「ヘルペス」という病名は聞いたことがあるけれど、どういったものなのかはよく知らない…という人も多いのでは? 主な症状としては、口の周りや、または性器周辺に水ぶくれができて痛がゆくなる病気の両方を「ヘルペス」と呼ぶそう。では、その違いや予防法、感染経路は?

ワシントン大学医学部AIDSおよび性感染症センターの名誉教授であり、米国性健康協会の理事を務めた経験のあるH・ハンター・ハンズフィールド医師による、「ヘルペスについて知っておくべき基礎知識」をコスモポリタン アメリカ版から紹介。ヘルペスについての疑問をQA形式で分かりやすくまとめているので、「感染しているかも」と不安に思っている人も、予防したい人もぜひ参考にしてみて。

Q. 口の周りに痛みを伴う発疹が。これって ヘルペスに感染してるってこと?

A.一言で言えば、その通り。口元にできる単純疱疹(発疹や水ぶくれ)は、あなたがヘルペスウィルスに感染していることを意味します。でも実は、ヘルペスウィルスには様々な種類が存在し、成人の半数以上の人が何らかのヘルペスに感染していると言われるほど一般的なウィルスです。

代表的なヘルペスウィルスに「口唇ヘルペス」を引き起こす"単純ヘルペスウイルス1型"と「性器ヘルペス」を引き起こす"単純ヘルペスウィルス2型"の2つがあります。症状や発症箇所は異なりますが、どちらも痛みを伴うのが特徴です。

【単純ヘルペスウイルス1型による口唇ヘルペスの特徴】

―痛みを伴う発疹や水ぶくれが口の周りにできる。

―再発することもあるが、初発症時よりも症状は軽くなることがほとんど。

―キスやオーラルセックス(フェラチオ)だけでなく、感染者と同じ食器をシェアすることによっても感染する。

―成人の半数以上が単純ヘルペスウイルス1型に感染している。

【単純ヘルペスウィルス2型による性器ヘルペスの特徴】

―痛みを伴う発疹やただれなどが性器周辺にできる。

―再発することもあるが、初発症時よりも症状は軽くなることがほとんど。

―セックスによる肌の接触で感染する。

―成人の6人に1人が単純ヘルペスウィルス2型に感染している。

12型に共通すること】

ヘルペスは大変一般的な感染症です。発症時に正しく治療し再発や感染予防を心がけることで、コントロールが可能な病気です。

Q. ヘルペスって性感染症? セックス経験がないのに、どうして感染したの?

A.1型も2型も性行為(オーラルセックスを含む)で感染することが多いものの、ヘルペスは"ウィルス"であるため、セックス以外でも感染してしまうことがあります。感染者と同じ食器を使用することで子どもが感染することも多く、キスも代表的な感染経路の1つです。

Q. 数年前に水ぶくれがでたことがあるけど、その後は1度も発症していません。ヘルペスは完治したってこと?

A.現在の医学では、一度感染したヘルペスウィルスを体内から根絶することは出来ません。つまり何年も発症(再発)していなくても、体内にウィルスが潜伏しつづけています。再発の頻度や症状は人によって異なりますが、口唇ヘルペス患者のうち、40%以上は再発しないとも言われています。

Q. ヘルペスとニキビ(吹き出物)は見分けられるの?

A.ヘルペスとニキビは、形状も発症時の感覚も異なります。ヘルペスの場合、発疹ができる直前に皮膚に鋭く焼けるような痛みを感じることが多く、ほとんどの場合口角または唇のふちの部分に発症しますが、まれに唇の外側部分に発症することもあります。最初は水ぶくれができ、暫くすると水ぶくれが破れてかさぶたになりますが、症状は12週間で治まります。

Q. ヘルペスができたらどうしたらいいの?

A.初めて発症したときは、必ず病院に行き検査と治療を受けましょう。どのタイプのヘルペスウィルスに感染しているのかを特定することは、治療および再発防止、そして他者への感染を防ぐためにも大切なことです。その他は通常の生活を送ることが可能です。仕事や学校を休んだり、人と会うのを避けたりする必要はありません。

口唇ヘルペスで顔の痛みがひどい場合、1日数回顔を冷やすと痛みが緩和するとともに腫れも引きやすくなります。それでも痛みがひどい場合は、患部にワセリンを塗るのも効果的です。発症時のメイクは問題ありませんが、患部を触った後は必ず石けんとお湯で手を洗って下さい。水泡をつぶすのは厳禁! 回復が遅くなります。

発疹がひどく、なかなか治まらない場合は、すぐに医師に相談してください。また発症時は食器のシェア、キス、セックスなどの感染につながる行動は慎みましょう。

性器ヘルペスの痛みがひどい場合も、冷たいタオルなどを使って患部を冷やすのは効果的です。また発症時にはセックスをお休みしましょう。パートナーを感染から守るのは大切なエチケットです。

Q.ヘルペスに感染したかも。検査を受けたほうがいい?

A.もちろんです。もし「発症している(感染している)?」と思うなら、すぐに病院で検査を受けましょう。検査には水ぶくれからの採取検査、血液検査などがありますが、いずれもすぐに終わる簡単な検査です。

現在感染しているという実感がない場合でも、性生活が活発な人は定期的にヘルペスやクラミジアを含む性感染症の検査をしてください。またコンドームを使わずにセックスをした場合も、感染の可能性が高いため検査を受けることをおすすめします。

Q.ヘルペス感染者であることを、パートナーに打ち明けるべき?

A.最近発症したばかりであれば、キスやセックスをする相手には打ち明けましょう。『コンドームを使用すれば感染する可能性は低いけど、あなたに伝えるべきだと思って』と真摯に告白すれば、パートナーはきっと理解してくれるはずです。

現在発症中ではなく、また再発頻度も高くない人の場合、パートナーに感染するリスクは大変低いとされています。ただし性器ヘルペスを初発症する人の半分以上は、口唇ヘルペスの人から受けるオーラルセックス経由での感染と考えられています。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: 宮田華子

COSMOPOLITAN US