コートニー・ダッシャーさんが動物愛護団体主催のイベントで、チワワとダックスフントのミックスである愛犬"ツナ"と出会った当時は、まだインテリアデザイナーとしてロサンゼルスで働いていたそう。2011年から、ツナの写真をインスタグラムに投稿するようになり、そのフォロワー数は現在180万人にまで増加。

今やフルタイムでツナのSNSマネージメントを務め、2015年には著書『Tuna Melts My Heart: The Underdog With the Overbite(ツナにメロメロ:大きな前歯の小さな犬/原題)』を書き下ろし、動物愛護の啓発活動の一環としてアメリカ中をツアーして回ったというコートニーさん。そんな彼女が、1匹の犬との出会いで人生が変わり、瞬く間にインターネット上で有名になった経緯について、そしてそこにある思いを、コスモポリタン アメリカ版に語ってくれました。

その時、彼に『君にお母さんになって欲しいんだ』と言われているような気がしました。
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「ロサンゼルスのファーマーズ・マーケットでツナに初めて出会いました。そこでは毎週日曜日に私営の動物愛護団体が、犬の里親探しをしていました。以前友達から犬の"一時預かり"(完全に里親として責任を持つわけではなく、しばらく犬を預かって育てるボランティア )についての話は聞いていたので、私は詳しいことを聞きに行きました。そこにいた女性に『気に入った子がいたら、その子を1週間連れ帰っていいのよ』と言われました。

ツナは当時生後4カ月の子犬でした。とてもシャイで不安そうで、寂しがり屋なあるアニメのキャラクターを彷彿とさせ、一瞬にして私は彼にメロメロになっていました」

「ちょうど新しいアパートに引っ越したばかりで、しばらくの間ルームメイトとして犬を預かるのもいいかな、と思いました。当時私はウェストハリウッドのパシフィックデザインセンターのショールームで働いており、またインテリアデザイナーとして自身のビジネスも構えていたので、あまり家にはいられなかったんです。だから、里親になるのはあまり現実的ではないと思っていました。でも、ツナを返す日の前夜…彼は私の肩の上で寝てしまい、翌朝目を覚ますと、その時もまったく同じ場所に横たわっていました。その時、彼に『君にお母さんになって欲しいんだ』と言われているような気がしました」

「それから、ツナの写真を撮るのにハマっていったんです。本当にひょうきんで可愛いんですよ。2011年にインスタグラムについて親友に教えてもらった頃には、ツナの写真が1年分溜まっている状態でした。まだ自分のSNSアカウントは何も持っていなかったのですが、ツナの写真を投稿するのは面白そうだな、と思い立ちました。

11枚写真を投稿すると決めてインスタグラムを始めてからすぐに、まったく知らない人たちから『ツナから元気をもらった』とコメントをいただくようになりました。正直みんなどうやって彼のページに辿り着いたのか謎でした。当時はまだハッシュタグとかも主流じゃなかったし、私もまともなハッシュタグは付けていませんでしたし…。純粋に口コミで広がったんだと今でも思っています」

1年後、インスタグラムがツナの写真3枚をフィーチャーしてくれました。その夜わずか30分で、8,500人のフォロワーが16,000人に倍増し、翌朝の8時には32,000人にまで到達していました。

2013年にはツナブランドを立ち上げ、スプレッドシャツという会社と提携し、T-シャツ、マグカップ、iPhoneケースなどのグッズを販売し始めました。その後カレンダーやトートバッグなども展開し、気づいたらそれらの物販だけで毎月数千ドル稼げるようになっていました。

マネージメントを手伝ってくれていた友人のカーラにある時、『いつか今の仕事も辞めて、これをフルタイムでするようになるわよ』と言われました。『そんなことないわよ』とその時は答えました。インテリアデザイナーとしての仕事が大好きでしたし、新しい分野への転職は正直考えていませんでしたから」

