情熱的でロマンチック。セックスは、イタリアの男女には欠かせないというイメージがありますが、実は彼らのセックスライフにここ数年ちょっとした革命が起きています。

セックスライフのいま

本来、イタリアは厳格なカトリック国家なのでラブホテルやモーテルを作ることができません。また「家族」をとても大切にする文化と経済環境が重なり、親と同居している若者が圧倒的に多い状況です。そのため、若いイタリア人カップルのカーセックス経験率は高く、ましてや一般的な印象。しかし、ナポリを中心とした南イタリアの貧困地区では、夜間のカーセックス中カップルは強盗の標的になるため、さらなる治安の悪化が懸念されました。そこで2012年、市議会で公式に可決され建設が始まったのがカーセックス専用駐車場「LOVE PARKING」です。

LOVE PARKING」とは?

文字どおり、愛を育むための駐車場ですが、売春が合法であるスイス等では「SEX BOX」といって売春婦専用の風俗的スペースでした。それをイタリアは一般カップル用に作り変えたわけです。カップルが車で駐車場に行くと、入り口でコンドームが支給され、カーテンで仕切られたスペースに車を停め、カーセックスを楽しむというシステム。価格は初めの2時間は5ユーロ、延長は301.5ユーロで、平日は18時から2時まで、週末は4時までと、泊まるためではなく単純にセックスだけをする場となっています。ここ数年、ソーシャルメディアの影響でプライバシーに対するリスクが急速に増加していることもあり、短時間であっても静かな路地や一般駐車場でセックスをすることに抵抗を感じる人が多いよう。今では地域に必要とされている大切な施設となっています。

「我が街にもLOVE PARKINGを!」署名運動スタート

こうして治安の悪い南イタリアを中心に普及し始めているLOVE PARKINGですが、北イタリアにも徐々にその影響が出てきました。比較的治安の良い北イタリアでも適当なところに車を停めてのカーセックスに不安は付き物。南イタリアでは市議会で可決されたほどニーズの高いLOVE PARKINGですから、北イタリア各都市でもLOVE PARKING建設のための署名運動が起きています。ただし、単にイタリアといえども、特に男性は南と北では気質は真逆。南部出身者は、いわゆる日本人のイメージする情熱的な楽天家ですが、北部出身者はストイックで気品を大切にします。結果、ミラノでは数十件ほどしか署名が集まっていないとか。

※例外として、北イタリアでもレオナルド・ダ・ヴィンチ生誕の地である小さな田舎町ヴィンチにはLOVE PARKINGが存在します。

それほど重要度の高い「イタリア人にとってのセックス」とは?

このニュース、日本人の私にとってはかなり大胆な発想。実際にイタリア人女性(28歳)にセックス観を聞いてみると…「情熱のない生活に覇気がないのと同じで、セックスのない生活なんて生きた心地がしないでしょう?」とのこと。LOVE PARKINGがイタリア人にニーズがあるのも納得です。