このシリーズでは、私が海外で出会った様々な国出身の女子たちの恋愛事情を、イラストとともに紹介しています。今回は、日本とはちょっと違う(?)、フランス女子の結婚に対する価値観のお話です。

恋愛至上主義、だけど冷静なフランス人

フランス人と聞くと、さぞロマンチックだろうと思うかもしれない。恋愛にどっぷりつかるのも好きだけど、冷静に恋愛と向き合う性格もよく見られる傾向。オーストラリアで出会ったフランス人のカミーユは、特に結婚に対して現実的な価値観をもっている。

「結婚を"いつするか"にはこだわらない。こだわりを持たないことが結果的に、恋人との質のいい関係を楽しめる秘訣になっている」とのこと。

確かに日本でもよく「結婚はゴールじゃない」とは言うけれど、出産を考えるとついつい急ぎたくなっちゃうのも女子の悩み。フランスの女子たちはどうやって、結婚にこだわらずに恋愛を楽しんでいるの?

フランスの選べる結婚システム

すべてはカミーユから彼女のパートナーを紹介されたときに始まった。それは「彼、私の旦那さん…というか、まあそんな感じの人」と言葉を濁らせていたときのこと。どういうことか聞いてみた。

大都市パリを中心に、「PACS」というパートナー制度が、年々人気が上昇しているという。元々、同性カップルが社会で認められるため導入された制度で、異性カップルが使う際には、恋人関係よりは上で、結婚よりも少しカジュアルな契約という位置付けになるようだ。人気の理由は、離婚率が高い現代で、付き合った後のステップがすぐ結婚では早すぎるから、というもの。

恋は計画するものじゃないから、社会的な恋愛証明も自然に

カミーユと彼も、付き合って3年経った頃PACSを活用。大学時代から長く付き合ってはいるけど、まだ若いし、従来の結婚という誓約に落ち着くには早い気がした。PACSのちょうどいい重さが、次のステップとしてしっくりきたと言う。

「PACSでもちゃんと披露宴をやるから、お祝い気分もしっかり味わえる。若いうちにドレス着てキレイな写真も撮ったし、結婚はもういつになってもいいかな(笑)。10年、20年経って、2人がまだ愛し合えてたら…その時は本当の愛の証として結婚するかも。もちろんそうなれるように、2人の愛をしっかり育てていきたいな」

子供を産んでもちゃんと法的に守られるから安心。実際カミーユの親戚には、40~50代、になってから正式に結婚した人もいるらしい。

この話を聞いていて、歳を重ねてからのプロポーズや恋愛を楽しむイベントがあるのって、すごく素敵だと思った。

自然と恋に落ちるように、結婚も自然の流れで起こるのが理想かも。こういった"中間ステップ"のような選択肢があれば、2人の関係を段々とレベルアップさせることができるし、女性が結婚という2文字のステータスにこだわることがなければ、男性が結婚に対して億劫になるような見方も減るだろう。

このシステム、日本にもあればいいなと少し羨ましく思ってしまうが、フランス人女子の自由な恋愛観は、PACSというシステムに頼ったものではない。もともと、自由に恋愛を楽しみたい、結婚に縛られたくない、という独立心の強い女性の望みがあったから、社会が変わったみたい。結婚にこだわらないという考えって実は…その時々を楽しみたい恋愛至上主義なフランス人だからこそ行き着いたソリューションだったのかも。

日本にもいつか誕生するかもしれない結婚レベルのパートナー制度…その日に向けて、私たちも結婚だけを目指すのではなく、日々の恋愛を楽しむことを忘れないでいたい。