雑誌83カ国、オンラインサイト49カ国で展開する、女性メディアのグローバルブランド、コスモポリタン。他の国のコスモは、どんな女性たちが作っているの? 彼女たちの仕事にかける思いとは?

コスモポリタン アメリカ版が、各国の編集長を直撃しました!

【コスモポリタン ルーマニア版 編集長:ダイアナ・コルサー】

コスモポリタン ルーマニア版の編集長を務める、ダイアナ・コルサー(36歳)。雑誌「InStyle」ルーマニア版の編集長としてキャリアを積んだあと、コスモポリタンへ。「InStyle」での最後の2年間は、同世代の大人の女性に向けたさまざま企画を形にでき、とても楽しかったのだとか。ところがコスモへ移ってからというもの、当時の読者が主に10代だったため、培ってきたキャリアとのギャップにショックを受けたそう。そんな彼女がコスモで挑戦してきたこととは…?

――メディア業界で働いてきて、一番役に立ったアドバイスは何ですか?

当たり前だし古臭く聞こえるかもしれませんが、「諦めない気持ちが大事」ということですね。クリエイティビティ、器用さ、勤勉さ、生産性…いろいろなことが求められるので、その時々でうまく対応できる順応性も必要です。競争率の激しい業界において、粘り強く頑張ることも大切なのです。

――オフィスでの1日の過ごし方について教えてください。

オフィス外や自宅で仕事をすることが許されているので、出社するのは1カ月のうち半分程度。出社日には入稿関係や印刷に関わること、次号に向けたミーティングなどを行います。オフィスにいないときも、スタッフ間のコミュニケーションはきちんと取っています。編集長として部下を指導し監督するにあたり、不安なこともたくさんありましたが、個々人にある程度の自由を与えてあげた方が能力を発揮しやすい、ということがわかったんです。自由な発想で好きなことを企画して記事にすることが、スタッフにとっても媒体にとっても大切だと思います。

――コスモ ルーマニア版の読者層について教えてください。

私が編集部に来たときは、主に2つのターゲット層がありました。まずは16歳から18歳を中心としたティーン。そして、10代・20代の頃からコスモを読み続けてくれていた30歳~35歳の層です(ルーマニア版は今年10月で創刊17周年。ティーン時代から読み続けてくれている根強いファンもたくさん!)。だけどその後は、広告主にとってさらに魅力ある媒体にするため、キャリア、自己実現、ファッション分野によりフォーカスし、ターゲットを23歳から30歳へと絞りました。

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――読者層が16歳から18歳だったと聞いて驚きました!

そうですね。読者の年齢層を上げたいと思い、コンテンツを見直すことによって雑誌をアップグレードしてきました。例えば、セックス以外のことに興味を持っている人にも手に取ってもらえるような、そんな雑誌にしたかったんです。

――読者に人気のあるセレブは誰ですか?

セレブの影響力って大きいですよね。例を挙げるなら、オリヴィア・パレルモでしょうか。昨年表紙を飾ってもらったのですが、想像以上に大きな反響があり驚きました。

――タブーや議論を巻き起こすようなトピックを取り上げたことはありますか?

どうでしょうか…。人それぞれ違う意見があって当然ですから、特に政治、宗教、性自認についてのことを記事にする際には、表現や内容はとりわけ気をつけるようにしています。とは言え、こうしたセンシティブな話題も積極的に取り上げるようにはしています。先日は、女優のレベル・ウィルソン(オーストラリアの女優・コメディアン)を表紙に起用しました。ずっと実現したかった企画だったのですが、彼女の起用については周囲を説得する必要があったんです。その理由は、ルーマニア版の表紙には、スタイル抜群でいわゆる"セクシーな女性"が採用され続けてきたからです。だからきっと、「太った女性を表紙になんかして」というネガティブな反応が返ってくると思いましたが、「表紙にはスリムでセクシーな女性」という、みんなの固定観念を裏切りたかったので挑戦しました。

さらに言うと、「コスモガールにとって体型よりも大事にすべきものがもっとある」「内面や行動をもっと見つめて」というメッセージも、読者に伝えたかったんです。外見だけで人を評価するべきではないですものね。雑誌の表紙を飾るのに体型は関係ないんです。結果、賛否両論ありましたが、ネットで読者同士が議論しあっている様子はとても興味深いものでした。

また別の号では、トランスジェンダーについての記事を取り上げました。国内外の資料を参考にした記事でしたが、大きな反響がありましたよ。だけど何であれ、読者から声が届くのはとても嬉しいこと。特に「記事を読んで元気が出た」なんて声が聞けたら最高に嬉しいですね。

――実は次の質問がLGBTについてでした。同性婚はルーマニアでは認められていませんが、読者はLGBTに関する記事を受け入れていますか?

