雑誌83カ国、オンラインサイト49カ国で展開する、女性メディアのグローバルブランド、コスモポリタン。他の国のコスモは、どんな女性たちが作っているの? 彼女たちの仕事にかける思いとは?

コスモポリタン アメリカ版が、各国の編集長を直撃しました!

【コスモポリタン オーストラリア版 編集長:ブロンウィン・マッカホン】

人生の約半分をコスモポリタン オーストラリア版に捧げているブロンウィン・マッカホン(36歳)いわく、「コスモは私にとって全てですね」。当時の編集長だったミア・フリードマンをテレビで見たのがきっかけで、雑誌社での仕事を志してシドニーへ引っ越し…その夢を実現。大きな発展を遂げてきたコスモを統括すること、また、そこで働くことを夢見る女性たちへのキャリアアドバイスを語っています。

――コスモに在籍してきた年月の中で、一番ためになったキャリアアドバイスは何でしたか?

時と場合に応じて、役に立ったアドバイスは色々あります。でも初めてコスモで働き始めた頃に、「トップに立つために急ぎ過ぎないこと。むしろその過程において、1つ1つの仕事を学んで力を身につけることの素晴らしさを体験しながら前進していって欲しい。そうすれば、いつかトップに辿り着いたときに、この仕事の全てを理解し、共に働いてくれる人たちに対して感謝できるようになるはずだから」と(ミア・フリードマンに)言われたのを覚えています。その言葉はずっと私の胸の奥に刻まれて、「私はビューティー・エディターなんだ。だから、何がなんでも周りにきちんと認められる最高のビューティー・エディターになってみせる」と自分で決断するきっかけになりました。

時が経ち、自分が母親になった頃は、「全て完璧にこなせなくてもいいんだ」というアドバイスにも、何度も救われました。今は子どもを3人育てながら仕事をフルタイムでしていますが、常に"何にも100点満点レベルでできていないんじゃないか…"という罪悪感に襲われてしまいます。でも、師とあおぐ先輩や同じ道を通ってきた同僚たちに、「無理しないで、自分のベストを尽くしていればいいんだよ」と言ってもらいました。

また、あるときニューヨークでアメリカ版の元編集長ヘレン・ガーリー・ブラウンと会っていたときに、彼女にこう言われたんです。「自分のやっていることを好きにならなきゃダメ。そうすれば、仕事ではなく、情熱になるから」。その瞬間、私はこの言葉を一生忘れないだろうと思いました。

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――読者層について教えてください。

主に18歳~36歳の女性たちをターゲットにしてきましたが、年月が経つにつれて、年齢層はかなり変化してきています。はじめは20代前半~半ばが多かったんですけど、その頃はまだ今みたいにブログやSNSなどが盛況ではありませんでした。結果的に、読者の年齢層はだんだん高くなっていきました。現在、雑誌の読者は20代後半~30代前半の女性が多く、オンラインの方はその上の年齢層によく見てもらっているようです。これって珍しいことなんですよ。

――読者に人気のセレブは誰ですか?

カーダシアン姉妹には本当に助けられましたね。ミランダ・カーにも。オーストラリアでは現在"起業家精神"が盛り上がりを見せていて、10代後半~20代前半、また30代前半の女性たちの多くが起業し始めているので、例えばジェシカ・アルバやカーダシアン姉妹など、そういった"先駆者"的側面を持つセレブに惹かれる傾向があるようです。ジェニファー・ローレンスやテイラー・スイフトも女性の力強さの代名詞のようなセレブで、まだまだ女性からの人気が高いです。

――最近話題のニュースに、同性婚をオーストラリアで合法にするか否かというものがあると思うんですが。それに対する読者の見解はどうですか?

私たちは同性婚には賛成です。ミレニアル世代のオーストラリア人の多くが結婚における平等を求めていて、それが私たちコスモから発信するメッセージにもなっています。私たちが取り上げることによって二極化を招いているとは思いません。定期的に取り上げているトピックですし、コスモ アメリカ版のようにレズビアン・セックスや、結婚の権利などの話題もよく記事にしています。私たちは全ての人が平等に結婚の権利が与えられるべきだと考えています。

――メディア界の一員として、同性婚の合法化のために行動を起こさなければという使命感を感じたりしますか?

もちろん。肩書やフォロワーを持つ人が声を挙げていくことは、例えその規模が大きくても小さくても、大事なことだと思います。同性婚の合法化のために立ち上がる機会があるならば私は協力するつもりですし、もし私のコスモ編集長という肩書きがそのための影響力を持つのであれば、それは嬉しいことですね。

――読者にはフェミニストが多いと感じますか?

