新宿2丁目慣れしたコスモポリタンの編集ガールが、わざわざうちの店に乗り込んできて原稿を催促してくれているのに、やっぱり締め切りに遅れちゃうルーズな女装おじさんですよー。ほら、うちらメイクに時間かかんじゃーん。(何十時間かけてんだよ!)

いやホントごめんなさい。2丁目で語ってくれた編集ガールのリクエスト、「今月のテーマ『ラブ』に絡めて、ハイスペック男子をモノにできる女たち…紗栄子さんやミランダ・カーなどに憧れるコスモガールをお導きください」ってのに誠心誠意答えなきゃよね!

ハイ答え! 寝ぼけてんじゃねーわよ、とっとと自分で稼ぎな! …って簡潔な原稿じゃダメー? ダメか…。じゃあもう少しほじくってやんないとね。

まずさ。テーマ「愛」から、「ハイスペック男子をモノにする」って連想があかんて。ハイスペック男子をモノにする行動は、愛とイコールじゃないでしょ。愛も兼ね備えることもあるけど、全くなくても成り立つ、って点ではむしろ男の「セックス」に近いわよ。「家事上手巨乳女子をモノにしてぇ~」って言ってる男に「愛」を感じるかって話。

たとえば軽々しく「紗栄子うらやまー。どうやったらなれるのー」って言いやがるけどね。あのビジュアルと存在感にどれだけの金と努力が必要だと思ってんですか。「女性セブン1222日号」によれば、「ディオールの純白ドレスにお色直しのヨージヤマモトの胸元ギリギリオールインワン、150万円の5段ケーキ、会場費400万円」の「お誕生日会」を開くのが紗栄子様ですよ! 披露宴じゃねえのよ?

そもそも紗栄子さんは、ダルビッシュをものにする前の、そこまで知名度がない時点で、初書籍『サエコ大百科』を出してるんです。大百科ってのは普通、魚類全部とか宇宙全体について与えられるべき書籍名なので、この命名からしても紗栄子さんの「私は宇宙すべて、もしくは魚類すべてが内在しているくらいの、大いなる存在である」という誇りと自信が感じられるわけです。

元々名家のお金持ち、入念にケアされた肉体、揺るぎない自信、そういう本物のお嬢様っぷりに、経済や権力の山を登るのが大好きなハイスペック男子たちは、「おお、女ならこのくらいの山を制覇してえ!」と思うんだからね。投資ってのは元本もそれなりにデカくないと、そうそう返っちゃこないもの。怠惰な生活とやっつけメイクで仕上げたボディと、恋愛ハウツー記事読んでるようなメンタルで、大富豪を釣るエサにしようだなんて図々しいってことよー。

でもねー、最初に言った通り、美ボディもハイスペックも愛そのものじゃないから。事業に失敗した男の元からは、不釣り合いな美女は離れていくだろうし、逆に美貌で男を釣った女たちは老化して最大の武器を失う現実に怯える。そういう恐ろしさも、スペック中心の価値観にはつきまとうものなの。

リスク回避のために、ハイスペックを第一条件にしたい気持ちは分からないでもないわよ。アタシも、貧乏でドブスでアホで性格も悪い男とわざわざデキたいとは思わないもの。でも程度問題。ハイスペックを重視しすぎる道の先には、人一倍孤独や愛への渇望を感じるオチが待っているのかもしれない。

あと、本当のハイスペック男は、ハイスペック男子狙いという背伸びが見える女はたいてい、せいぜいヤリ捨て要員だからね。本当に無欲だけど美の遺伝子には恵まれた聖女みたいなタイプか、「モノにしてみる?」と言わんばかりの本物お嬢様か、どっちかに興味を持ちがち。身の丈にあったレベルで小奇麗にして、自分の生活をしっかり送っている真っ当な女の魅力には、真っ当な男なら気づいてくれるもの。そういう男とお互いを高め合う生活の中で、自分も若さに頼らないキレイさを、相手もよりお仕事がうまくいくカッコよさを、得られたりすんじゃないのー。

なんて、結局どっちのコースもうまくいくとは限らないんだけどね…。アタシはミドルスペック男と、のびのび人生を楽しんでる女がいいと思うんだけどなー(嫉妬しなくていいし)。

高スペック男をモノにする走り高跳び。自分の身の丈にあったバーの高さを知って、それぞれ軽やかに飛び越えてちょうだい。身の丈知らずのブザマな転落は、オカマがイヒイヒ笑わせてもらうわ~! HAVE A NICE FLIGHT