSMOPOLITAN PH