「定職」よりも「人生の質」をもとめ、ノマド、テレワークなど働き方のチョイスが増えた昨今。旅をしながら働くことができる仕事も、幅広く存在しているよう。そこで、さまざまな仕事を通して旅をしている3人の女性にインタビュー。世界一周しながらキャリアを築くなんて夢のよう!と、思いがちだけど、決意さえあれば意外と簡単にできちゃうのかも…!

ノマド、WEBデザイナー コリンの場合

「世界一周」しながら働く女性3人の体験談
left down/ Lavinia Pollak

25歳で、「ノマドになる!」と決めたスイス人のコリン。現在はWebデザイナーなどパソコンさえあればできる仕事をし、ブログ「Vie Nomade」で綴っているノマドな生き方が、フランスで話題を呼んでいます。そんな彼女の働き方に迫ってみました。

Q.ワークスタイルを教えてください。

A. 1年間で約10カ国、滞在地を変えながら暮らすように旅をしています。今まで、アジア、ヨーロッパ、北アメリカなどの42カ国で、パソコンを持って仕事をしにいきました。特に気に入ってる国は、タイ、台湾、香港、アメリカ、カナダ、スペイン。ビーチでは砂浜で仕事をしたり、都会ではトレンディなレストランで記事を書いたり、いろんなスタイルで仕事をしています。とは言っても、フリーランスのお給料だけでは生活が厳しいときもあり、観光案内所の宣伝の仕事も定期的にしています。

Q.25歳の頃に、ノマドのような生き方を選択されたそうですね。その経緯は?

A.大学生の頃から、「会社では働きたくない」と感じていました。卒業後はすぐにフリーランスのWEBデザイナーとして働いたものの、毎日同じ場所での生活を窮屈に感じはじめていて…。世界中の文化を知りたいという知識欲や探究心を満たす生き方をしよう、と確信しました。その後、スリランカ行きの片道航空券を購入し、ウェブデザイナーの仕事とブログを続けながら、旅をはじめました。

Q.旅を通じて学んだことを教えてください。

A.仕事では、どんなところでも焦らずに臨機応変に取り組むことができるようになったこと。騒がしいカフェ、WIFIの接続の悪い場所、頻繁に停電するところなどでも、その時々の状況に合わせて仕事をします。また、いろんな国の言語を覚えられたことも大きな財産。海外のクライアントと、その国の言葉で談笑ができるようにもなりました。

Q.ノマド的生き方の醍醐味とは?

A.旅を通して、心が通じる人たちとのステキな出会いです。帰国などで離れ離れになっても、ソーシャルメディアを通して連絡を取ると、いつでも心から繋がっている、と感じます。また、私にとって世界は遊び場のよう。文章を書くことや写真を撮ることが好きなのですが、その趣味を世界各地で実践しています。街中を歩いて、考えを巡らせ、いろいろな創作活動をしています!

Q.コリンさんのように旅に出る勇気を持つには、どうすればいいですか?

A. 旅は私の人生で大切な要素だったので、迷わずこの道に飛び込みました。もし旅が好きならば、世界のどこからでもできる仕事に役立つスキルを身につけてみてください。旅を通して新しいことをたくさん吸収することで、本当の自分自身や、自分の道が見つかることが多いと思います。また、情熱に従って行動すると、きっと同じ道を歩もうとする人たちとの出会いがあるはずです!

自営業 ソニアの場合

「世界一周」しながら働く女性3人の体験談

ウェルネス業界で17年間働き、パリ、北京、上海、モルディブ、トルコ、香港、アラブ首長国連邦などの都市を移動しながら、キャリアを積み上げてきたフランス人のソニアさん。その鍵は<Linkedin>にあり !?

Q.以前から旅をしながら仕事をしたいと思われていたのですか?

A. 学生時代から、世界中を移動しながら仕事をしたいと思っていました。美容に関心が強かったので、学校で美容のスキルや知識を学んで、海外就職するつもりでした。だけど、英語をまだまだスキルアップしないといけないことに気付き…。アメリカに留学した後、フランスのヘアサロンの北京支店で働く機会を得たんです。そこから、ホテルのスパの管理職に転職し、その後は約2年ごとに国を変えながらキャリアを積んでいます。

Q.多くの国で働かれていますが、その機会はどのようにして得られたのですか?