はい。一時は"フェミニズム"と言えば、声高に男性嫌いを主張する女性といったイメージがあり、社会全体がネガティブな言葉として毛嫌いするような風潮がありました。でもフェミニズムは本来そういうことじゃないんです! ここ最近になってようやく「現代のフェミニストというのは平等を主張する者。平等に稼ぎ、例えば子どもを生むか堕ろすかなど、自ら選択し決断できる権利を持つこと」というふうに、選択の自由や平等の記しであることを周囲が分かってきてくれたように感じます。今でもはっきり覚えていますが、ほんの1年半ほど前までは、ネガティブな反応を引き起こさないように"フェミニズム"とか"フェミニスト"という言葉を使うのをやめようかと話し合っていたくらいでした。

――オーストラリアにおける男女不平等問題で、現在もっとも取り沙汰されているのはどんなことですか?

給与格差ですね。今現在は17.9%の差があります。制度や法律を通して性差別を見直していこうとしている中、未だに男女の給与格差は存在し、むしろますます広がるばかりです。オーストラリアに住む女性は、職場環境の46%、そして大学卒業生の60%を占めているにも関わらず、週の平均給与が男性と比べて284.20ドル(約22,000円)安いんです! 年間にして換算すると、約15,000ドル(約119万円)! ひどいですよね…。昨年末にはコスモで給与平等キャンペーンを実施し、政府に対して男女間における給与格差の報告を義務化するよう訴えたんです。セレブや影響力のある人物にもキャンペーンに協力してもらい、読者には国内の企業内給与格差の情報公開を求める嘆願書にサインしてもらえるよう呼びかけました。数千人の著名を集め、コスモの嘆願書は国会で検討してもらえることになりました。今はその結果を待っているところです。

――読者の女性たちからは、どういったセックス関連の記事が多く求められていますか?

いろいろありますね。「このポーズじゃダメだったから、他にオススメの体位はある?」といった物理的なことに関する質問もあれば、「最近彼氏があまりしたがらないのはどうしてだと思う? 浮気してるのかな…」といった、より感情的なことに関する質問も多いです。

オーストラリア版ではこの40年間で、コスモのエディターはまだ45人しかいませんが、新しいエディターはみんな、セックスコンテンツに対する自分なりの見解を持って入ってきます。きっとみんなはじめは「今どきの女性はまだセックスについて知りたいのか?」と自問自答し、コンテンツを減らしたり全体的にカットしたり、雑誌の後ろの方に載せたり、表紙の見出しから外したりと実験したわけです。すると、売上げが下がる。結果「なるほど、やっぱりセックスは必要なんだ」と。だから私たちのアプローチとしては、セックスに関しては全体的に網羅するようにしていますね。

――雑誌とウェブ版の関係はどんな感じですか?

一緒に取り組んでいますよ。デジタルチームは私のオフィスの外にデスクを設けて、有能なデジタルマネージャーのエミリーがそっちを仕切ってくれています。でも雑誌チームがデジタルチームに貢献するという点からも、私たちは全体で1つのチームのようなものです。定例ミーティングではみんなで表紙のモデルを決めるし、「この記事は雑誌ではこう、オンラインではこう、SNSではこうやって扱っていこう」という話し合いをしたりします。

――読者が今もっとも注目しているSNSは何ですか?

基本的にはFacebookとインスタグラムですね。スナップチャットも伸びてきてはいますが、まだみんな実験段階といった感じで、とにかくFacebookとインスタグラムが中心です。

――(オーストラリアは自然にあふれた国ですが)オーストラリアの読者も、アメリカの読者のように、「すべてを置いて遠くへ旅に出たい」と思うようなことはあるんでしょうか?

そう思うのはアメリカ人だけではないと思いますよ! オーストラリアは多くの人々にとってパラダイスと考えられているようで、それは私たちの人格的な面からも来ているのかもしれません。オーストラリア人はとてものんびりしていて、穏やかで、海で遊んだり、広い庭でゆっくりしたりしていると思われがちですから。もちろん実際にそういった面もありますけど…オーストラリアでの生活を想像するとき、ニューヨークの忙しさと比べたら落ち着いているように感じるんでしょうね。でも、読者の中には「LAとかNYとかパリとかロンドンに住んでみたい!」と言う人はいます。何しろ遥か遠くの国々ですから。

オーストラリアは素晴らしいところですけど、よく誤解もされます。「え? 庭にコアラとかいないの?」とか「ペットはカンガルーじゃないの?」とか、がっかりした表情を浮かべながら言われちゃうこともありますね。

この翻訳は、抄訳です。

Translated by 名和友梨香

COSMOPOLITAN US