海外に出ると、色々な国からの旅人と出会います。そして様々なストーリーが生まれて、恋したり、別れたり、一生の友達ができたり…。このシリーズでは、私が海外で出会った女の子たちの恋物語と、彼女たちから学んだそれぞれの教訓を、イラストとともに紹介します。

恋より夢を選んだスペイン女子

スペインはバルセロナ出身のミレヤには、夢がある。オーストラリアへ行くスペイン人のサポート事業を立ち上げることだ。その夢を実現するための大事な手段として、大学卒業後、ワーキングホリデー制度を使って、オーストラリアへ。自分の目で世界を見るための1年間の旅だった。ただ、それにはスペインで就職した恋人との遠距離恋愛、そして失恋が伴った。時に、夢と恋は、違う方向へ向かってしまう。そんな時の対処方を、彼女は示してくれた。彼女のすぐ隣で、私が学んだこと…

何かを選べば、何かを失うことがある。大切なのは、ちゃんと手放すこと

道が2つに分かれる時、恋人の手を離す時

数年付き合っていた彼との関係は上手くいっていた。だから、1年なんてあっという間…と、信じていた。お互いの新しい経験をビデオチャットで共有するのも新鮮で、時差も苦痛に思わなかった。でも次第に、お互い違う環境で起きるそれぞれの話題に、共感し合えなくなった。そして、2人の間の物理的な距離は、心の距離になった。 恋人と毎日会うことが当たり前の彼らスペイン人にとって、遠距離恋愛は想像以上に苦しいもの。日本人だと、しばらく様子を見たり、距離を置いて考えてみたり…とグレーな期間も曖昧に過ごす人が多いかもしれない。しかし彼らにとっては、そんな中途半端な選択肢はない。情熱的なイメージがあるスペインだからこそ、毎日常に愛し続けることができなくなったら、関係は終わりなのだ。ミレヤから別れを切り出した。

遠距離を乗り越えられなかった悲しみと喪失感…夜中に泣くミレヤを私は見た。人生をともに歩むのに、彼は完璧なパートナーだった…でも、タイミングが違った。一緒にそれぞれの夢を追いかけるには若すぎた。でも、夢の実現のために選んだこの道に、後悔はない。ミレヤは頭ではわかっていた。だから、今はたくさん泣いて、彼のことをきっぱり忘れよう。乗り越える解決法は、海外での生活を充実させて、もっと夢に近づくこと。女友達とパーティーに行って人間関係を広げた。新しい趣味のウクレレを始めた。そして、まっすぐに夢を語り合った。

失恋の苦しみは、彼女が目の前の生活に熱中するバネとなった。残りのオーストラリア生活で、ビジネス立ち上げのために必要な人脈を築くだけではなく、やりたかったことを全て経験して、一生に一度の思い出をスペインに持ち帰ったのだ。

夢に向かっていく人生の列車には、いろんな人が乗り降りする。行き先を変えれば、降りていく人もいる。同じ目的地へ向かっていなかった彼は、ミレヤの人生の列車から降りた。そして彼が降りても、自分の列車を止めてはいけない。

失恋したときに、しっかり手放したからこそ、彼女は前進できたんだ、って思える。野心家なミレヤのことだから、今度はきっと、夢に向かって一緒に歩める人に巡り合えるにちがいない。