そうですね、そう思っています。私自身がトランスジェンダーではないので、私が知らないことも含め、読者に伝えようとしています。心と体の不一致や同性愛者であることが何たるかを、推測や知っているふりをして語ったりはしません。ここで大切なのは、LGBTの運動がその他の議論にも大きな影響力を与えることだと思うんです。例えば、女性の体型に対する揶揄やプラスサイズの問題についてもそう。記事を書くときは、読者が社会の一員である一個人として、こうした問題に関心を持ってもらえるよう心がけています。こうしたデリケートな問題に対して、読者からたくさん反響が得られるのは嬉しいですね。私たちは、偏った見方を避けるため、国内の関連団体の協力を得て記事を作成しているんです。私たちの記事で誰かが傷ついたり嫌な思いをしたりしてほしくないですからね。メディア人として、持論だけを展開するのではいけないと考えています。

――政治に関する記事も扱うそうですが、ルーマニアの女性はアメリカ大統領候補のドナルド・トランプ氏とヒラリー・クリントン氏についてどう感じているでしょうか?

総論するのは難しいですが、ルーマニア女性はおそらくヒラリー氏の方を支持しているのではないでしょうか。トランプ氏はかつてのルーマニアの指導者を思い起こさせると言いますか…ちょっと、いや、かなり過激な面がありますよね。

ルーマニア版では、ルーマニアの女性政治家を取り上げたことがあります。だからと言って、その人に投票しましょうとか、その人の政治的主張を扇動するようなことは決してないです。どんな分野であれ女性の活躍をサポートしたい、というのが私たちの思いです。

――ルーマニア版の読者はフェミニストでしょうか?

その傾向にあると思います。フェニミストの定義は難しいところですけどね。以前「現代女性」というタイトルで、現代を生きる女性としてエレガントで美しくあるために必要なエチケットや作法について書いたんですが、思わぬ反応がありました。読者の中に気遣いや礼儀を女性蔑視と結びつける人がいたんです。これには驚きましたね。一方で、女性が活躍できる場が増えたにもかかわらず、男女の賃金格差に声を上げない女性もいます。ルーマニアの社会は速いスピードで変化していますが、今だに保守的な面も根強く残っているのが事実です。

――男女の賃金格差は、ルーマニアにおける男女不平等の最たる問題でしょうか?

不平等というより、ダブルスタンダードにおける問題だと言えると思います。女性に社会での活躍を期待しながらも、同時に聖母のような役割も押し付けられる、つまり女性はおしとやかであれ、という風潮が今でもあって、女性同士であってもプレッシャーを与えあっているのが現状です。会社でも、女性による女性へのマナーチェックのようなものが存在するんですよ。男性はこんなこと期待されないでしょう!?

――なぜ女性は、男女の賃金格差について主張しないんでしょうか?

そもそも問題意識を持っていないんだと思います。実際のところ、男女の賃金格差について、他の国ほど議論されていないんです。ですから、悲しいかな、男女格差があることすらも知る由がないわけです。他の人の給料について知る術もないですしね。

――女性への啓蒙活動に対する役割をどう考えていますか?

私たちの責任は大きいと考えています。男女の賃金格差についても問題提起し、女性にその事実があることを知ってもらいたいと思っています。セクハラ問題についても同様ですね。国家や社会が経済上で危うい問題を抱えていると、こうした問題が後回しにされてしまうのは残念なことです。

――2年前と比較して、どんなコンテンツがより求められるようになりましたか?

キャリアアドバイスです。逆にファッションページはあまり求められていないように感じます。良いライターさんを採用したり、ブレーンに著名なファッションジャーナリストやブロガー、トレンドセッターを招いたりして、クオリティの高いページを作っているので、ある程度の支持は得ていますが。やはりキャリアに関する情報の方により需要があるようですね。

――読者が最も利用しているSNSは何ですか?

Facebookですね。コスモにはインスタグラムのアカウントもありますが、Facebookの方が親しまれているようです。私がコスモに来た当初、インスタグラムの展開はしていなかったんですが、半年前からスタートしました。

――20代のルーマニア女性に関することで、他の国の読者が驚くようなことはありますか?

ルーマニアの女性ってすごく綺麗なんですよ! 美を極めることに余念がないんです。美に費やすお金は惜しまない人が多いですね。同時に、しっかり自立しようとする女性が多いです。かつてはそういう女性ばかりではなかったかもしれませんが、社会で活躍しようと努力する女性が益々増えていて。とても嬉しいことですね!

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: Captain & Me, Inc.

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