「でもある時、"ツナツアー"(動物愛護の啓発活動として、アメリカ南東部の8都市を回るもの)の機会が舞い込んできて、私は仕事を1カ月休んでそのツアーに行くことに決めました。出発直前に上司に『君が職場復帰しないことに決めても、僕は応援しているよ』と言われ、私が遊び以上の気持ちで挑んでいることを、彼は察してくれていたんだと気づきました。そして、ツアーが始まってから数日、私はツナとの仕事にフルタイムで従事することを決意しました。

貯金はありましたが、はじめは生活が保証されているわけではなかったし、物販だけでは収入が足りませんでした。でも、インテリアデザイナーの仕事を辞めて数カ月した頃、本を出さないかと大手出版社からオファーをいただいたんです。その本の題名は『Tuna Melts My Heart: The Underdog With the Overbite』で、ツナの可愛い写真と楽しいエピソードがたくさん詰まっています。本書の出版による収入でその年は経済的に満たされました。その後イギリス、チェコ、スロバキア、ロシアでもツナの本は出版されました」

「ツナブランドの物販で上がった売上げの一部は、動物愛護団体に寄付しています。今後は他にも小規模な動物救助活動をしている団体に寄付したいと思っています。彼らはその規模の小ささゆえに、寄付を募れるようなプラットフォームを確立できていないと思いますから。

また、スポンサー投稿の依頼もたくさん来ます。でも、実はそのうち9割は断っているんです。大金に背を向けるのは苦しいときもありますが、ツナブランドに合ったものしか受けないようにしています。例えば、もしチョコレート会社が広告塔にツナを使いたいとオファーをくれたとしても、きっと断ります。なぜなら、まず犬はチョコレートが食べられないし、それにツナが象徴しているものや、ツナ自身とチョコレートにはなんら関わりがないからです。ツナのアカウントを立ち上げたのは、ただただ喜びや励ましを人々に届けるためだったんです。

この事業の成長を見て、私自身も正直とても驚いています。ツナのタトゥーをしているファンがいたり、ある時脳ガンを患った女の子から『ツナの写真を見て、放射線治療に耐える勇気をもらった』と連絡をもらったりもしました。また、最近写真撮影会を開いたんですが、そこに来ていた女性がツナと写真を撮り終わると、もう一度列に並び直したんです。『写真の出来、良くなかったですか?』と尋ねると、『いいえ、でもせっかく4時間も車を走らせてここまで来ましたからね!』と言っていました。ツナに会うためにわざわざ4時間もかけて来てくれるという事実だけで、私はもう感無量です。ツナは不思議とファン対応が上手なんですよ。いつも落ち着いていて、我慢強いし、何百人もの人に順番に抱っこされても、全然嫌がったりしません」

「有名犬になったからといって、昔と変わらず今もツナを特別扱いはしていません。最近ダコタ・ファニングの記事を読んだんですけど、彼女がいかに"普通の女の子"であるかを強調したプロフィール文でした。5歳の頃から超大作の映画にバンバン出演していても、彼女はいつも地に足を着けていた。ツナも同様なんだと思います。特別高級なエサを与えたり、やたらおしゃれさせたりはしていません。まぁ、でも1つ変化したことがあるとすれば、ちょっと調子がおかしい時はすぐに獣医に連れて行くようにはなりましたね。彼に何かあったら、私だけでなく世界中の人々が悲しみますから。

いつかはインテリアデザインの仕事に戻りたいと思っています。自分の中で、その人生のステージはまだ終わっていない気がするので。でもとにかく今は、ツナに専念したいです。私は決してお金や名誉に駆り立てられているのではなく、ツナが私に運んでくれる幸せを、他の人たちにも届けたいだけなんです。明日すべてが終わってしまったとしても、それならそれでいい。だってツナは永遠に私の愛犬であり、最高の同志ですから」

この翻訳は、抄訳です。

Translation: 名和友梨香

COSMOPOLITAN US