海外ドラマなどを観ていると、当たり前のように登場する"大人のおもちゃ"。日本では、女性のひとりエッチは、タブーのように扱われることもあるぐらい、あまりなじみがないもの。でも、女性だって自分の気持ちいいことを追求してもいいのでは? そこで、女性向けのグッズ「iroha」を展開する広報、工藤さんに、女性のひとりエッチ事情をリサーチしました。

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-日本と世界のひとりエッチ事情を教えてください

ヨーロッパのアダルト市場は女性が優位

世界のセックス頻度ランキングがあるのですが、そのランキングでは、日本が群を抜いてセックス回数が少ないですし、カップル、夫婦間でセックスレスで悩んでいる人も少ないくはないですよね。それぐらい、日本では、セクシャルな事を秘め事のように扱うことが多いのです。日本の、アダルトビデオやグッズなどのアダルト市場は男性が優位なので、女性が積極的に楽しめる雰囲気ではありません。

ただ、海外、特にヨーロッパだと真逆で、女性の市場が確立されています。弊社が独自で調べた、各国のひとりエッチ頻度を調べたアンケート結果によると、スペイン人の40%以上が毎日行っていますし、イギリスやフランス、アメリカなども、週に数回は行っているぐらい、開けた市場です。

ヨーロッパの女性に負けないぐらい、日本の女性にもひとりエッチを楽しんでほしいということではなく、「していることが恥ずかしい」「背徳的なイメージがある」など、ネガティブな感情を持ってほしくないのです。

-日本では未開拓な市場で、女性向けのプレジャーグッズを制作した経緯は?

女性が使うものは、女性が考えるべき

アダルトグッズは、男性向けがメインだったので、「グロイ」「硬い」「おしゃれじゃない」など、女性が嫌悪する点が多々ありました。そこで、女性が使うものは、女性が考えるべき。製品のデザイン、振動のパターン、パッケージなどもすべて女性目線で作りました。

そして、マッサージ器、美顔器などの一般家電製品を目指しているので、男性器を模した形をしている必要はないと思い、女性が楽しめるようになるために何が必要かを徹底的にリサーチし、考えました。

具体的には、「触り心地」「清潔さ」「静音性」「ネイルをしていても押しやすいボタン設計」など。一見そうは見えない、ビジュアルのおしゃれさも欠かせません。

お風呂上がりに全身をケアしたり、ヘアパックしたりするのと同じように、女性のセルフケアのひとつとして、カラダが求める気持ちよさに応えるグッズとして「iroha」を作ったという背景があります。

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お話を伺った広報の工藤さん

-発売後の反応はどうでしたか? そして、ひとりエッチに対するイメージは変ってきたと感じますか?

まるでインテリアグッズのようなビジュアルは高評価でした

発売直後は、サーバーがダウンするほど、アクセスが集中しました。そして、Amazonでは、発売後すぐに欠品したほどです。

もともと、男性向けのプレジャーグッズを展開している「TENGA」が高評価だったこともあり、女性向けを楽しみにしてくれていた人が多かったようです。特に、ビジュアルに対する評価がよかったように思います。和菓子をイメージして作った「ゆきだるま」「はなみどり」「ひなざくら」は、パステルカラーの色味も評判になりましたし、「インテリアグッズとして、部屋に置いていても違和感がない」という声も届いています。

今までラブグッズを使わない派の人たちも、「iroha」が誕生したことで、カップルで使ってみたいと思う人も増えました。実は、シニア世代の方にも人気なんですよ。

海外のショップにも置いてもらっているのですが、日本人特有の繊細さが反映されているのか、柔らかい触り心地に興味を持ってくれる人が多いです。

まだまだ開拓の余地はありますが、ドラッグストアやランジェリーショップなどにも販売しているので、以前に比べて、ひとりエッチに対するイメージは向上していると実感しています。

-ひとりエッチをするといいことってあるのでしょうか?

パートナーとのセックスがより楽しくなる

「セックスは男性優位のもの」と思っている人も少なくありませんが、そう思ってしまう原因のひとつには、女性が自分の性感帯を知らないからと考えています。

その点、ひとりエッチは、自分の性感帯を探ることができます。自分で、自分の性感帯を知っていると、パートナーとセックスをする時に、よりよいコミュニケーションが取れるようになります。

ただ、セックスとひとりエッチは別のもの。

女性は特に、相手の体温や声などで愛されていると感じることもあると思うので、パートナーとのセックスは、快楽だけを求めるのではなく、感情的なところも含めて楽しむ行為。

人間の動きではできないことを、グッズを使うことで経験することができるので、感度が上がるといわれています。ひとりエッチを通して、自分の性感帯を探求することも含めて、カラダを知ることを楽しんでほしいです。

-ひとりエッチをすると、セックスの悩みは解消されますか?

性についてのディスカッションができる関係性を築いてください

そもそもセックスについての不安や悩みというよりも、相手にそれを言えず、自分の中で溜め込んでしまった結果、関係性が悪くなることにつながっているのではないかと思います。溜め込んでしまう前に、セックスについて、パートナーを話せる関係性を作ることが大切なのかなと。でも、「セックスの話はカジュアルにできない」と思ってしまうかもしれませんが、セックスの好みを話し合うことは、料理の味付けの好みを話し合うのと同じことなんです。

ただ、デリケートな話題でもあるので、言い方も大切だと思います。「こうされると痛い」など、パートナーにされた嫌なことを伝えるのではなく、「あなたと気持ちよくなりたいと思っている」ことを前提として、「私はこうされると気持ちがいい」と伝えるなど、ポジティブな伝え方を心掛けるといいと思います。

中には、漠然と、パートナーとのセックスに対して、「なにかが違う」と思っている人もいると思いますので、その"なにか"を言語化するために、ひとりエッチをしてみるのはおすすめです。自分の性感帯を知ることで、"一緒に気持ちよくなる糸口"が見えてくるかもしれません。


「セックスは、いろんな人と経験するよりも、ひとりの人と回数を重ねるほうがどんどんよくなる」と言われているそう。まずは、あなた自身が、自分の中のセックス観と向き合うために、ひとりエッチを試してみるのもいいかもしれない。