キャリアアップや就職先のひとつに「海外で働くこと」を視野に入れていても、「どこから始めれば良いか分からないから夢のまた夢…」と半ば諦めムードに陥ってしまう人も少なくないはず。

そこでコスモポリタンでは、グローバルキャリアを憧れで終わらせないために、9月の特集テーマ「グローバル」に合わせて、実際に海外でキャリアを積んでいくことを選んだ女性たちにインタビュー。現在の働き方やそこに到達するまでの経緯、海外で働くことのメリットなどを語ってもらいました。彼女たちのリアルな体験記が、一歩踏み出すキッカケになることを祈って…!

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小池梨加

2004年にニューヨークへ渡米。翌年からスタイリストのアシスタントを開始。2007年には日本へ帰国し、スタイリスト事務所に所属するも2010年に独立。フリーのスタイリストとして、雑誌や広告、カタログの制作に携わる。その後、2015年の秋にベルリンへ移住。現在は日本とベルリンという2つの国を拠点に、ファッションスタイリストとして活動中。

―そもそも、スタイリストになろうと思ったキッカケは?

「最初はバイヤーになるために海外渡航を決めたけど…」

学生の頃にしていたアパレルショップでのアルバイトを通して、バイヤーという職業に憧れるようになりました。ある日、当時働いていた店の店長さんに「バイヤーっていう仕事は英語も話せなきゃいけないし、何よりコネクションが大事。本当にバイヤーになりたいなら、海外でキャリアを積んでからの方が良いよ」というアドバイスをいただいて。その言葉に刺激を受けて、海外に行くことを決めたんです。

そして23歳の時、一念発起してファッションの都、ニューヨークへ! まずはファッションの専門学校に通ったんですが、ひょんなことから「アシスタントとして働いてみない?」と声をかけていただいて。それがすべての始まりでした。

―海外渡航するにあたって、苦労したことは?

「現地でアーティストビザをとらなきゃいけなかった!」

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ニューヨークへの渡航前に少しでも英語が話せるようになっておきたかったので、日本で語学学校に通ったくらいですかね。

一方でベルリンへは、学生としての渡航ではなかったので事前準備が大変でした。海外で働く上で、必ずぶつかるのがビザ取得の壁。現地の人たちの仕事を奪い取らずに、自分でどうやって仕事を生み出せるのかを証明しなくてはならないんです。ところがビジネスプランを説明できれば良いってものでなく、月の収入証明書や他人からの推薦状(しかも最低5枚から)、最終学歴証明書、働かずとも1年は住めるくらいの預貯金があるかの残高証明などを準備しなくてはならず、ビザの事前準備にかける労力は相当なものでした。

しかもスタイリストに適用される"アーティストビザ"は、現地に行かないと取得できないシステム。日本にいる時にドイツ大使館に電話したり、いざ現地の外国人局へ赴くと英語が通じない! なんてこともありました。

ファッション業界で、特に若い人たちと働くとなると英語力が問われますが、ベルリンに住むにあたってはドイツ語が話せると良いかもしれません。

―ベルリンで働く魅力とは?

「様々な価値観を共有しながらひとつの作品を作り上げられる」

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旅行が趣味な私。これまでに様々な国を訪れたことで、ベルリンの魅力が際立ちました。ベルリンでの時間の流れ方や、人々のファッションに対する自由さが大好き。そんな街で、様々な国の人々と異なる価値観を共有して、ひとつの作品を作り上げるという楽しさに病みつきです。日本に留まっていては出合えなかっただろうアイデアや工夫などもあります。

―今後の展望は?

「人が喜んでくれるような仕事で、世界を飛び回りたい」

どこの国で生きていくかというのは特に決めてないんです。今日はパリ、明日はニューヨークといった具合に、世界中を飛び回るのが理想ですね。私が現場に立つと、人が喜んでくれたり「素敵だな」って言ってもらえるような仕事をしていたいです。

―海外で働く上でのアドバイスを。

「努力は必ず自分に返ってくることを忘れないで」

新しい道を選ぶ時、誰にもその先がどうなるかなんて分からないことです。「ひとりで暮らしていけるかな」なんて思い悩むこともあると思いますが、努力したことは絶対に将来に返ってきますし、自分の自信にもつながることを忘れないで。

私のポリシーは、絶対に後悔しないよう生きること。「あの時、あれをやっておけば…」なんて後から思ってももう遅いので、あなたの今の夢が少しでも実現の可能性があるのであれば、あとは飛び込む勇気と努力があればきっと叶えられますよ。