A. Linkedin>です! 基本、「同じ場所で学ぶことがないと思ったときが、去るとき」と考えているのですが、国を変えていろいろな発見をし続けたいんです! だから、<Linkedin>のプロフィールはきちんと編集し、<Linkedin>で出会ったリクルート・エージェンシーに「どのような内容の仕事で、どこの国で働きたいか」ということを明確に伝えて、企業との電話やスカイプ面接につなげてもらいます。今までのほとんどの勤務先は、この方法がきっかけで働くことになりました。

Q.今までで1番印象深かった滞在先はどこですか?

A.モルディブです。小さな無人島のような島で、新しいスパをゼロからつくるプロジェクトを取り仕切ることになったのですが…いざ到着すると、島にいる女性は私1人、私以外の住民は数百人のスパの建設作業員たちという状況!(笑) 電気も水も頻繫に止まり、本島へもボートで1時間ほどという距離。そんななかで、スパの建築からインテリアデザインまで、いろいろと担当しました。ほんとうに"何もないところで、仕事に集中"した1年でした。

Q.海外で住むなかで大変なことは?

A.「自分の身は自分で守らないといけないこと」です。トルコに移住して間もないときのこと。激しい腰痛がおこったのですが、英語が通じないので救急車も呼べず…。やっとの思いで病院にたどり着いても意思疎通ができずにいましたが、激痛のなかでも自分の力で対処してくれる医師を探し回り、結局は親切なドクターと出会い、回復しました。海外生活では困難があるからこそさらに強くなり、「何でも乗り越えられる!」という自信が生まれるのかも !?と感じた出来事でした。

Q.次の移住先はどこか計画されていますか?

A. 今はドバイに住んでいるのですが、夏は50℃近くまで気温が上がります。そんなときに外出ができないのがツラいので、1年のうち冬にドバイに住み、その他は香港やタイなどの国に住むのもいいなと思っているところです。

客室乗務員、ブロガー チ・ヨンの場合

「世界一周」しながら働く女性3人の体験談
©2016 The Classy Claud

ドイツを拠点にキャビンクルーとして働く韓国人のチ・ヨンさん。旅での発見や、大好きなファッションのことなどを、世界中の旅先から執筆するおしゃれなブログもドイツで人気のよう。

Q.どんなスケジュールで働かれていますか。

A.遠い目的地へ行くフライトは、だいたい月に4回あり、自分で行き先をリクエストすることもできます。私がいつも選ぶのは、インド、アメリカ、南アフリカなど。その他の日は、ヨーロッパなどの各都市に飛んでいます。1日で複数の都市を飛び回ることもありますね。

Q.仕事で訪れる国で、お気に入りの過ごし方は?

A. 南アフリカの都市ケープタウンは、人がみんなイキイキとしていて、お気に入りの街です。それに、豊かな自然の中にあるワイナリーで頂くワインは最高なんです。また、上海では眺めのいいホテルのラウンジでランチを食べたり、行きつけのテイラーにカシミヤの新しいコートをオーダーメイドで頼むなど、ショッピングも楽しみます。あとは、11月に訪れたロサンゼルスでは感謝祭を体験し、12月はNYでクリスマスを過ごしました。また、各国の目的地で、その国の朝ごはんを食べ、街を散策するのも大好きです。

Q. そんなにも世界を飛び回る中で、チ・ヨンさんが学んだこととは?

A.日常のどんな瞬間にも、幸せを見出すことです。アフリカの大自然で見る夕日など、世界中で訪れた国で得た、美しいインスピレーションは私の宝物。これらが、日々のモチベーションになっています。接客業なので大変なこともありますが、客室乗務員として世界中を飛んで学んだことはとっても大きな財産です。

Q.もし、移住するとしたらどの国を選びますか?

A.アメリカのロサンゼルスですね。ビーチや砂浜、椰子の木など幸せを感じさせてくれる要素で溢れているので!